見出し画像

【読書感想】「白銀の墟 玄の月」(1-4巻) 小野不由美

戴国に麒麟が還る。王は何処へ―乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎は慶国景王、雁国延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。―白雉は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!
「BOOK」データベースより

この本の概要

小野不由美の十二国記シリーズ、18年ぶりの最新刊です。

小野不由美の十二国記シリーズというのは、それはもう大人気の壮大な異世界ファンタジー小説。

読んだことない方のためにかんたんに世界観を説明します。

舞台は、昔の中国風な世界。
この世界では、神仙、妖魔、麒麟など、わかりやすくファンタジーな登場人物や生き物がたくさんでてきます。
神に通ずる山で育った麒麟(見た目人間だけどキリンビールの缶にあるような神獣形態にも変身できる不思議な生き物)は、年頃になると王を探します。
麒麟は王を選び、選ばれたものは国王として国をおさめます。
王になると、歳をとらなくなり不老不死に近いかたちになるので、安定した政治を敷くことができた王と国は長命に。(めっちゃ切られたりすると死にます)
うまくいかないと国が荒れたり、謀反されて殺されたり。

十二国記シリーズは、そんな世界観のなかでの、各国の麒麟や王や民のお話。
これまでのシリーズでは、景国、延国、恭国、戴国の話が多くて、今回発売された「白銀の墟 玄の月」は読者みんなが気になっていた戴国のその後のお話。

戴国の話だけ絞ってシリーズを読みたい方は以下がおすすめ。

・「風の海 迷宮の岸」
泰麒(戴国の麒麟)が王様を選ぶ話

・「黄昏の岸 暁の天」
王様を選んでから、めっちゃ色々トラブルがあって、泰麒が異世界(蓬莱と呼ばれる現代日本みたいな世界)に飛ばされちゃったけど、各国が協力して泰麒を探すって話

・「魔性の子」
泰麒が異世界(蓬莱)に飛ばされちゃってからのトラブルの話

・「白銀の墟 玄の月」(←イマココ)
泰麒が戻ってきたけど、王様は行方不明だし、国は荒れまくりだしどうする?!とりあえず王様探そうぜ
っていう話。


今回の話は4巻セットなのでめっちゃ長いです。
上で紹介したシリーズも2巻セットなものが多いので、改めて見るとけっこうなボリュームですね。
でもめっちゃおもしろいから、これからの方はぜひシリーズ最初のほうから読んでみてください。

ネタバレない程度の感想

長い〜〜〜。
出版までも長いし、4巻セットってのも長い。
出版まで18年てどんだけよ〜。
18年前て私、何歳?
あなた何歳?

あと、久しぶりの十二国記シリーズ。
読みながら思い出したけど、漢字のクセがすごい(笑)
「なんて読むんだっけ?」
と何度、前のページに戻ったことか…。

でもおもしろかった〜〜〜。
早く続きが見たくて、子育ても家事もかなり手を抜いて読みふけってしまったよ。(あれ?…手抜きは…いつも…?)

読んでる人しかわかんないだろうけど、十二国記をネタにした漫才をみつけたよ。



わかる人にだけわかる漫才だね。

ネタバレな感想(まだの人は見ないでね)

基本的に小説の読書感想を書くときは、ネタバレしないように気をつけて書くんですけど、ちょっと、これに関しては思いがありすぎて、色々書きたい!

なので、ネタバレ感想書きます!



いやーーーー!!
ここで終わらないでーーー!(T_T)
なんでここでーーー!
って、そんな、終わり方でしたよね?!ね?!

次、いつ書いてくださるのよーー。
私、生きてる間に続き読めます??


いやまぁ、一回ちょっと気持ちいいところありましたよ!
ありましたけど、もっとイケたでしょう!!!
こっからでしょうが!!

あれか?
次は景国舞台で、そこで色々その後を書いてくれる…的な?

