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【梅園魚品図正】(25) さんま/さい

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『梅園魚品図正 巻1


サンマ

癸巳七月廿九日 真寫
海魚類

此者、房州、常州より多、塩にして遠に送る。生なるは味不美。而、遠に送る事少し。故に見る人稀也。生なる者、今年、漸く得之。

すべて塩に和して味美なる者は、生魚にして味不 宜。マスサケ、最同じ。

※ 「房州」は、安房国あわのくに
※ 「常州」は、常陸国ひたちのくに
※ 「漸く得之」は、ようやくこれを得る。
※ 「不 宜」は、よろしからず。


サイ

癸巳八月十三日 永代橋之邉釣 真寫
河魚類

『大和本草』 サイ
 マルタとも言  坂東の方言
 イダ  筑紫 及び 京都の方言

武州玉川 及び 上州利根川、又、荒川に多く捕る。尤、大河所々に有之。小なるをウゴイと云。ミゴイは 別物也。

琵琶湖、諏訪の湖なぞに、漁人多く捕る者、形狀大に異り。ウグヒと云。マルタ、能 香魚アユに類す。『湖中産物證』に出す。嘉魚は亦一種ならん乎。

※ 「坂東」は、関東地方の古称。
※ 「武州」は、武蔵国むさしのくに
※ 「上州」は、上野国こうずけのくに
※ 「有之」は、之あり。
※ 「能」は、よく。
※ 「湖中物證」は、『湖中産物圖證』のことと思われます。
※ 「ならん乎」は、ならんか。

又曰、鯇は、水鮭ミヅサケ、ウグヒは一種別物也。形狀、鯉に類す。此者、漁人 サイとす。●考るに、サイは 似鯉ニゴイ 也。鯉に其形狀似り。『綱目』に白魚とす。此者と大に形狀異り、此者は香魚アユに類す。琵琶湖に生ずるカヅラスなるべし。下條の白魚と照し見るべし。



筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心でのためパソコンで表示できない漢字が多く、漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で示すようにしました。

また、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、振り仮名と送り仮名はひらがなで記載しています。
この作品に引用されている文献については、こちらの note を参照してください。 → 【梅園魚品図正】文献まとめ

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