高橋俊之@モメンタム・デザイン

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター リーダーシップ開発プログラム副統括責任者…

高橋俊之@モメンタム・デザイン

早稲田大学グローバルエデュケーションセンター リーダーシップ開発プログラム副統括責任者、 淑徳与野中学・高等学校 教育顧問 プロジェクト・ファシリテータ https://momentum-design.com/

最近の記事

想定を超える高校生たちの企画・実行力、そして学びを活かす力に、うならされました

STEAM海外派遣研修成果報告会に行って来ました 今日は、春に一緒にシアトルに行った都立高校10校の生徒たちの成果発表会でした。僕は事前のオリエンテーションと1週間の研修ツアーの間、ファシリテータを務めていました。 最初に東京都教育庁の担当者とミーティングを持った時に「この研修を通じて何をやりたいんですか?」と質問したら、「教育を変えたいんです」と返って来ました。こういうのを聞くと「おー!」とうれしくなっちゃいます。笑 しかし都立高校生を1週間40名も各校の先生方と海外

    • 「虎に翼」に思う - 挑戦ゆえの失敗を非難してていいのか?

      NHK朝ドラ「虎に翼」は始まった時から興味深く見ています。今の時代にも通じる問題意識に共感したり打開策のヒントを得たり、逆に我々が当たり前だとおもっていることがそうでないことに改めて気づかされたり、単純におもしろくて笑っちゃったり。 そんな中、先週はちょっと違った感情というか違和感を持ちました。これも制作陣の狙いだったのか?(以下「ネタバレと言えばネタバレかな?」もあり) 主人公の寅子が恩師である穂高先生に怒りをぶつけるシーン。同じ方向に向かって進みたいと思い続けているの

      • 仕事ってサボりたいもの?

        先週から始まった「リーダーシップ開発:社会人へのトランジション」の授業で、社会人の先輩たちを招いて「若手社会人のリアル」を知るセッションをしました。その中で在宅勤務の話になって、ある学生から「家でやっていると仕事をサボりたくなりませんか?」という質問が出ました。この質問をきっかけに気づいたことが。   そもそもサボりたくなるような仕事に就いている時点で問題じゃない?   これが全ての人に当てはまらないことは承知しています。しかしリーダーシップを学んでいる人は、自分や組織・社会

        • 大人にも学び満載の生徒総会参観

          次男(公立中2)の学校の参観に行ってきました。見応えがありました。 特徴的なのは、教科の授業よりも生徒総会とその準備のホームルームを前面に出していたこと。生徒達が「学校でやることについて自分たちで決める」中ですごく学んでいることを見せたかったのだと思います。実際、とても見る価値がありました(大人も学べる!)。親は「受験に向けてうちの子は大丈夫か」と気になりがちですが、むしろこのように実際に使えるようになるために教科の授業があるのですし、こうして使っていれば「試験が終わったら

        想定を超える高校生たちの企画・実行力、そして学びを活かす力に、うならされました

          タイマネ - これからの日本に必要な仕事感覚?

            早いもので春クォーターの「リーダーシップ開発:理論とスキル」が終わりました。最終回の授業でこれまでとちょっと違ったことがいくつかあったのですが、その一つがタイマネ(タイムマネジメント - 限られた時間でいかに成果をしっかり出すか)を受講生が意識していたことでした。 「リーダーシップの授業でそういうことも学ぶのか」と思われるかもしれませんが、二つの理由からこれは大事じゃないかなと最近考えています。 社会人になっても生きてくるタイマネ意識一つは、タイマネ意識が、次の夏クォ

          タイマネ - これからの日本に必要な仕事感覚?

          心理的安全性って呼ばない方が良いのかも

          全員発揮のリーダーシップが成功する上では、心理的安全性の存在が一つの鍵になります。そこでこの概念を授業で扱い、心理的安全性をクラスやチーム内に構築するよう呼びかけるわけですが、ここで多くの受講生が心理的安全性を誤解してしまうことがハードルになっています。 異論が言えないのは心理的安全性じゃない心理的安全性を、ネガティブな反応を恐れずに異論・提案を言える状態ではなく、単に平和だったり楽しかったりする状態だと捉えてしまうのです。 なので例えば「やり方を変えた方がいいと思ったの

          心理的安全性って呼ばない方が良いのかも

          若手向けキャリアデザイン&思考ワークショップDay3

          先週末は、パフォーマンス・レバレッジの田鍋安弘さん、岩佐美由紀さんと、若手向けのキャリアデザイン&思考のワークショップをやっていました。今回はDay3(参加者によってはDay4)にあたり、これまで蒔いてきた種の芽が出てけっこう育ってきた印象を受けました。 意図を持って動き、解像度を上げる実は前回までは、みんないろいろ良いものを持っているのに、日本の仕事環境に影響されてか、小さくまとまってしまったり自分のやりたいことが分からなくなってしまったりしていて、すごく悲しいというか、

          若手向けキャリアデザイン&思考ワークショップDay3

          その心理的安全性はどうやって生まれているんだろう

          明後日から始まる授業に向けて、準備も秒読みになって来ました。その中でとりわけ心強く感じるのは、運営チームのいわゆる心理的安全性の状態が、とても良いことです。とりわけ、 今のやり方に異論を述べたり、「え、分からない」と言ったりするのを自然にできて、またそれを踏み台により良いものに仕上げていけていること。 それは良いのですが、あと1年で離れることもあり、どうしてできているのか、改めてちょっと考えてみました。 まずなんといっても大きいのは、ビジョンを共有できていることだろうと

