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【絵本野山草】(15) しんこ花/草額(くさがく)/白糸草/なでしこ

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]

しんこ花 水巴軾すいはげき

花しのだち、くみいとのごとき花、すへよりさき出し、しろく、ひらくほどべにいろいづる。見ごとなり。葉は、秋筆草あきふでさうのごとく、地際ぢぎはにいづる。「しんこはな」ともいふ。二三月にさく也。

しんこ花
花ゴフン 生エンシクマ


くさがく

五六月花。花の色、青白く、四方に四辨しまいはなびらの大なる花さく。其うちみなこまかなり。大なる花にてがくのふちとりたるごとし。高さ四五寸。

草額  くさがく


白糸草しらいとさう

漢名 ■芃 [■は三+人+示]
花葉、ともにしやう/\ばかまのごとし。しやう/\ばかまとは、にちがひあり。別種べつしゆなるべし。七八月花さく。

※ 「しやう/\ばかま」は、しやうじやう袴。猩々しょうじょうばかま

白糸草  しらいとさう  芲白


出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [3]

なでしこ

五月より六月有。
紫一重きれあるを「するが」といふ。うすべに「千重撫子なでしこ」と云も有。白一重大りんきれふかきを「大さぎ」といふ。同じく中りんを「小さぎ」と云。

すこしうつり有八重を「てうせんさぎ」と云。こひ紅一重を「南京なんきん」といふ。これに八重有。又、こひ紅きれすくなきを「ごすで」といふ。花に一重八重有。白にねびしぼりを「こまにしき」と云花にて、しぼりよくきれふかきを「こまとめ」といふ。地白にふぢ紅なゝこしぼり千重を「あさぎり」といふ。

※ 「大りん」は、大輪。
※ 「中りん」は、中輪。

撫子 なでしこ 雪山 紅紫 べにむらさき
大坂 くじつくなでしこ
小● 白一重时斗

白一重中りんきれふかきを「白糸しらいと」といふ。又、しらいとゝいふに、白百重きれよく中りん有。雪白青み色 牡丹咲を「浅間あさま」といふ。又、「瀧の白いと」ゝ云。

紅十重中牡丹咲を「花がらみ」といふ。白至極しごく大りんを「巻龍まきれう」といふ。千重大ざきを「雪ふじ」といふ。紫紅千重ぼたんざきを「むさしの」といふ。又、是より色よき牡丹咲有「からのかしら」と云。

藤紫ふじむらさき八重大りんきれしごくよきを「花鳥くはてう山」といふ。其外、めづらしきなでしこ、一重、八重、十重、百重、千重、しゆあり。ふでにつくしがたく、又、なでしこにて撫子なでしこをはなれもの有。

吹合 白糸 唐なでしこ
しゝぼたん そこ紅


蘧麥きよばく

『爾雅』巨区麥きよくばく 『本經』大菊たいきく 『爾雅』大らん 『別錄』石竹せきちく 『日蕐』南天なんてん竺草ぢくさう

綱目かうもく弘景曰こうけいがいはく すこぶる  にたり ばくに   ゆへに  なづく 瞿麦くばくと 

時珍じちんが いはくあんずるに  陸佃りくてん  げする 韓詩かんしを 
外傳ぐはいてんにいはくしやうずる 兩旁りやうはう いふ これをくと これ むぎ旁生はうせいする  ゆへ なり

爾雅じが に なす きよに  あり 渠衢二音きょくのにをん 
日華本草につくはほんさう にいはく一名いちめいは燕麥えんばく、一めいは杜姥草とらふさうといふは誤矣あやまれり燕麥えんばく  すなはち  雀麥しやくはく雀瞿しやくく二字にじ相近あいちかし傳寫てんしや訛爾あやまりのみ
瞿麥くばく  しやうず 大山たいさん山谷さんこくに 立秋りつしうに  とりて  隂乾かげぼしにす

※ 「蘧麥きよばく」は、蘧麦きょばく。なでしこの別名。
※ 「瞿麥くばく」は、瞿麦くばく。なでしこの別名。



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