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電気めっきを学ぶと物理と化学は電子で繋がっていると実感する!

理科は高校に入ると地学、生物、物理、化学に分かれる。物理と化学は別々のストーリーや考え方で学んでいくことになる。化学と物理をバラバラに学んだまま両方の繋がりが分かりにくいひともいるだろう。

私は物理化学を専攻して電気めっきを学んだおかげで、物理と化学がつながっていることが実感できた。

★電流と化学の反応速度

私は物理化学を専攻した。電気化学ともいう。電気めっきは化学とも物理とも非常に相性がいい。
反応速度は電流値とイコールだ。流れた電子の数は反応した金属イオンの数とほぼ一致する。反応した金属はめっき皮膜になるので重さを測れる。重さは非常に簡単に非常に精密に測れる物理量だ。100秒間で1平方センチメートルに1アンペアの電流が流れたとき、めっき皮膜の重さや厚さを測る事が出来る。
金属の密度は文献値もあるし、水中で体積を測る瓶もある。

★1モルと1クーロンで化学と物理が繋がる
1モルという化学の量が、1クーロンという物理量と関連するのだ。
1アンペアは1秒間に流れる1クーロンの量だ。電子の単位面積当たりの移動した量だ。10の18乗ぐらい電子が集まると1クーロンだ。
1モルは6✕10の23乗ぐらい。金属イオンや金属でも同じ。金属1モルはおよそ60グラム。1グラムはおよそ10の22乗の原子だ。10ミリグラムで10の20乗個。

★クーロンは電流のアンペアと繋がっている
1アンペアを100秒間流すと100クーロンの電子、つまり10の20乗の電子が動く。つまり1アンペアを流す1平方センチメートルの金属イオンの還元反応は、10ミリグラムの金属がめっきされる。
化学の反応速度や生成物の重さと物理量の電流値がすごく分かる。電気めっきが、分かれば化学めっきや電池も分かる。酸化還元反応や還元剤やアルデヒドの銀鏡反応も分かる。

★酸化還元電位は物理と化学の共通の指標だ
酸化還元電位は、化学と物理をつなぐ指標だ。半導体のバンドギャップや太陽光発電にも繋がる。生物の酸化還元力も分かる。
化学は酸化還元が分かればずいぶん分かりやすくなる。酸化還元以外には立体配置ぐらいしか化学理論は面白くない。

★流体も物理と化学からアプローチできる
化学工学は流体を扱うが、基本は水と固体の界面だ。界面の反応速度は電気めっきにも共通だ。電気二重層という界面構造のモデルがある。


電気めっきからたくさん学べた。電気めっきは高校生の理科にめピッタリな教材だ。電気化学はこれから発展する分野だ。専門的に学ぶのも、物理と化学の理解を深める教材として学ぶのもどちらもオススメします。



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