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引田かおり「どっちでもいい」をやめてみる を読んで

東京 吉祥寺でギャラリーfeveと、パン屋 ダンディゾンをご夫婦で営む引田かおりさん。きっと、自信に溢れ、ご自身をしっかり持ち、かっこよく進んで来られた方に違いない、と思っていたので、そうじゃない時期もあったと知って衝撃でした。彼女も悩んで生きて来たんだと知り、悩めるアラフィフはこの本に救われました。

とにかく今の自分に重なるので、夢中で読みました。がむしゃらに母として突き進み、家族のために自分のことは二の次な生き方を良しとして、子育てと家事に明け暮れる専業主婦な私。ひたすら家オンリーな生活と思春期の子ども達とのストレス倍増な日々にアラフィフの体調の悪さも重なり、不調の頻度が増して来て。陽気な性格にも陰りが出始め、煮詰まり過ぎて焦げそうな時にこの本に出会いました。

引田かおりさんも、40歳近くまで自分のことは後回しで、家族のために生きて、自己肯定感は低く、自分を大事にしていなかったそうです。

ある時から、「どっちでもいい」をやめて、自分の「好き」を優先する勇気を持ち、常に自分のした選択は最善の選択だった、と自分を肯定することで、気持ちのいい人生を歩めるようになった、とあります。意識を変えるのは大変ですが、今からでも変われるんだ、と思えます。

本にはこだわりの雑貨の写真も数多く紹介され、いわゆる押し付けの生き方哲学書とは異なって、読みやすいライフスタイル写真集のようでもあります。

素敵な言葉がたくさんありましたが、中でも次の言葉に共感しました。

自分の考えがいつも正しいとは限りません。自分以外の人の考えや意見に寄り添う寛容さはとても大切なことなのです。共感できなくても、「あなたはそう思うんですね」と思うこと。夫婦でも友だちでも親子でも仕事仲間でも、違うことでたくさんの発見があるからです。
混沌とした世界情勢、悪化する地球の環境。でも絶望だけでなく、しなやかに毎日を暮らす工夫。笑い飛ばす知恵。ー中略ー大変な経験こそふり返って感謝できることに違いないのですから。
「どっちでもいい」をやめて何かを選択する強さと、「どっちでもいいよ」と寛容になれる強さは、決して対立しない、美しい調和だと思うのです。

ものの手放しかた、余白のつくり方の章も響きました。

たくさんものを持つには、体力や気力が必要です。ものに圧倒されたり、支配されたりする暮らしはくたびれます。ー中略ーいい空気が流れる家にするために、ぎゅうぎゅう詰めはやめたいもの。混み合ってきたら、見直しの時間。

我が家はまさにぎゅうぎゅう詰め。どおりでくたびれます。居心地のいい場所づくりをし、そこでほんわかと花を咲かせたいものです。

長くなりましたが最後にお店の紹介を。一度は訪れる価値ありの、素敵な場所です。

何度かその洗練された店構えに緊張しながらも時々立ち寄っては、自分へのご褒美にこっそり味わっていたダンディゾンのパンは、もはやショールームの食べる芸術品。店員さんにオーダーして一品ずつトレーに取ってもらう格式高い感じと裏腹に、口にするとじわじわと優しく体に取り込まれるような、ぬくもり溢れる味わいで、そろそろお取り寄せしようかと本気で迷っています。

2階のギャラリーでは籠、器、古道具などと企画展示販売が定期的に開催され、ご夫婦のセレクトされるモノのセンスの良さに惚れ惚れしながら見るのが楽しみでした。古い木の器はその時に出会いました。またいつか企画展に行くのを楽しみに、まずは自分をいたわり、居心地のいい家づくりを楽しもうと思います。

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皆さんもどうぞご自身をいたわって、梅雨明けを心待ちにしましょう。


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