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本を読むこと

私は本を読むことが好きです。
かと言って本の虫でもなんでもなく、読むのは遅いし、読んだそばから忘れていくし、最近読んだ中で、もしくはこれまでに一番印象に残った本の一説は?とか質問されても、うーん、と頭を抱えてしまいます。
目の前の文章を読んではいるけれど、本の中で進んでいる世界や誰かが話しているところを少し離れたところで見ていたり、聞いていたりする感じなので、言葉そのものの浸透がおそらく薄いのです。

作家さんにとっては読ませ甲斐のない読者だろうな、と時々申し訳なくなるのですが、思い返せば昔から視覚やイメージ優先型で言語能力はからきしなので、こればっかりは仕方がない。

それでも本を読むのは、本の中で繰り広げられている世界を覗いてみたい、誰がどんなことを思ったり考えたりしているのかを知りたい、という好奇心が働くからかなぁ、と思います。
ひとつ読むとそこから派生して、また新しい興味が湧いてくるのでエンドレスなわけです。
特に物語よりもエッセイや対談本、実際にあった出来事が書かれた本を手に取りがちなのは、知りたい欲求が強いからなのでしょう。

何度も同じ本を読んで考察を深めたり、豊かな感受性で物語を受け止め、それを表現できる人を羨ましいと長いこと思ってきましたが、本の読み方、向き合い方は人それぞれなので、私のように好奇心を満たしては通りすぎるような読み方でも、著者の方への愛着や尊敬は私なりにあるし、これもひとつのかたちとして良かろうと思うことにしています。

10人いれば10とおりの、100人いれば100とおりの向き合い方があるよね、というのは世の中のあらゆることに通じることだから、本を読むこともまた然り。

今回はじめた読書室でも、そんなふうに、それぞれがそれぞれの向き合い方で(大げさなものではなく)本を読む時間を過ごしてもらえたらと思います。

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