タイの「深南部」とはどんな場所?
今日のニュースは、AFPBBより、タイで行われたトレイルランニング大会について。
写真では幻想的な山岳地帯が映し出されています。
タイと言えばチャオプラヤ川の流域とデルタ地帯、稲作のイメージが強いですが、マレー半島にもかなり深く領域が食い込んでいます。
今回はそちらの地域のお話。
今回記事で取り上げられている「深南部」ヤラー県は、タイの最南端にあります(図で示した場所)。
深南部はマレーシア国境付近のパッターニー・ヤラー・ナラーティワートの3県にソンクラー県の一部を含みます。
この地域は1世紀から14世紀頃までランカスカ王国というヒンドゥー教系の王国、その後はマレー系のパタニ王国が支配した地域で、16世紀頃にはイスラム化したと言われています。
そのため、この地域は現在のタイ王国の中でもマレー人、イスラム教徒が多い地域になっており、文化的にも一般的なタイのイメージ(仏教徒)とは一線を画しています。
ちなみにパタニ王国はアユタヤ王朝と対立し、かの山田長政はパタニ王国軍との戦いで負傷、その傷が元で落命しています。
話が逸れましたが、この地域の地形は、チャオプラヤ川の流域の氾濫原のイメージが強いタイの地形とは全く異なり、テナセリム山脈という標高1,000mを超える山岳地帯を熱帯雨林が覆っています(写真のような地形)。
1,000m級というとそれほどではないイメージがありますが、地域によっては石灰岩質の地層が露出しており、激しく侵食されて崖地を形成している場所もあります。
標高の数値以上に険しく、熱帯雨林が広がっているため人がなかなか入りづらい場所です。
現状では、プランテーション産業やスズなどの鉱業が行われていますが、北部地域との格差は大きく、宗教的な違いもあって社会問題になっています。
せっかくですので、タイの地形図を見ながらこのニュースを見ると、タイについてのイメージがまた変わるのではないでしょうか。
タイ南部のリゾート地、プーケット島も大半が山岳地帯なのも、この山脈が関係しています。
というわけで、タイの少し異なる一面を覗いてみました。
地理選択の方は、タイ南部のお話は知っておいた方が良いと思います(地形でも、宗教関係の話などでも知っていて損はない話)。
今回はこれくらいで。
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