見出し画像

マングローブが未来を拓く?

2022年12月3日付け、AFPBBの記事で、このようなものがありました。

エジプトにおいて、気候変動に対抗するプロジェクトが進行中とのこと。
その場所は紅海沿岸の都市、ハマタ。場所はこの辺りです。

この地で、気候変動対策のためにマングローブの植林が行われています。
ところで、マングローブという名前は時折聞きますが、どのような植物なのでしょう。

マングローブとは

マングローブは、熱帯・亜熱帯地域分布し、淡水と海水の混ざり合う水域(汽水域)に生育する植物の総称で、特定の植物の固有名ではありません。

汽水域と言えば、日本地理では宍道湖などで見られるシジミ(ヤマトシジミ)、浜名湖などのウナギ等のイメージがあります。

Wikipediaより

写真を見ると、根の部分が水没していますし、何より塩分を含む水中に根を張っているにも関わらず生育できるという驚きの生態を持ちます。

マングローブは、熱帯・亜熱帯の潮流の影響が少ない泥質の汽水域に生育します。
場所としては、河口部の堆積地形であるデルタ、海岸部の砂州に囲まれた礁湖(ラグーン)、そして潮汐の影響を受ける干潟などをイメージしていただければ良いと思います。

これらの泥質の場所は酸素が乏しいため、水面上に呼吸のための呼吸根を持っており、それがこのような独特の見た目に繋がっています。
その他、耐塩性を高める独特の構造も持っていて、非常にユニークな植物と言えます。

そして、マングローブ林は、干潟と森林の両方の特徴を併せ持ち、生物にとって絶好の居住地です。
さらに、潮汐の影響をやわらげて海岸の侵食を防ぐほか、自然災害としては津波の影響を弱める防波堤の役割を果たしたこともあります(2004年のスマトラ沖地震など)。

マングローブ林の現状

マングローブ林は、沿岸地域の住民の薪炭材、或いはエビの養殖場を作るためなどの理由で伐採が進んでいます。

東南アジアにおけるエビの養殖場建設とマングローブ林の破壊の関連性は、地理の環境問題系でも時折目にしますので、頭に入れておきましょう。

マングローブ林の喪失は、海岸線の侵食、生物多様性の喪失、そして森林が失われているということは、地球温暖化の一因としても着目されるようになり、各地でマングローブ林の回復が目指されるようになりました。
タイなどでもその復活に向けた取り組みが進んでいます。
この記事の話はエジプトのプロジェクトについて取り上げたものですね。対岸のサウジアラビア側でも植林が進んでいます。

マングローブ林がどんなものなのか、お時間がある方はこちら(やや短い)

またはこちら(50分に及ぶ大作)

をご覧ください。

植林はそう簡単ではなく、資金面や、予想以上に環境の悪化が進行しており、停滞している場所もあるようです。
エジプトを含め、各地のプロジェクトが上手くいくのか、今後の展開に注目です。

サポートは、資料収集や取材など、より良い記事を書くために大切に使わせていただきます。 また、スキやフォロー、コメントという形の応援もとても嬉しく、励みになります。ありがとうございます。