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【読書感想】管理ゼロで成果はあがる 「見直す・なくす・やめる」で組織を変えよう 倉貫義人

「上司なし・決裁なし」「経費は承認なく使える」「休暇は取り放題」「給与は一律、賞与は山分け、評価制度なし」
「売上目標やノルマはなし」「働く時間も場所も縛りなし」「副業OK」ルールや数字に囚われずに
成果を出し続ける秘密を全公開!
(Amazonの説明ページより抜粋)

この本の概要

「納品のない受託開発」と先進的な働き方で有名なソニックガーデンの社長・倉貫さんの本です。

おもしろかったー。ソニックガーデンに転職したくなる!
(技術がないから無理ですがw)

私が働いている会社・サイボウズも働き方先進企業として取り上げられることがたまにありますけど、先進さでいったら、弊社よりもソニックガーデンさんだろうな、と思います。規模の違いもあるとは思うけど、うちはまだ階層が残ってるし経費申請とか古風な要素は残ってますもんね。
ソニックガーデンさんは完全にフラットだし、経費の事前承認は不要だし、よりティール組織に近い!

とはいえ、共通する部分はものすごーーーーーく多くて、「うんうん、やっぱりそうですよねー」とうなずけるところもたくさんありました。

性善説か性悪説か

ソニックガーデンもサイボウズも、情報は基本的にオープンです。(サイボウズの場合、個人情報とインサイダー情報は除いてオープン。)これを言うと「性善説なんですね~。うちの会社は性悪説だから…。」とか「サイボウズだからできるんだよ。ウチでは無理」とよく言われます。

ただ、たぶん、これ、性善説ではないと思うんですよね。

ソニックガーデンで経費申請・承認が不要なのも、サイボウズが多くの情報をクローズせずにオープンにしてるのも、考え方は同じで、全部公開して社内の誰もが情報を見れる状態にすると、誰でも見れるからこそ悪いことできなくなるんですよ。情報が公開されてて誰でもデータベースを見ることができるので、不正ななにかや気になることがあれば、上長はもちろん、別の人からも「これ、なに?」と聞かれることもあるわけです。そんな状況でなかなか悪いことってできなくないです?
特定の人(上長)がチェックするか、そのチェック機能を大衆(全社員)にゆだねるのかの差でしかない。チェックできる人の数でいうと圧倒的に後者の方が数は多いわけだから、むしろ全員が監視できるシステム(”監視”って表現はビミョウだけども)って意味では性悪説なんじゃない?と思ったりもします。

サイボウズもソニックガーデンも「自由」とか「働きやすそう!」と言われますが、人によっては、すごく窮屈な組織に感じるかもしれません。
情報公開を進めていくと不正したり隠したりしにくくなります。それはたとえば悪いことを隠すってのもそうだし、配慮が足りないとか、知識がなくてわからなかったとか、そういう故意じゃないミスなどもオープンになることを意味します。オープンになると人から質問されたり追求されやすくなるので、自分のエゴを指摘される可能性も高くなります。意見が可視化されるのでより多様な意見や考えが目に入りやすくなります。

「隠す組織」というのは外からみるとビミョーですし、時代遅れであることは確実なのですが、組織のなかの人にとっては、人の誰もがもつ個人のエゴや悪意、敵意、間違い、不都合を隠してくれる優しい組織でもあったのだと私は思います。

人は不完全だし弱い。
だから情報公開ってとても難しい。

でも、難しいんだけど、もう進まざるを得ないのではないかと私は思っています。
時代の変化とテクノロジーで、隠したくても全部バレる環境になってしまった。実は我々に選択肢はないのだと思う。人は弱いけども、もうそれを隠して過ごせる世界ではなくなってるのだと思うの。

正しい世界かもしれないけど残酷だな、とも思う。

ワタクシ的名言

「やったほうがいい」ことはしない
「やるか、やらないか」でいえば、やったほうがいいことは世の中にたくさんあります。でも、本当にやらないといけないことかといえば、やらなくてもいいことのほうが多いのが現実です。

日本人の働き過ぎはだいたいこれだと思うわ。
こういう点をやらないと決めるのが大事だし、他人に強要しないのが大事よね。

やる気なんてものは、上がったり下がったりするものです。なので、やる気などなくても一定の成果が出せるような仕組みやチームを作ることがすべきことで、「やる気があればさらにいい」という状態を作ったほうがいいでしょう。

ほんと、そうだわ。
常に高いやる気って無理だもん。職場に問題なくてもライフ側に気がかりなことがあればやる気下がることもあるもんですよね。やる気なんて変数に左右されない仕組みやチーム作りに意識を向けて思考を投資したほうが絶対にいい。
私もつい考えずに「もっと頑張ればいい」と根性論でなんとかしてしまうんだけど、それは思考からの逃げなんだよね。本当にやるべきことは考えることから逃げないってことだ。

さらに私たちの会社では、報告と連絡を効率化して時間の余裕を作ることで、社員同士が雑談することを推奨しています。雑談をする中で仕事のアイデアが出ることもあれば、互いのことをよく知り合うことでチームワークが醸成されることもあるからです。

やー、マジで共感。
雑談の時間は減らしちゃダメだと思うよ。そこが作れないんだとしたらそれはもうその時点でタスクの棚卸しをしなきゃならんと思う。
私たちは機械のように働くまえに、人であることを忘れてはいけないのではないかしら。人間らしさや感情を誰もが捨てずに仕事できる状態が、本来目指すべきところなんじゃないかと私は思う。そういう意味で、ちょっとした雑談も許されない職場や、雑談する暇もないっていうのは長期的にみたときに幸せな職場にはならないんじゃないかなぁ。

こういう組織を作っていくのはとても難しいし、リーダーだけではなく、組織にいるひとりひとりの意志の力も必要だと思う。油断するとすぐに不透明なところができてしまうこともあるだろうから維持するのもとても難しい。

でも、大変なんだけど、やっぱり職場は多くの人にとって、長く過ごす場所だし、そこで人間らしさやその人らしさを消して働かないといけないのはやっぱりしんどいなーと私は思う。
なので、残酷な面もあるけど、やっぱり透明でオープンな組織が増えたらいいなぁ。

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