【流浪の月】 或いはたった一人の運命
朝起きたらまず、蛇口から一番最初に出る透明なお水で毎日花瓶の水を替えるような女に憧れていた。
しかし現実の私は平気で2日は放置することもしばしばだ。3日目の夜くらいになって、ふわふわした布団に入った途端に思い出し、ああ、めんどくさいと思いながら渋々這い出して水を替え、寝る。
そんなことだから昔は花も枯らしがちだったのだけれど、数年前に食器用洗剤を数滴入れると除菌になって長持ちするという手法を得てからは意気揚々とそうするようになった。仕事でも私生活でも化学の力に甘え切っている