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センター試験前のTwitterに、共感されるメッセージの本質を見た話

こんにちは。岡本と申します。
普段はスパイスボックスという会社で「アナリスト」という肩書きのもと、企業がどんな情報を発信すべきか?の方向性を決めるお手伝いをしています。余談ですが、ディズニーリゾートによく出没しています。ディズニーシーの「テディ・ルーズベルトラウンジ」で飲むカクテルは最高です。(大きい船の2階。オシャレ。)

仕事でも、また個人としてもTwitterを見ることが非常に多いので、最近Twitterで印象的だったことをつらつらと語りたいと思います。

受験生たちの負の感情が積もるTwitter

突然ですが、この時期になるとTwitterを席捲する話題があります。
そう、「センター試験」です。
センター試験といえば、大学入学を目指す受験生の多くが挑戦し、かつ日程的にも受験シーズン最初の試験でもあります。
また、全国的に同じ内容の問題で受験する唯一の試験であることから、Twitter上でも毎年トレンドに入るほどの話題量を誇る一大イベントとなっています。今年でセンター試験が終了し、「大学入学共通テスト」になる、という点からも、「最後のセンター試験」として、より一層話題となっていますね。

「受験」というのは人生の中でも一大イベントです。
何ヶ月も前から、人によっては高1の頃から時間を掛けて、まさに人生をかけて臨むような方も多いのではないかと思います。
試しに「受験」というキーワードをTwitterで検索してみると、学生と思わしきアカウントからの「しんどい」「つらい」「疲れた」「落ちる」「地獄だ」などの負の感情があちらこちらで発信されています。
嫌いな勉強を頑張らなければならない、しかも頑張りが報われるかわからない、といった鬱々とした感情が積もりに積もり、Twitterという場で発散されているのでしょうか。
(ああ、なんだか嫌な思い出が蘇ってきますね。ちょっと書いてて吐きそうになります。)
こうした独り言のようなリアルな感情が発信されていくところも、Twitterの特徴かもしれません。

共感される「応援ツイート」とは?

そんな受験生に少しでも励みになってもらおうと、エールを送る方のツイートも、また同様にこの時期の風物詩となっていて、中には数万単位の「リツイート」や「いいね」を獲得しているツイートも存在します。
つまり彼/彼女らのツイートは受験生たちの心を動かし、自発的に自分の仲間にシェアしたい、とさえ思ってくれているということです。
このような、受験という人生の転機をテーマとして、自発的にシェアされていく投稿にこそ、共感されるメッセージへのヒントがあるのではないでしょうか?
では、大量の「リツイート」「いいね」を獲得した応援ツイートとは、どのような人の、どのようなツイートなのかを見てみましょう。以下は「センター試験」というキーワードで検索した時の、エンゲージメント上位のユーザーと、そのツイート内容です。

1位 野田洋二郎さん(RADWIMPS) 60,218エンゲージメント

2位 上白石萌歌さん(女優) 33,595エンゲージメント

3位 青木源太さん(日本テレビアナウンサー) 28,382エンゲージメント

4位 はなおさん(Youtuber) 19,873エンゲージメント

5位 でんがんさん(Youtuber) 19,863エンゲージメント

※2020年1月18日現在の情報です。掲載時に上記よりもバズっているツイートが存在する可能性があります。予めご了承ください。
※株式会社スパイスボックスのソーシャルリスニングツール「THINK」にて集計。(集計期間:2019年12月18日~2020年1月18日)
※受験生応援ツイートと判断される投稿のみを抜粋しました。(センター試験ネタ的なツイートは除外しています)
※エンゲージメント:いいねとリツイートの合算数

1位が国民的ロックバンドであるRADWIMPSの野田洋二郎さん、2位は女優の上白石萌歌さん、3位が日本テレビアナウンサーで、ジャニーズ好きとして知られる青木源太さん、4位、5位は同じグループで高学歴Youtuberとして知られるはなおさん、でんがんさんと続きます。

まずこの人物ラインナップから、「誰からのメッセージか」は非常に重要だと分かります。
そりゃ自分が好きなミュージシャンやYoutuberに応援されたら嬉しいよね、というのはもちろん、彼/彼女らがどんな生き方をしているか、どんな人生を歩んできたか、といったバックグラウンドが言葉に説得力を持たせてくれているのだと思います
例えば出身大学を覗いてみるだけでも、1位の野田さんは慶応義塾大学、4位のはなおさんは大阪大学など、有名大学の名前が並びます。(すごい)
彼/彼女らも学生時代、同じような感情を抱えながら受験勉強を乗り越えてきたんだ、という親近感があるだけでも、言葉への説得力が数段上がりますよね。

