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12.6全日本プロレス世界最強タッグ〜田村男児の覚悟と大森北斗の絶叫

行ってきましたよー。12.6全日本プロレスの世界最強タッグ決定リーグ戦(以下最強タッグ)。この日は最終戦のため2023年の最強タッグ優勝が決まる大会でした。それと同時に今年も同時に開催していたJr. BATTLE OF GLORYの優勝決定戦もとり行われました。この日の会場は「超満員」には至らずも、「満員御礼」。前回同様平日開催でしたが連続満員。個人的には近年で最も全日本プロレスに勢いがあった2019年に近い状況だと思います。実際会場の熱気も高く、試合開始前から7割以上の席が埋まるなど。とても良い環境でした。

ぼくはこの日は元々「最強タッグの優勝決定戦があるから」という理由でチケットを購入していました。しかし前日の夜にとある選手のXの投稿を見て「Jr. BATTLE OF GLORYを見届けたい!」と強く思いました。それはこの投稿です。

土井成樹との優勝決定戦に挑む田村男児。ときにはGLEATのUWFルールの試合。ときには青木真也や関根シュレック秀樹とのグラップリングルールの試合。令和プロレス界でもにまっすぐに強さを追求する。更には大仁田厚との電流爆破マッチも経験。横軸も縦軸も幅広く様々な経験を積み、今に至ったのが田村です。そうした自分の歩んだ道への信念。そして今回の舞台に至ること(これまでの対戦選手へのリスペクト)を背負う。わずか24歳の若者がこれだけの覚悟を持っている。それを知ったからには俄然「田村頑張れ!」という気持ちになりました。

はたして土井と田村の優勝決定戦はぼくの期待に違わぬ。想像以上の名勝負でした。これまで積み重ねたパワーとグラウンドレスリングを繰り出す田村。ベテランらしく田村の攻撃を正面から受けつつ。しかし時には技巧な切り返しを見せる土井。両者の個性がうまく作用し、この試合がメインと錯覚するかのような熱戦。その熱戦を制したのは田村の渾身のパワーボムでした。試合後にお互いに座礼して健闘を称え合う姿は、リーグ戦のフィナーレとして美しい光景でした。12.31代々木第二体育館大会ではGLEATのエルリンダマンが持つ世界ジュニア戦が決定し。田村はベルト奪還を目指します。


大輪の花が咲く間際!


そしてこの日のメインイベント。宮原健斗&青柳優馬VS中嶋勝彦&大森北斗。セミまでの試合結果により両チームで勝利した方が優勝となる形となりました。今年の最強タッグは11月に青柳から三冠ベルトを奪取した中嶋勝彦が参戦。タッグパートナーには大森が設定されましたが、中嶋はそれを認めない姿勢でした。しかしリーグ戦が進むにつれて二人の関係も少しずつ改善を見せ。12.6前日には公園での夜間特訓の動画をXにアップするなど。タッグチームらしさがでてきました。一方の宮原&青柳のビジネスタッグは完成されたタッグチーム。最強タッグの優勝も世界タッグ戴冠も果たしており、その完成度は折り紙付き。最終日までの間も随所で好連携を見せて勝ち星を重ねてきました。12.31代々木大会で一騎打ちを控える宮原と中嶋の対戦への期待という状況もあり、大森がどこまで粘れるか?が一つの鍵でした。

大森は今年ジュニアからヘビーへ転向しました。スーパーヘビーの多い全日本プロレスにおいて大森は身長だけみればヘビーでは厳しいか?という印象が、ぼくの中では正直言ってありました。実際ヘビー転向後も世界タッグ戦や三冠戦などチャンスには恵まれたものの、目に見える結果は出ず。ヘビーでの序列は後輩の安齊勇馬、本田竜輝、斉藤ブラザーズの後塵を拝する形。一方で元にいたジュニアでは同期の青柳亮生らが急成長。「ジュニアにいたままのほうがよかったかも…」と思うこともありました。ある意味で1年間耐えてきたといえるでしょう。

鍵となった大森がこの日に見せたのはまさしく「耐える姿」でした。チームワークでは上回る宮原青柳組(ビジネスタッグ)は中嶋と大森を巧みに分断し大森を標的にして攻撃を続けます。分断された大森は必死にビジネスタッグの猛攻を耐えます。サイズは無くとも体重を増やし。相手を破壊するパワーには至らずとも、耐えるだけの重さをこの一年で身につけたからこその耐えでした。中嶋大森組も試合終盤ようやく連携がなされるようになり、大森は青柳に対して渾身の無双一閃をぶつけ。ついには3カウントを奪って世界タッグ決定リーグ戦の優勝を決定付けました。


100の言葉より観客に伝わる1の叫び

試合後にリングで絶叫したように。大森はこの四人の中で誰よりも結果に飢えてしました。タッグとしての完成度はビジネスタッグが上回っていました。しかし大森が技術を超えて闘う魂を全面に出したこと。それが執念となりビジネスタッグをわずかに上回った。というのがぼくの感想です。

現役バリバリの世代に若手が食ってかかり結果を出す。この日の田村の優勝と中嶋大森組の優勝は、そうした今年の全日本プロレスを象徴する流れでした。近年の選手離脱よって全日本プロレスの選手層は2019年に比べて薄くなっていました。それをこの一年かけて若手がジャンプアップしたことで取り戻しました。もちろん他団体やフリーランスの選手があって取り戻した厚みなので、まだ楽観視はできません。ただし12.31には芦野祥太郎も復帰復帰を果たし。さらには野村直矢もきっと来年の春には帰還するでしょう。既に会場の熱量は確実に2019年のそれを取り戻しています。それは平日後楽園連日満員という結果にも現れています。しかし2019年と比較してまだ足りないものがありますよね?そうですその通りです。


舞台は整った!いざ奪還!


宮原健斗の腰に三冠ベルトがない。これが2019年超えの最後の鍵だと思います。奇しくも12.31代々木大会のメインは三冠王者中嶋VS挑戦者宮原の試合。壁をぶち破った宮原が選手全員を引っ張り上げた今年。全日本プロレスが更に上がるには。宮原に次の壁をぶち破ってほしい!それがきっと2024年の全日本プロレスの夜明けになるでしょう!

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