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表現と再現

どんな芸術作品でも、制作する上で欠かせないのが、所謂「表現」というもので、又、それが唯一無二の作品を創出する為の核にもなります。
しかし、木版画作品を制作する上ではこの「表現」と同等に大事な要素があります……。

木版画においての表現には、題材の構想を練り、絵(原画)を描く事が該当します。
ただ、これはあくまでも制作のスタートラインに過ぎません。
何故なら、木版画ではその表現(原画)の持つ魅力を、いかに崩さず版木に彫り、想い描く彩色で摺るか、という言わば原画の「再現」工程を二つ経て、ようやく作品が完成するからです。

しかし、そんな二つの再現作業には、固有の難しさが存在しています。

それは、どれだけ構想が素晴らしく、自らの表現が込められていたとしても、その描線を彫り損じてしまったり、その雰囲気を最大限引き立てる色彩での摺りが出来なければ、作品を観る人の双眸には「駄作」に映る場合がある、という点です。

何事でも、表現されたものには作者の個性が溢れていて、当然、他の作品と比較して優劣を付けられるものではありません。
その一方で、彫りと摺りは再現の作業であるが故に、一目で「上手・下手、或いは普通」という風に、作者と他者の技術を比較されてしまうのです。

この事から畢竟、個性の湧出する「表現」と高水準の技術を用いた「再現」融合させて初めて、人を魅了する木版画作品を制作出来るのではないか、と勝手ながら考えていて、活動して行く中で、僕なりの理念としています。(勿論「言うは易く行うは難し」ですので、まだまだこの通りの作品制作は出来ませんが……)

これからも、僕にしか出せない作品の魅力を模索しながら、彫りと摺りの技術を研鑽して参りますので、見守って頂けますと嬉しい限りです。

ご拝読、有難うございました。

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