【絵本野山草】(20) 日向葵(ひゆうがあをい)/あらせいとう/七輪草(しちりんさう)/羅生門/残菊(ざんぎく)
丈菊
日向葵といふは、長七八尺、花の大さ七八寸、色黄にして、春菊に似たり。かたち岩畳に見えて柔なり。此はな、朝は東に向ひ、日中には南に廻り、夕陽の頃は西にむかひ、大陽を追ふ。よつて日車とも名づく。合歓木は夕に葉をたゝみ、朝に開く。其外、朝に開き夕に葩を 抱 花多し。丈菊ひとり大陽にむかひ廻る。東坡の詩に「李陵衛律陰山死。不 似 葵芲 織 大陽 」と云にひとし。七八月花。
※ 「大陽」は、太陽。
※ 「抱」の読みは、誤読しているかもしれません。
あらせいとう 紫羅蘭花
三月はなさく。花のかたち柳葉にしてひろく、はのうへに粉ふく。莖ふとく、ふしたかし。はなびら四辨、いろ紅むらさきにつやあり。そこ白し。葉のうへにすゞなりにさく。あとに皀角有。かたち豇豆のごとし。さゝげのはやなりに、これをかへもちゆるなり。
七りん草 九輪草 旌節花
花のかたち、さくら草のごとくにて、葩あつく、しの立まはりさく。しのふとく立のび、だん/\に咲。色数あり。白紅、あるひは、ゆきしろげんじ、又、うすいろ、咲分有。地紅にしてはなびらふる白きを源氏九りん草といふ。
※ 「咲分」は、ひとつの株の草や木に、色の違う花が咲くこと。
羅生門
はな三月。はなるり色、とりかぶとのはなのごとし。葉おどり草のはにして、すこしながくうすし。莖蔓生ず。くきをふせ、ふしより根ををろしはびこる。
残菊
筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
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