飯鮹（いひだこ）

飯鮹（いひだこ）

出典：国立国会図書館デジタルコレクション『日本山海名産圖會 5巻 [4]』

飯鮹いひたこ　漢名　望潮魚はうてうきよ

摂泉紀播州に多し。中にも、播州高砂たかさごを名産とす。是これ鮹たこの別種にして、大おほきさ三四寸にすぎず。腹内ふくない白米飯はくまいいひの如き物充満す。食鑑しよくかんに云、江東かうとう 未いまだ 此物このものを見ず。安房、上総などに  偶たまたま  是ありといへども、其その真しんをしらずとぞ。

高砂 望潮魚

漁捕ぎよほは、長ながさ 七八間けんのふとき縄に、細き縄の一尋ひろ 許ばかり なるをいくらもならび付つけて、其その端はし毎ごとに赤螺あかにしの殻を括りつけて、水中に 投とうず。潮しほのさしひきに波なみ動うごく時は、海底に住みて穴を求もとるが故に、かの赤螺に隠かくるる。これをひきあぐるに貝の動けば、尚底深く入いりて引取ひきとるに用捨ようしやなし。

其端毎に赤螺の殻を括りつけて水中に投

かの赤螺に隠るこれをひきあぐるに貝の動けば
尚底深く入て引取に用捨なし

◇

飯蛸とわけぎのぬた
Photo by mominaina

筆者注　新しく解読できた文字や誤字･誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介／免責事項」をお読みください。📖