また、当たり前ですが「何を言っているか」も物凄く大事です。
特に受験というテーマだと、変にアドバイス臭くならず、かつ他人からの薄っぺらいメッセージにならない、まるで近所のお兄さんのような絶妙な距離感が感じられるツイートや、「自分も頑張ったんだ!こんなしんどい状況にある受験生たちを応援せずにはいられない」と思わせられるようなツイートが支持されていますね。

非常に秀逸だと思ったのが、1位のRADWIMPS野田さんのツイートです。
本当にすごいと思ったので、もう一回上げます。

何がすごいって、この短い文章の中で「君たちはもう充分頑張ってきたんだ、あとは落ち着いて自分の力を出せば大丈夫」というメッセージを込められるところですよね。
この言葉の力が日本を代表するバンドを支えているんですね・・・(尊敬)

そしてもう一点、彼/彼女らのツイートが支持された最大の要因があります。
「その人のイメージと、発信しているメッセージがズレていないこと」です。
ある程度の影響力のある方であれば、「この人はこんなキャラの人だ」というようなイメージを持たれているものです。
例えば受験生にとっては、野田さんであれば「歌詞が個性的なバンドのボーカル」、上白石さんであれば、「同世代の女優さん」、青木さんであれば「ジャニーズ好きのアナウンサー」みたいな感じでしょうか。(すごく主観ですが・・・)
支持されているツイートを見ると、同世代の受験会場での心情を代弁してくれる上白石さんや、ジャニーズの歌詞を引用しながら応援メッセージを届けてくれる青木さんなど、彼/彼女らのイメージと発信されるメッセージがしっかりと噛み合っていることが分かります。
この「一貫性」が、数万という支持を生み出した最大の要因ではないかと思います。
彼/彼女らがどのような人生を歩んできたのか、その人生によって生み出された価値観が、どのような言葉となって発信されていくか、といった一連の流れがすべて噛み合った時、言葉に対して非常に強い説得力とメッセージ性が付帯するのではないでしょうか。

人へのイメージと言葉が合わさり、かつセンター試験という人の心に響きやすいタイミングで発信された言葉だからこそ、多くの人の心に響き、共感とともに世の中に広がっていったのではないかと思っています。

さいごに

ここまでセンター試験の応援ツイートから、どのようなツイートが人の心に響いているのかを考えてみました。
何よりも注意したいのは、ただ「受験応援ツイートが受けるんだ!」「いいねの多い投稿を真似すれば人の心に響くんだ!」などとは決して考えてはいけないことです。
この記事をまとめるにあたり、色んな方の受験応援ツイートを見ましたが、正直なところ「トレンドに乗っかってるだけじゃん・・・」と思ってしまうツイートも多々存在します。
Twitterにお住まいの方々の、いわゆる「方便」を見抜く能力は非常に高いです。
発信されている言葉は、その人の人生や価値観が付帯して初めて支持されています。上辺の言葉だけ真似しても意味がありません。
仮に僕がTwitterで「あったかくして、がんばれ。」と言ったところで、ただのサムい奴だと思われ、そっとブロックボタンを押される運命だと思います。

つまり個人でも法人でも、「自分は周囲からどう見られているのか?」または「周囲からどう見られたいか?」ということを考えて、その上で発信するコンセプトを定める必要がある、ということです。
特に法人であれば企業・ブランドが伝えたいメッセージと発信内容が合っているか?の「整合性」はよく考える必要があるのではないかと思います。
そうすれば、ただトレンドに乗って受験応援ツイートをする、たくさんいいねを貰っているツイートの真似する、という結果にはならないのではないでしょうか。
ちなみにそういった一貫性を持った、説得力のあるストーリーを考えるのは、僕が大好きなお仕事の1つです。自分たちの発信内容について見つめ直してみよう、と思った際はぜひ仲間に入れてください。
第三者の目としてお役に立てたらと思います。

今後も自分のリサーチの業務で感じることを、読んで貰えるみなさまに少しでも役立つものになるように、発信していけたらと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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