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豚バラブロック600g

大塚愛に黒毛和牛が何円みたいな歌あるよね。野花紅葉です。

豚肉の、あの脂身の焼ける匂いが最高に好きだ。ガリガリに茶色くなるくらいまで焼いちゃって、ラードも作って保存しちゃう。けれど本当に好きなのは「煮る」という行為で、ちなみにこれは狂おしいほど好きでよくやる。

「はらわたが煮え繰り返る」という日本語があるけれど、そういうときわたしは豚バラブロックも一緒に煮る。

怒りという感情は処理が難しい。人にぶつけるとその人を壊してしまうし、なんなら壊してしまいたくなるし、いつの間にかそれだけが目的になってしまうし、実際にわたしは壊された経験がある。心のない痛がってくれないものを壊すより、心を持った痛がってくれる人間を壊す方がやりがいがあるのだ、きっと。そういうどうしようもない暴力性を、わたしは豚バラブロックにぶつける。

昨日は600gの塊を煮た。買った時より小さくなった塊も、表面に浮かぶ膨大な量の脂も、口に入れたら崩れる頼りない身も、わたしの3時間にわたる絶え間なき暴力の結果である。おかげで、今日のわたしはどうしようもない暴力性を下品で野蛮だわとあしらえるようになる。「身を潜めている美しくないもの」は、そういう努力によって普段身を潜めていられるのだ。

怒りの理由は書かない。それは豚バラブロック600gだけが知っていればいい。

「暗い趣味ですね」

わたしの努力は、趣味らしい。まあいっか。

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