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World Oceans Day

6月5日、「環境の日」

に続いて、今日、6月8日は「世界海洋デー(World Oceans Day)」です。

国連によって公式に制定されたのは2009年ですが、元々は1992年6月8日、リオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」でカナダが提案したものです。

地球を宇宙から見ると、とても青く美しい。

かの宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンも、

「地球は青かった」(正確には「空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていた」)と述べていますね。

・安全で健康的で生産的な海と海洋は、人類の幸福と経済的な安全、持続可能な開発に不可欠である

・海洋の環境や、そこに暮らす生物を守るのは世界中の人々の責任である

・海について想いを馳せ、自分たちの生活にどれだけ影響しているか、様々な体験を通して学ぶことが大切である

というコンセプトで、世界中で様々な取り組みが行われています。

こちらは国連のオフィシャルサイト。
そして日本でも

NPO法人による情報発信が行われています。
国内では、
「船の博物館」

「鴨川シーワールド」

などが世界海洋デーのパートナーとなっているようですね。


さて、今の段階で海洋環境の大切さ、そしてその汚染や資源の収奪は危機的状況にあることについては広く認識されていると思います。

今回は、温暖化がもたらす海洋の危機の一つ、前回の記事でも少しだけ触れた「熱塩海洋循環が変化する可能性」について少し触れてみたいと思います。

地球上にある海洋、その多くの部分は「大洋底」と呼ばれていて、水深はかなり深いのです(世界の海洋の平均水深は約3800m)。
ちなみに、「大陸棚」と呼ばれるおおむね水深400m未満の浅い部分は、大陸周辺のわずかな部分だけです。


そして、海の水はなぜ動いて(流れて)いるのかを考えてみます。

一つの理由は「風」によるもの。
偏西風や貿易風といった風(恒常風)が、海水を押して移動させています。

日本海事広報協会」HPより

これは「風成循環」と呼ばれています。

しかし、このようにして循環しているのは浅い部分のみ(数百メートル程度)。それより深い部分には風成循環の力は及びません。

そうなると一つの疑問が出てきます。
それは、「海水の上下はどのようにして入れ替わっているのか?」です。
風成循環だけでは、表面をかき回しているだけですよね。

実は、海洋には風成循環のほかに、もう一つの循環が存在します。
それは「熱塩循環」と呼ばれるもの。

高緯度海域(極に近いところ)では、気温が低いため表層水の水温が下がります。
また、海氷が作られる際、塩分が氷から吐き出されるため、海水の塩分濃度が高くなります。
このことにより、表層の海水は重くなり、ゆっくりと深層へ沈み込んでいきます。
ただし、そのスピードは極めてゆっくり。その移動速度は毎秒1cmほどに過ぎません。
そして、深層流が地球を一周するには1000年スケールの時間がかかると言われています。
移動速度がゆっくりとはいえ、熱や物質を地球規模で輸送するため、気候の安定や生態系の維持に重要な役割を果たしていると考えられています。
海洋の深層を巡ることから、「深層循環」ともいいます。

ちなみに、この循環の主な沈み込み場所は、グリーンランド沖と南極大陸周辺と言われています

が、地球温暖化は、循環に影響を及ぼすのではないかと懸念されています。

・沈み込み帯の海水温上昇
・降水の増加や氷床・氷河の融解による淡水の流入増加(塩分濃度低下)

により、表層の海水の密度が軽くなり、海水の沈み込む量が減少することで循環が弱まるのではないか、ということです。

それにより、地球上の熱輸送が弱まり、熱帯地域では気温の上昇、極地域では気温の低下が起こるという説があります。

2004年公開の映画、「デイ・アフター・トゥモロー」

は、この熱塩海洋循環停止と急激な気候変動(氷河期の到来)をテーマに作られたものです。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、
・深層循環は21世紀を通じて弱まる可能性は非常に高い
とされています。
また、
・21世紀中に突然変化または停止してしまう可能性は非常に低い
が、
・21世紀より後の将来については、確信度は低いが、大規模な温暖化が持続することで大西洋の深層循環が停止してしまう可能性を否定することはできない
と報告しています。

暗に、このままの状況が続けば将来は保証できない指摘していると言えそうです。


この機会に、今一度「海」について考えてみてはいかがでしょうか。
国境を越えた人々の取り組みが今、求められていると思います。
海に国境はなく、最初に生命が生まれたのは海なのです。

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