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山の磐座の観音様。虫食い損傷から蘇る

山の中の大岩に張り付くお堂に安置されていた観音様。
虫穴だらけでしたが、一つ一つ埋めて補修しました。

こういう虫穴だらけの御像、もう直らないのではないかと思われがちですが、このように彫刻表面がしっかり残りつつも虫穴があいてしまっている御像は、虫穴が埋まるとしっかりした造形が甦ります。

木造(サクラ材か)一木造り。内刳りなし。髻別材。両肘より先、両足先、背面足元後補。
足元は腐朽して一旦切られて、すげ替えられていました。

足先や指をヒノキ材で新補
古風な髻

修復してみますと、衣文線もしっかりしていて、髻の形も古風な形状、裙の折り返しや、後ろに回す腰布も古風で、14世紀の製作と考えました。

山の中の磐座のお堂に安置された観音様。700年近く前から地域を見守ってきた御像でした。
地域にはまだまだこのような御像が残っています。

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