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詩的なあなた

詩的なあたなであるために 髪は少し長めに 乾燥気味でも 目はうらやかに 薄い膜 浮かぶように 手を落として そっと触れて カーテンの淵 薄い唇 血は温かく 陶器のカップに もらす吐息 聞こえない 聞かせたい 声の波長を 彼に合わせて 同化して それでもあなたは 起きていて 夢想しないで 覚めていて この箱の中 夕霧と あなたが詩的であるために 書くのは 私 08AUG2019

    • identify

      いつの間にかついた名前 望んでいたとは思わないけど 望んでいなかったとも言い切れない だけどその名前の下にある 重責 には、痛いほど気づいている。 重い。 ねばならぬが 重い。 せばならぬが 苦しい。 私が私であるために 必要なのは<あなた>だけだった はずだった あとはペンとノートとPCと 私なんかを証明するには それだけで十分だったのに 何かしらの 証明書 identify myself するための 数字と暗号 属性 そんなものが 私から<私>を奪っていく

      • 雨水

        鳥が鳴いている 電線の高いところに並んで 二羽の鳥が 鳴いている チチチチチチチ と 地鳴きだろうか 各々の 立ち入られなくない ディスタンスを守りながら むっくとした 冬毛をまとった シルエット 黒い身体に 目を凝らすと 雪の細かいのが まだ舞っているのが分かる 二階の窓から 見上げて 電線上の 二羽を眺めて 私の背中にも 羽が生えたような 気になって すとんと力が抜けていく 18FEB2021 雨水の日の大雪の午後に

        • 光のあなた

          この空のほんの少しだけ遠くを眺めて 目の奥に優しい光を取り込んで もう今日の終わりの気配 太陽までなんて行かなくてもいい せめてその影の中にあなたを見せて 光が小さな粒たとしたら 目の中一杯に溢れてしまうくらい 直視できない 何もかもが だから私は今日も 目を伏せて影を見る こぼれ落ちたあなたの粒子を すくうために 04DEC2020

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          57本

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          I am

          妻である前に 私は一個の人間で そのことを忘れたときに 全ての不調は やってきます 私の好きな色 私の好きな言葉 私の好きな味 私の好きな人 娘である前に 私は一個の人間で そのことを知らないうちは 全ては不和へ 向かいます 私自身のやりたいこと 私自身の感じかた 私自身の時間の流れ 私自身の夢 母である前に 私は一個の人間で そのことを感じられなくなった時に 全ての愛は 流れていきます 私の一日 私の歩幅 私のまどろみ 私の体と心 何者かである前に 私たちは私た

          our own

          いつでも瞼の奥で夢を見ています。 目を凝らした先に、何かが見えているわけではないのに、 その見開いた、瞳のその奥側に はっきりとに あるいは 優しい幻影の中に 自分自身の夢が見えるのです 耳からはあの日の音楽 目からはあの人の言葉 肌からは地球の体温 ふっと力が抜けた瞬簡に あの淡路の Nafshaの カウンター越しからの 瀬戸内海の湾が 目の前に広がるのです いつか見た夢の尻尾を 今こそ手を伸ばして もしくは しっかりと目で捉えて be my own / b

          冬の入り口と袖先

          悲しくなるのは 冬だから 冬の 入口だから 寒くなりはじめの 木枯らしが吹きはじめの 冬将軍が出陣前の この微かな冷気を感じて まだ羽を伸ばしてたいと 私の体が言っている 冷たいなら温めてあげよう そんな風に言ってくれる あなたじゃなかった 重い荷物も ちっとも持ってくれなくて 歩くスピードも 言ってから気づいて 合わせてくれるような そんなあなただった この冬の入り口で 思い出すのは あの時、繋いでもらえなかった 手と 近くても触れられなかった あなたの袖の先 だ

          冬の入り口と袖先

          未完

          忘れたころに頁を開いて あの頃の私は、まだ闇の中 小さく疼いて欲しいのに その細やかな願いさえも潰えて 瞼の奥が辛いよ 冷たい冷たい冷たい 足の裏にかかる息 腸の中に溜まってる苦しみ 明日の光を待ちわびるのが のがのがのがのがのが 何者でもない瞬間を楽しむ 阿呆臭い薄ら笑いと 片手で握りつぶせそうな希望 そんなそんなそんなそんな 12NOV2020

          もう一度

          もう一度、恋。 手のひらを重ねて わずかな脈拍感じて いのち、とつぶやく 誰にも笑われることのない、幸せを

          もう一度

          perfection

          あなたはどこにいるのですか。 とおいお空のかなたから のぞいているけど 見えもせず 聞こえもせずに 息をのむ。 愛だって、完璧を求めるから満たされないんだ。 傷のない完璧な愛なんて、存在しないというのに。 2017年12月28日 (コペンハーゲンからパリへ向かう飛行機の中で)

          perfection

          狭間

          都会と田舎の狭間。 都会的と牧歌的の狭間。 愛と冷静の狭間。 厳しさと優しさの狭間。 喜びと悲しみの狭間。 男と女の狭間。 空と海との狭間 (あるいは山と海との) 夢と現実の狭間 並ぶベッドの狭間 怒りと許しの狭間 敵と味方の狭間 昨日と今日との狭間 忘却と記憶の狭間 狭間狭間狭間 私の居場所は。

          DISTANCE

          この事象の前と後とで 変わったのは わたし と あなた の キョリ はじまる前と終わった後で 変わるだろうか あなた と わたしの カンケイ 目に見えるのに 届かないという 残酷さを 自覚して あるいは 聴こえるのに 映らないという 曖昧さに 高揚して 求めていた先端に 触れることすら叶わず 死ぬくらいなら わたしは この目の前にある 今 を つかみたい 愛しているよ LOVE YOU, 気づいてないなら。 15APR2020

          DISTANCE

          スローダウン

          スローダウン 世の中よ ひとつひとつ 一歩一歩 おおよそのものは そんなすぐには 実らない ただじっくり 一刻一刻を 踏み締め 味わい 見つめて 感じる すぐ手に届くと 思っていたものの ほとんどが 実は幻想だったのだと 今更ながらに 気づく (今、気づけてよかった) カルムダウン 世の中よ すべては融和の入り口 愛するものと 愛すべきものの 出会いの前触れ 生きてる ひとつひとつの いのち という名の いま 09APR2020

          スローダウン

          23:55

          くうくうと 寝息たてし 君の頬 そっとキスして おやすみなさい 今日も平和だ。 05APR2020 (天赦日)

          りんごを

          いま いまこそ いのちが みな等しく 平等に 一様で あることを 感じずには いられない 死は だれか どこか わずかな 限られた 人々のことでなく 常に 同じように すべての命に 宿っている ということを 大切なひとに りんごを贈る あなたの いのちが わたしのと 他のすべてのと 同じように 大切であることを 思いながら。 愛してる。 大丈夫。 愛してる。

          りんごを

          ハンカチ

          あなたの頭の中は たぶんハンカチみたい きれいに折りたたまれて 端と端などが重ねられて そよぐ風も のしかかる重みも 好まない あなたのその あなたのためだけの 完璧さ / perfection を 守るために 私はいるんじゃない きれいに畳まられた するするした表面でなく その中に くしゅくしゅになった その嘘のない中身のほうに 包まれたい だめなの? 03APR2020

          ハンカチ