          その心理的安全性はどうやって生まれているんだろう

          前提とか概念とか世界観が変わる教育をしたい

          今日はキャリア開発のワークショップの準備ミーティングでまた白熱していました。その中で上のようなことが出て来ていました。またこれ、キャリアの話だけでなく、あらゆることにあるように思います。 例えば「仕事とは苦痛に耐えて労働をすることで対価をもらうもの」と捉えている人がそのまま自身のキャリア開発をするのは非常に難しい。「仕事の世界は他人を蹴落としてのし上がっていくところ」という捉え方をしている場合も、本人が優しい人ならキャリア開発はなかなか難しいでしょう。 「仕事は会社や上司

          前提とか概念とか世界観が変わる教育をしたい

          問題意識からサプライズに向かえ

          今日は「リーダーシップ開発:授業外への適用」の授業日でした。受講生がそれぞれの現場で見つけてきたテーマの作戦会議をしていて、今日は各人の問題意識にどう周りを巻き込むかを考えていました。 その中で話したのが冒頭のことです。問題意識そのままだと周りの人にもその正しさは伝わっても「面倒だな」とか「難しいし」とか感じられて、なかなか動いてもらえなかったりします。 そこで誕生日のサプライズのような、ワクワクや嬉しい驚きが起きるように仕立てようと。 僕ら自身そうで「大学生がきちんと

          問題意識からサプライズに向かえ

          論理思考は心から人に動いてもらうためにとても役に立つ

          最近、考えて来たことがつながる(connecting the dots)ことがよくあります。そういう時期なんでしょうか。自分的には「おー!!」と思うのですが、人に説明して伝わるのかどうか、でも伝えたい気持ちもあるので、少しずつトライしてみたいと思います。 今日は「やっぱり論理思考は心から人に動いてもらうためにとても役に立つんだ!」という内容です。 僕が関わってきたカリキュラムでは、リーダーシップ開発に論理思考を入れていて、その先頭に置いているのが、「目的を押さえる」ことで

          論理思考は心から人に動いてもらうためにとても役に立つ

          考えがまとまってから話す?まとまっていないからこそ話してみたら?

          先日、あるところで対話とかコミュニケーションについてディスカッションしていた時のことです。ある人が「なんとなく感じていることはあるのだけどうまく言語化できていなくて話せないことがよくあります」と言っていました。 だからそのことについて話せない、対話にならない、といったことだと思うのですが、それを聞いて思ったのは、そういう時こそ話してみるといいんじゃないかなー、ということでした。 僕が一緒に仕事をしていてとても楽しくやれる人に、「まだ言語化できていないけど何か違和感がある」

          考えがまとまってから話す?まとまっていないからこそ話してみたら?

          貫いているのは「ものの見え方」を変える考え方をいかに伝えるか

          きのうは「リーダーシップ開発:社会人へのトランジション」の授業の後、みんなと食事にいって盛り上がり、帰ってから別の授業の教材を作っていたら朝の3時半になってしまいました。 授業では、ベテラン社会人代表として、高校同期の緒方君と、RMSの桑原さんに来てもらって、学生達が「社会人の世界はどう違い、そこでどんなリーダーシップを発揮すると良いのか」を考えるのを手伝ってもらいました。 いろいろ興味深かったのですが、最も印象的だったのは「学生から社会人への変化って、ネガティブなものば

          貫いているのは「ものの見え方」を変える考え方をいかに伝えるか

          話したことなかったのに最初から心理的安全性高いって、なんで?

          話したことなかったのに最初から心理的安全性高いって、なんで? 上の言葉は、ちょうど先日、「リーダーシップ開発:授業外への適用」の授業内(ちょっと分かりにくいですね笑)で、ある学生二人の会話に出てきたものです。 心理的安全性を高めるのに自己開示が必須って本当?そのうちの片方は、心理的安全性の高い状態を自分のゼミ内で作ろうとしていて「このためには自己開示が必要じゃない?」と考えていて、その作戦を話しつつありました。 ところが彼、その途中で「あれ?」と疑問に思ったとか。という

          話したことなかったのに最初から心理的安全性高いって、なんで?

          僕らが作る連ドラの最終話を考えよう

          今週の「リーダーシップ開発:理論とスキル」では、各クラスでクラスビジョンを考えてもらいました。ビジョンと言っても、かっこいいけど具体的なイメージが湧きにくいキャッチフレーズ的なものではなく映像で目に浮かぶような、もし自分たちのクラスを連ドラに例えるなら、その最終話を考える感じです(もちろんハッピーエンド)。 良い目標設定、心理的安全性、自己調整学習者で、一石二鳥、三鳥になりそうだと、とても楽しみに思っています。まず、リーダーシップに不可欠な目標設定・共有そのものだということ

          僕らが作る連ドラの最終話を考えよう

          真の心理的に安全な場

          「心外です」 いつも授業前にミーティングを行っている開発チーム。先週は授業が最終回だったので振り返りを行っていました。その中で、一番印象に残ったのが冒頭の言葉です。   これは開発チーム学生メンバー(CA)の一人が笑いながら発した言葉。何が心外かというと、学期途中で授業運営チームの学生メンバー(TA)から「CAつらそう、楽しくなさそう」と言われたことだそう。   この現象、とても興味深く思っています。 TAたちは開発に直接は関わっていないのですが、Slack上でのCAたち