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地域には、まだまだ文化財が眠っている。

地域の中には文化財が沢山眠っている。
1960年代くらいからの自治体史編纂ブームで、自治体史が作られた時期には、一応自治体内の歴史や文化財は調べられましたが、割合、お寺や神社の宗教物や、古い家の土蔵に残されている古文書とか、民具は調査しきれていないものも多かったと感じます。

お寺は、当時は厳しいご住職様もおられて、調査なんてもってのほかと、調査出来ない場合も多かったですが、やはり、お寺は地域の歴史の中心でもあり、ご住職様の地域史へのご理解が進んで、仏像や絵像の調査を許していただけるところも多くなりました。

また、自治体史が作られた時には、地域のお堂やお宮の中までは調べられていないことも多く、実は、古い仏像や神像や道具が残されていることもあります。今調べないと、傷んだり、閉めてしまうところも増えているので、調査をしておかないといけません。

また、自治体史では、仏像や神像を調べていなかったり、日本彫刻史の専門家が調査していないところもかなりあります。そして、日本彫刻史の研究分野でも、地方の仏像彫刻史について研究が進みましたし、江戸時代の仏像彫刻についても研究が進み、歴史的価値も見直されてきました。なので、少し以前とはとらえ方も違ってきています。日本彫刻史の専門家にちょっと見てもらうといいです。多分、ゴロゴロと発見があります。

旧家の家や土蔵に残された古文書は、少し前までは関わった人がご存命だったり、近しい年代の当主さんがいらしたので、プライベートに関わるものが出てくると困るので、あまり開示されて来ませんでしたが、時が進んで、関わる人の記憶が薄れ、歴史となり、一般の人が、古文書自体も読む事が出来なくなって開示していただける確率が上がってきました。また反対に、読めないので廃棄される確率も高まってきました。土蔵や家自体が古くなって建て替えを考えておられる場面も多いので、今のタイミングが大事です。史料の価値を見定めて記録したり、収蔵する、歴史学の専門家が必要です。

道具類はそれまで、使っていたものが、生活様式や冠婚葬祭のやりかたも変わって、使われなくなったものが多くなり、寄贈を受けることも出来そうです。民具は、少し前までは、使用されていて、もらい受けることができなかったものが、生活様式や生業の変化によって、使われなくなって、資料として寄贈していただける確率も増えているはずです。

今が、地域の様々な資料、文化財のゲットのチャンスなのですが、地域の自治体の財政は疲弊し、博物館や民族資料館を運営していることが大変なご時世。休眠民俗資料館も増えてしまっています。収蔵庫を大きく増やすこともできない。空き校舎を使って収蔵されている地域もありますが、そのまま貯めていっても宝の持ち腐れで、本当に資料が傷んで腐れてしまう。特に、民具は体系的に収集して整理してこそ価値が上がります。民具の専門家が必要です。

相談される関係性を持っていれば、自治体の博物館、資料館、文化財保存担当課に相談が来ますが、そのまま廃棄されてしまう資料も多いのではないかと思います。

地域の歴史を知るお宝を守るのは、今。何かあったら、是非、地域の学芸員さんにご連絡ください。お宝かどうかは、専門家の目で見ないと分からないことも多いです。是非整理する前に連絡をしてください。

そして、地域にのこされるお宝を守るには、専門的な知識を持った専門家が必要なので、地域に専門家を迎えられる余裕ができるといいなと思います。とにかく「人」が大事。

各自治体では専門家を入れていくのは困難なこともあるので、県立館に専門家の充実を図るとかも必要なのかも。

このままでは、地域には文化が無かったことになってしまうし、財政に余裕のある自治体は、これらのことが出来ていて、余裕のないところでは出来ないとなると、地域文化の保存に格差が出来てしまう。

時代が変化し、資料のデジタルアーカイブ化や、ネット空間での博物館もできるようになってきましたが、これも出来るところと、出来ないところで格差が開いてしまいます。

地域のいにしえからの文化を無かった事にしないためには今が大事な時です。しっかりと目をむけていきましょう。

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