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マスクでモスク。

宗教に興味津々、信者になる気はさらさら無い。

ごきげんよう、もくれんです。

もともと宗教や文化についての興味関心が強いもんで、そっち系の知識を集めがちなんですが、この度イスラム教の礼拝を見学に行ってまいりました。

知る人ぞ知る、東京ジャーミィ

https://tokyocamii.org/ja/visit/

ここは都内でいちばん有名なモスク(イスラム教の教会)だと思うのだが、全くの無知だった頃、遠くから見えるモスクの尖塔を見て「ラブホかな?」と私は思っていた。ごめんなさい。とんだ勘違い。

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東京の街特集やお散歩特集ではよく取り上げられる場所なので何度も足を踏み入れたこともあり、美しくて静かな雰囲気がとても心が洗われる。まさに礼拝堂なんだな~と思う。東京観光で浅草行くより、私なら東京ジャーミィに行きたい。

そんな東京ジャーミィ、特に決まった時間でなくても信者の方が訪れてとりどりに祈りを捧げている。イスラム教は1日5回の礼拝義務があるので、その時間になったらもっとたくさんの人が来るのかもなぁと思いつつ、ついぞ集団礼拝のタイミングで訪れたことはなかった。

たまたま先日ぽくぽく歩いていて「あ、久しぶりに寄りたいなぁ。」と思って中に入ったら、礼拝が始まる前のようで普段より人が集まっていた。

ちなみに東京ジャーミィは2階3階が吹き抜けの礼拝堂になっていて、丸天井に美しい装飾が施されている。3階はロフトのようになっていて、3階から2階を見下ろすことができるし、2階からは3階を見上げることができる。

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私は何度も行ったことがあるくせに、3階が女性専用フロアだと知らなかった。今回はじめて上の階に登ってみた。私がラブホかな?と思っていた尖塔は、上の階にいくための螺旋階段だった。本当に恥ずかしい勘違いをして申し訳ない。無知とは恐ろしいな。モー娘。の生田衣梨奈ちゃんが「テンションどん底」を言い間違えて「テンションずんどこ」と言ってしまって恥じていたが、彼女の間違いは彼女しか恥ずかしくなく周りに笑顔をもたらすが、私の勘違いは国際問題になってしまう。


細い螺旋階段を登って女性専用フロアに行くと、視点が高くなるのでモスクの中がまた違って見えてとても面白い。あと、ちゃんと赤ちゃんや子連れのお母さんに配慮してキッズスペースがあった。そういうのはキリスト教の教会と一緒なんだなぁ~と思った。

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モスクは見学自由&撮影OKなので、ひとしきり写真を撮り美しさに見とれていると、信者さんに「礼拝されますか?」と声をかけられた。私がど真ん中の超いいスポットでのんびり呆けていたので、「これから礼拝だよ~ここは信者さんが使うのよ。」というのを教えてくれたのだと思う。すみません~なんて言いながらちょっと隅の方によって「ああ、これから礼拝なら、丁度いいから見学して帰ろう。時間に余裕もあるし。」と思って待っていると、続々と人が集まってくる。仲良しの女性二人組が一緒に写真を撮ったり、とりどりに過ごしている。また、子どもたちもヒジャブを巻いていてとても可愛らしい。(ヒジャブとはイスラム教の女性が頭に巻いているスカーフ)

ちなみに、東京ジャーミィの中では女性は頭にスカーフを巻く&足の露出をしないことが条件になっているので、私は自分が持っていたストールを頭から被った。(スカーフと巻きスカートは確か入口で貸出があったと思う。)教会とか神社も過度な露出NGだが、イスラム教はよりすっぽり隠す必要がある。

礼拝が始まるまでの間、子どもたちがちょろちょろと上の階と下の階を行き来していて、男の子が上の階に登ってくると女の子が「あなた女の子なの?ここは来ちゃいけないんだよ!」と言ったり、それを聞いた男の子がいたずらっ子な笑顔で駆けていったりした。なんだかそんな子どもたちのやり取りも、万国共通なんだなと思って可愛らしい。(「男子!ちゃんとやってよ-!」っていう女子、みたいな構図。)ちなみに、日本語でおしゃべりしていた。

