いつまでも、我が子を我が子にしたいひと
「まあ、そのほうが気兼ねせんでええし」
と義母が言ったのは、義実家が義兄抜きで旅行に行くという話の最中だった。義兄は義姉の結婚相手なので、義実家とは血がつながっていない。義実家のオリジナルメンバーではないのだ。そのことを、義母は言っていた。
変な空気が流れる。当然だ。だって私だって義母からしたら義理の娘で、オリジナルメンバーではないのだから。
失言といえば失言。
しかしある意味、私のことを実子のように思っているからこそ出た失言でもあり、これは喜ぶべきなのか気分を害すべきなのか、気まずい一瞬のうちに判断しかねた。
言いたいことはわかる。オリジナルメンバーでいたほうが気兼ねせんでええという、気持ちは分かる。思わずその言葉が口をついてしまったのも、まあ分かる。分かるというかどうでもいい。実子のほうが気兼ねしなくて良いと義母が感じるのはごくごく普通のことだと思うし、それはそんなもんだろうと思っているので、口に出しても出さなくても別にどっちでもいい。
それよりも気になるのは、
”いまだに” ”実際に”
オリジナルメンバーで旅行行ったりするとか、大丈夫?
ってこと。
子どもは新しい家庭を築いたんですよ?
いくらオリジナルメンバーが気楽だからといって、そんなに過去に固執してだいじょうぶ?
いや義母だけでなく義姉もね。
だいじょうぶ?
自分が義姉の立場ならそうはならないのはもちろん、義母の立場でもそうはならないなあと、あれこれ考えたけど、そう思っちゃった。
新しい家族の形態をさ、受け入れてこその人生じゃない?
それって楽しくない?
いやまあ百歩譲って楽しくないとしても、過去の家族に固執してんの、なんかダサくない? つまんなくない?
気を遣うでしょうよ義理の息子には。
つれなく見えるでしょうよかわいい我が子が。
でもそれって通過儀礼じゃない?
その痛みってそんなに痛い?
自分なら、『我が子』をやってる我が子じゃなくてさ、『妻』や『お母さん』をやってる我が子が見たいよ。
次のステージには次のステージなりの、楽しみ方ってもんがあるんじゃないのかい?
まあ義母からしたら、義姉がことあるごとに自分のところに帰ってくるから、誘惑に勝てないみたいなところだと思うんだけどね。
なんだろう、保守的だよなあ。
気兼ねしないってそんなに大事か?
って、私が誰に対しても大して気兼ねしない人間だからそう思うだけなのかしら。
まあ、義母と義兄の間に確執があるとかそんなのだったらね、至極納得なんですけれども。むしろそうであった方が理解できるんだけど。そんなふうじゃないんだよなあ。
成長した我が子を否定するような、わざわざ時間の流れに逆行するような行為が私にはちょっと謎で。
まあでも、別に、自分とは関係ないので結局はどうでも良いんですけどね。
ただ意味はちょっと分かりませんでしたと、そういう話。
いつもありがとうのかたも、はじめましてのかたも、お読みいただきありがとうございます。 数多の情報の中で、大切な時間を割いて読んでくださったこと、とてもとても嬉しいです。 あなたの今日が良い日でありますように!!