驍宗、阿選

この人たちには色々言いたいことがある。

まず、驍宗(ぎょうそう)。
穴に落ちて一人で6-7年間、流れてくる供物で生き延びて、自分で穴掘って出口見つけて、しかも騶虞をつかまえて自力脱出て。
あんたすごすぎでは…。
しかも泰麒戻ってきて、みんなが色々動いてるベストなタイミングで…。
これが、神の加護を受けてる人なのか…。


次に、阿選。
なんかー、わかるけどーー、そんな理由?!
もうちょっとかっこいい何かあると思ったのに、割と普通にダメなやつじゃん…。
もうちょっとできる子だとあたしは思ってたよ…。

この人はまだわからないことも多い。
色々思うことはあったにせよ、王であるあいだ、なんでなんにもしなかったのか。
もうちょっとできたでしょ。
いや、反民を誅伐するとか、やらないほうがいいことはたくさんやってたけども、驍宗と並ぶと言われてて、麾下からの信頼も厚くて、賢くて評判良かった人が、民をこんなひどい感じで殺しまくりますかね?
賢いならそんなことしたらどうなるかわかりそうなもんだけど。。。
唆されて、謀反の方向にいってしまってから、少しずつ少しずつ、彼の中のなんかが壊れていったのかもしれないね。。

謀反はするし、民を放置してたし、いっぱい人を殺してるし、ここまでくると、いいやつではないんだけど、なんだかちょっとかわいそうにも私には思えて…。
この人、ホント、孤独。
信頼してくれてた麾下もたくさんいたのに、そういう人たちの存在すら、驍宗を意識しすぎて距離とっちゃうし。

もうちょっと驍宗とおしゃべり出来てたらよかったのにね。
そしたら
「オレもー!オレもお前めっちゃ意識してたしー」
とかお互いにいいあえて、ちゃんと友達になれてたかもしれないのに…。

もっとデキる子だと思ってたからとっても残念。


琅燦

そしてそして。
たぶん、読み終わった人の9割が思ったのではなかろうか。
琅燦(ろうさん)は、なにがしたかったんだ。

もともと、王とか国とか麒麟とかに頓着しない黄朱の民なので、他の人とちがってフラットに世界を見てる人なんだよね、この人は。

なので、驍宗のことは尊敬してるけど、驍宗以上に神の存在や、この世界の仕組みに興味があって、色々したくなっちゃったのもわからなくはない。

ただ、やっぱやってることは支離滅裂(笑)
どういうロジックで動いてるのか、わからないもん。

勝手に考察

以下、勝手に考察してみた。

阿選の企みと、驍宗の命と、自分の好奇心の落としどころが幽閉だったのかなーと思う。
阿選の企みに気付いたけど、ただ見てたら尊敬する驍宗は殺されちゃうし、かと言って普通に止めるのも難しそう。
なので、逆に阿選を唆すふうにして、幽閉する策を入れ知恵して、驍宗を殺さないようにすることで自分なりの忠誠とか尊敬の心は保ちつつ、この世界の違和感や自分の好奇心を満たす、みたいな。
一応、民のことも多少気になるので、青鳥で伝令飛ばしたりはするけど、琅燦自身に民への慈悲はないんじゃないかと思う。
基本的に黄朱の民なので、民も含めて「みんな自分で生きていけ」っていうスタンスだと思うんだよね。
あまりにアンフェアなので民にも青鳥を飛ばして最低限の情報は伝えるけど、「私がなんとかしなきゃ!」とかはそこまで思ってないんじゃないかしら。

全体的に、神の意思含めて、全体がどう動くのか、観察してたいってかんじなのかなー。

これ、全部私の勝手な考察ですけどね。。
真実は次巻まで待て。


最後に

とりあえず最後は泰麒も転変できたし、峰山行って無事に饕餮とか使令も戻ってきたし、そこらへんはほんとうに良かった。
伝説クラスの饕餮がこのままいなくなるのは残念すぎるもの。

私、恭国が舞台の「図南の翼」がすごく好きなんですけど、何が好きって黄朱の民の考え方が好きなんですよ。
国も王もいらないっていうスタンスが究極だなーと。
会社とか国とか見えない大きいものを疑うキッカケをくれたのはこの小説なんだよね。

だから琅燦のスタンスも割ときらいじゃない。

また何年も出ないのはつらいのでちょこちょこ出版してほしいよー!

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?