男の子はわんぱくで大きな声をあげて走り回っていたのだが、その声を聞いたその子のお父さんが「大きな声出しちゃだめだぞ!」みたいなことを下の階(男性のいるフロア)から女性用フロアに声をかけていて、ナルホドと思った。お父さんは上の階に行って子どもを叱ることができないので下から叫んでいるわけだ。

しばらくすると司祭さんがやってきて、礼拝が始まった。キリスト教の礼拝は「前奏→賛美歌→聖書の朗読→牧師さんのお説教→お祈り→賛美歌→後奏」みたいな感じだと思うのだが(カトリックのミサはもっと手順が多いので、私には書けない)イスラム教の礼拝はひたすら祈っている感じだった。もしかしたら礼拝の種類によっても違うのかもしれないが、司祭さんがクルアーン(イスラム教の聖典)を朗々とうたいあげたり祈りの言葉を捧げ、みんなで唱和していくスタイル。卒業式の「わたしたち ぼくたちは 今日〇〇小学校を 卒業します!」→「卒業します!!(全員)」をイメージするとわかりやすいだろうか。

キリスト教関連の教育を受けた期間が長いので、ついついキリスト教と比較してしまい、見ていて大変興味深い。目に留まった点はたくさんあるが、

・キリスト教はパイプオルガンがあるが、イスラム教には楽器がない。
・キリスト教には聖母子像があるが、イスラム教にはない(偶像崇拝NG)。
・キリスト教は椅子があるが、イスラム教は絨毯に座る。
・キリスト教は歌うが、イスラム教は歌わない。
・キリスト教は牧師/司祭の説教があるが、イスラム教はない。
(※これは、私が見学した礼拝がたまたまかもしれない。)

などなど。ちなみに大学時代の授業で「モスクでは男性が前に座って女性は後ろじゃないといけない。なぜなら女性が前にいると男性は集中できなくなってしまうから。」と教えてもらい、当時は「なんじゃそら。」と思っていた。

が、見学してみて納得。イスラム教のお祈りは「座る・立つ・額づく」が多いので、額づく時にどうしてもお尻が高く上がってしまうのである。これは扇情的と言われればそうだろうなと思った。確かに好きな女の子が前でお祈りしてたらソワソワしてしまうかもしれない。

そんなこんなで礼拝が始まり、もうひたすら座る、立つ、祈る、額づく、を繰り返していく。1時間位で終わるかしら~と思いながら、一人みんながお祈りしていく中体育座りで見ている私だったが、一向に終わる気配がない。

そして、とにかく腰に辛そうな礼拝である。何度も何度も立ったり座ったりしないといけない。特に額づくのはしっかり猫のポーズみたいになるので、そこから座って立って祈って、、は本当にきつそうだ。でもここまで何度も頭を垂れる動作をするっていうのは「自分は所詮人であって神という全知全能者がいる。」ということを身体に沁み込ませる効果がありそうだった。

大学時代の授業で「イスラム教徒になりたかったらマッカの方角に5回祈れば、イスラム教徒なんだよ。」と教えてもらった。みなさんと同じ動作をしたらイスラム教徒になってしまうかもしれないので、みなさまの懸命な祈りを横目にひたすら体育座りのワタシである。所在ない。異教徒の見学を許してくださってありがとう。しかし、キリスト教の洗礼や仏教の得度と違って「5回祈ったら、it's automaticムスリム」って懐が深すぎる。しかも一度イスラム教徒になったら、改宗できないんじゃなかったかな。こうして考えると、日本の宗教観って本当におおらかだ。カトリックのミサでは聖餐を食べないってことだけ気をつけてれば、後は信者さんと同じように祈ってたけど、イスラム教の場合はむやみにお辞儀をするのもちょっとドキドキしてしまった。

