![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/133900780/rectangle_large_type_2_af06064b6220978c23f6aae47b7a848e.jpeg?width=800)
『万国名勝尽競之内』仏蘭西把里須府
![](https://assets.st-note.com/img/1710399334165-25d2CdQUkQ.jpg?width=800)
『万国名勝尽競之内 仏蘭西把里須府』
万国 名勝 尽競之内 仏蘭西把里須府
把里須の 大府は 海面に 堅城を 築き、城の 櫓の 上に 開國 祖王 の 像を 置り。像體 悉 く 黄金にして、其 光り 日に 央ず。
※ 「把里須」は、フランスのパリ。
※ 「大府」は、大きな街という意。
※ 「把里須の大府は 海面に堅城を築き、城の櫓の上に開國祖王の像を置り」とありますが、パリは内陸都市なので、これは地中海の港町マルセイユの説明と思われます。
また、「像體悉く黄金にして、其光り日に央ず」とあるのは、ノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バジリカ聖堂の塔に立つ聖母像のことではないかと思います。鐘楼の上から海と町を見守る黄金の聖母像は、マルセイユのシンボルとなっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1710405536572-1KFXJBOVsV.jpg?width=800)
城下の 市坊は、英国の 龍働より 狭しと 雖 も、家々の 壮観 美麗にして、諸州に 冠たり。
※ 「龍働」は、イギリスのロンドン。
![](https://assets.st-note.com/img/1710399340762-72MEcWlQry.jpg?width=800)
『万国名勝尽競之内 仏蘭西把里須府』
国民 皆、智才たくましく、諸蓺にぬきんず。都下に 諸学校を 設け、是に 居集の 生徒 數万人、他国の 商人と 互市なすこと、墨英の 両 大府に 劣らず。
※ 「墨英の 両 大府」は、メキシコ(墨西哥)のアカプルコとイギリス(英吉利)のロンドンのことと思われます。
![](https://assets.st-note.com/img/1710405545946-nIn5ogKLHl.jpg?width=800)
港口には 萬国の 商 舶 群集りて、一歳一日 繁昌ならずといふことなし。
![](https://assets.st-note.com/img/1710399345560-851v9nx7Vq.jpg?width=800)
『万国名勝尽競之内 仏蘭西把里須府』
中興、此国の 偽帝 那波礼翁勃奈跋兒的なる人、天下 席巻 の 形勢をふるひたりしより、一雙の 国威を増、今に 於て、外寇の 愁ひなしといへ共、海辺には 數處に 砲臺を 置て、防御の 備へおごそかなり。是 将に 當国は 英国と 對する 間 僅に 二十二三里 便風の 時は、一日にして 往還するの 故なりとぞ。
萬國噺の作者
假名垣魯文譯誌
※ 「那波礼翁勃奈跋兒的」は、ナポレオン・ボナパルト。
※ 「外寇」は、国外から敵が攻めてくること。
※ 「便風《よきかぜ》」は、風便。風向きが都合よいこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1710405551572-agixgYB9Si.jpg?width=800)
< 同シリーズの作品 >
・ 英吉利龍動海口(いぎりす ろんどんのみなと)
・ 大清南京府市坊(だいしん なんきんふのしばう)
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