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【職人図鑑】彩画職人部類(4)鍛冶(かぢ)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『彩画職人部類 上

周の世の桃氏をはじめ、我朝にて崇神天皇に起源。
文武の御宇に天國あり。
剱の諸刃をふたつに割、是を刀といふとぞ。
先より代々に傳へつたへて、もろ国に良工あり。
小鍛冶宗近をはじめとして、かぞふるに何指をもつて知む。

鍛冶 カチ

※ 「周の世の桃氏」は、桃氏剣とうしのけんのこと。
※ 「文武の御宇」は、文武天皇の御代みよ
※ 「天國」は、日本刀剣の祖とされる天国あまくに
※ 「是を刀といふ」は、かたなという言葉が、つるぎ諸刃もろはをふたつに割ってそりをつけて作られたことから、「片刃なし」の「は」を略して「かたな」と名付けられたというエピソードのことと思われます。
 参考:『文耕堂浄瑠璃集』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「もろ国」は、諸国もろくに
※ 「小鍛冶宗近」は、平安時代末の刀工、三条小鍛冶こかじ宗近むねちか
※ 「知む」は、誤読しているかもしれません。


鍛冶かぢについて

鍛冶 かち
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『和漢三才図会 卷一
刀師
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『職人絵尽 人


天国あまくにについて

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『本朝鍛冶考 18巻 [4]

天國は、文武天皇御宇大寶中宇多郡の人にて、世に日本鍛冶の祖といふ者にて、銘切し天國也。或、世々寶剱奉造者は皆天國と稱すとも云。太知たちかたち細く、鍛板目こまかに、地鐵青くさへ底肌そこはだにごりなく、やきは小錵多く、鋒焼きつさき誥てかへりなく、縵理すぐやき小亀こみだれ文とも小足尋常じんじやうにやき入て、庵深くしのぎ廣くやきは白く雪の如し。天■も同風情の物なり。 [■は广+生]

※ 「天■」は、天座と思われます。参考:『刀剣全書 本編』(国立国会図書館デジタルコレクション)


三条小鍛冶こかじ宗近むねちかについて

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『本朝鍛冶考 18巻 [4]

山城國
崇神天皇御宇十年秋七月 (略) 一条天皇御宇永延正暦寛弘の前後に及んで、三条宗近一門大宮國盛等、今の世にも希に見る事有。或、宗近は吉家、河内の有成、三銘皆同人とも云。此作太刀の象細く、鍛柾目纎に地金黒く紫にひかりて、鎬少し廣く、焵は白く、縵理に小足の入たる。又、彎も有。鋩子は三日月形にて、錵鮮に多し。忠崎剱頭も圓くも栗尻も有。鈩筋違、又、鏟目も有。棟角も小肉も有。銘は、三条とも、宗近とも、四字にも切。此門葉皆風情にて甲乙有べし。

参考:『大日本人名辞書 増訂4版(為吉)』『刀剣全書 本編』(国立国会図書館デジタルコレクション)



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