1時間も過ぎた頃、流石に下の階の男性たちの中には、ちょっと身体をひねったりスマホを見たりしている姿がチラホラ垣間見える。さっきの男の子も一生懸命お父さんの隣でお祈りをしている。幼子には中々しんどいであろう、この長い礼拝。でもこうして信仰心が培われていくんだろうなぁと思う。しかし、これよくホントみなさんやってるなすごいなと思ってチラっと後ろの方を見たら、おばさま2人が普通にこしょこしょおしゃべりに興じていたwwww 体も心もできる範囲で祈るに越したことはないが、ちょっと笑ってしまった。

1時間半も過ぎた頃、やっと礼拝が終わった。私が礼拝の手順を知らなかったので「一体いつ終わるの?」と思いながら見学していたこともあり余計長く感じた。夜の礼拝だったので、20時頃スタートし今や21時30分。子どもはもう寝る時間では?とつい思ってしまう。

みんなが帰ってから最後に出ようと思って、ぼんやり相好を崩して待っていると若い女の子(もちろん信者の方)に声をかけられた。

「あの、写真いいですか?」

「えっ!?!?!私のですか!?!?!」

「いえ、私たちの写真撮ってもらっていいですか^^?」

赤っ恥!!!!!!!!!!!!!!!!!

自意識過剰も甚だしい。最初声をかけてくれた女の子しか見えなかったので「え?見学者が珍しいから私の写真撮りたいの!?」と勘違いしたが、全然違った。3人組の女の子だった。そりゃそうだわ、なんで私の写真撮るんだよ、んなわけねーだろ。本当に恥ずかしくて「あああ、そうですよね、ごめんなさいごめんなさい、恥ずかし~!!」って言ったら「あ、もしよかったら一緒にも撮りましょう^^」とか言ってくれて優しい乙女たちである。

うら若き乙女たちに混じって見知らぬ私が写真を撮るなぞ甚だ恐縮なので、何枚か写真を撮って「確認してください。」とスマホを返したところ一人が「完璧!!」とすぐに言ってくれて、もうひとりの女の子も「前も撮ってもらったことがあるんだけど、その時は写真がwaving.今日はちゃんと撮れてます、ありがとうございます。」と言ってくれた。

手ブレってwavingっていうのか。言われてみれば確かにね。

せっかくなのでちょっとだけおしゃべりをして「いつもこんなに長く礼拝しているの?」と聞いてみたら「今日はラマダン(断食)の夜のお祈りだから長いの。」と教えてくれた。そうだったのか。そしてたまたま行った見学でラマダンの礼拝を引き当ててしまう私の引きの強さ。

私が1時間半もの礼拝を最後まで居たもんだから、彼女たちから「旦那さんが下にいるの?」と聞かれ、そりゃただの見学者で最後までいるならそう思うよね!と思いました。「違うの。見学なの。大学の時に宗教について学んだから来てみたかったの。」と答えると「未婚者に既婚者ですか?」と聞いてしまったことに対して「あああ、そうだったんですね!ごめんなさい!」と言われ、この未婚既婚はセンシティブ問題って万国共通なんだなと思ったwいいんだよ、お嬢ちゃんたち、おばちゃんにそんな気を遣わなくて。。

でも大学で学んだって言ったのを私の中では「10年も前に」ってつもりで応えたけど、もしかしたら彼女たちは「大学生だったのか!」って思わせてしまったかもしれないな。すみません、このnoteにたどり着くことは多分無いだろうけど、あのときの乙女たち、私は33歳だよw

ところで、私は外国の方々と交流する時、恥をかくことがめちゃくちゃ多い。

渋谷で道に迷っている家族連れに「May I help you?」と声をかけたら、めっちゃ流暢な日本語で「あ、すみません、ここにいきたくて~!」って言われたこともあったな。

そんなわけで今、ムスリムの皆様はラマダンなんだそうです。

東京ジャーミィで見学を許してくださった皆様に改めて感謝を。ありがとうございました。


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