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扱いが変わりつつある「公海」

今日のニュースは、ナショナルジオグラフィックより、公海に関するお話。

公海といえば、どの国の領海でも排他的経済水域でもない海のことで、どの国の国内法も適用されない、言葉通り「公の海」です(国際的な海洋における慣習・法等については別)。

しかし、この公海についてもどのように管理していくかが議論の対象となっています。
今年3月、国連では公海の管理に関する国際条約案に各国が合意したことは、公海管理の必要性が高まったことと関連しています。

現在、海洋に関する有名な条約は海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)で、これにより領海や排他的経済水域大陸棚の管理、その他の水域での調査等に関する包括的なルールは定められていました。
今回新しく提案された条約は、別名「海洋版パリ協定」とよばれている通り、公海の生物や環境を保護することに主眼を置いた条約になります。

地球の表面積の半分を占めるにも関らず、公海の話はあまり取り上げられてきませんでした。
それは、公海が沿岸部に比べて漁業におけるコストが高いため主要な漁場ではなく、

水深も深く、資源開発の対象ともなりづらかったからとも言えます。

しかし、現在は漁業や造船技術の発達(船舶の大型化)により、コストは割高ですが、公海上における漁獲量が全体の1割を占めるに至っています。

漁業と言えば大陸棚、バンク(浅堆)という認識が強い方であれば、意外に思うかもしれませんね。

また、公海は魚たちの通り道、或いは産卵・生育の場所という一面もあり、無秩序な漁業は長い目では各地の漁業資源を損なう、という判断もあるようです。
また、公海は大量の二酸化炭素を固定しており、その環境が損なわれることは即ち温暖化の更なる進行を意味します。

ちなみに、深海底は宇宙と同じか、それ以上に探査が難しいと言われており、海洋学者たちが1903年から110年に渡り探査を続けているものの、現在でも詳しい海底地形がわかっているのは全海洋の15%程度に過ぎないのです。

ちなみに、1903年の調査の発起人は、当時のモナコ公アルベール1世でした。

というわけで、公海に関する国際条約。
ここ最近、環境問題で様々な話が取り上げられていますが、海洋に関してはこれが最も大きなニュースになりそうです。今後の動きに注目しましょう。
今回はこれくらいで。

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