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ローペースであるという武器〜全日本プロレスの魅力〜変わること変わらないこと

あなたは全日本プロレスという言葉からどんなイメージを持ちますか?「王道」「老舗」「保守的」。おそらくそうしたイメージを持つ人が多いでしょう。そしてネガティブに捉えれば「変化が遅い」といった意見もあるかもしれません。

エンタメの選択肢が無数に増えた現代社会において、それらの中から選ばれる存在になるには?常に話題を提供する必要があります。話題を作る→多くの人に伝える→消費させる→新たな話題を作る。サイクル自体は過去と同じですが、その速度は現代では過去と比較になりません。競合するエンタメが多ければ。それだけ話題を多く早く作って回さねばなりません。そうしなければ無数の選択肢から選ばれづらくなります。

しかし一方でそうした早いサイクルについていけない人もいます。私はまさにそうです。変化の早いジャンルを好きになったならば?変化のサイクルに振り落とされないように、必死にしがみつかねばならない。そして一度振り落とされたら追いつくことができない。私はある意味でひたすらに消費することに疲れたのかもしれません。

そんな私にとって全日本プロレスという世界はとても居心地が良い場所です。3.14の新宿FACE大会を例に捉えれば。セミファイナルには全日本プロレスの太陽たる宮原健斗がいます。彼が団体を支えるエースとなって数年経ちますが。未だに満場一致で全日本プロレスのファンからエースとして支持されています。変化の早い現代でも。たとえ数ヶ月全日本プロレスの話題から離れていても。「彼を見れば全日本プロレスがわかる」。「彼がいるのならば必ず明るく楽しく激しいプロレスを見せてくれる」。宮原健斗はそうした安心感をファンに与えてくれます。

一方で全日本プロレスでも緩やかに変化は起きています。諏訪魔は強さだけではなく、尾崎魔弓や雪妃魔矢と組みミクスドマッチで新たな魅力(かわいらしさ)を発揮し。ジュニア戦線では若きエース青柳亮生を下した土井成樹がジュニアタッグリーグの実施とタッグベルト創設を訴えています。そしてなにより現在三冠統一ヘビー級のベルトを巻くのは新日本にプロレスの永田裕志です。このように全日本プロレスでは急激ではないものの、少しずつ変化は訪れています。

この変化が急激ならば?私は全日本プロレスを追いきれないかもしれません。そうではなく「追いかけること(追いきれないこと)にストレスを感じない」。その空気は私にとってとても心地よいものです。

安齊勇馬や井上凌が日毎に成長している様子。あと一歩の壁を乗り越えようと奮闘青柳優馬と野村直矢の姿。青柳亮生から全日本プロレスの新たな太陽となる予兆。未だに強さ示す諏訪魔と石川修司の迫力。そして絶対に観客を満足させる宮原健斗の安心感。

矢継ぎ早に話題を振りまくことができないからといって。それが全て悪だと私は思いません。全日本プロレスの持つ(宮原健斗の持つ)安心感を最大限に活かすのであれば?それはローペースという今の空気なのかもしれません。

あなたがもし「話題を追うことに疲れたならば?」「話題についていけないことにストレスを感じるのならば?」。是非全日本プロレスに触れてみてください。そこには絶対的安心感があります。



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