【読書感想】ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が上手に働くための本 對馬陽一郎

当たり前すぎて誰も教えてくれない仕事術で働きづらさが解消できる!発達障害の特徴に苦しむ社会人のためのビジネススキルのアイデアを紹介。発達障害の特徴をカバーする仕事のアイデアが満載。発達障害あるあるの悩み→その原因→具体的な解決アイデアの手順で解説。施設での実例をベースにしているので非常に具体的。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。
「BOOK」データベースより

この本の概要

いつ買ったのか、なぜこれを買ったのか、すごく不明。たぶんそのとき発達障害系の内容が自分のなかでホットだったのか、自分の物忘れやうっかりのヒントになりそうと思ったのか…そんな理由で購入したんだろうと思います。
で、買っただけで全然読めてなかったんですが、やっと読みました。
後半、流し読みでしたが。

この本は主にADHD(注意欠陥・多動性障害)や、ASD(自閉スペクトラム症)という発達障害の方向けに書かれた本です。今でこそ診断名がついているこれら障害ですが、私らが子どものときにはなかったものです。教室でやたらと動き回る子がいても、「この子は落ち着きがない」と注意されて終わっていました。
今は、医学が発達し、これら障害は脳の器質的なところが原因であるとわかっています。保育士や学校、市区町村などでもある程度の知識共有はなされているので、小さいうちに発見し、お医者さんと相談しながら、適切な支援ができるようになってきました。

ただ、さきほど言ったように我々世代は、小さい頃にそういう障害があるとは知らず育っているので、「人と同じようにできない…」とか「うまく他者とコミュニケーションがとれない」と悩みながら大人になり、悩みながら社会人生活を送っている人、実は多いように思います。

この本は、そういう社会人の方向けに、職場でどういうふうに気をつければいいのかなど、すごく具体的なHow Toを事例別に教えてくれます。障害と上手に付き合うために、便利なツールを使うことはすごく大事なので、便利なスマホツールや、グッズ、Windowsでの操作のTipsなどがたくさん。悩んでいる当事者の方にとってはすごく役立つ内容だと思います。

障害者と健常者の線引き

この本、障害を持つ方にはもちろん役立つと思うんですけど、一般的に健常者と呼ばれている人達にも役立つノウハウがたくさんあります。
仕事ができるバリバリのビジネスマンやキャリアウーマンにはありえないのかもしれませんが、いわゆる普通に働いている人たちだって、「計画立てるの苦手なんだよな…」とか「人がたくさんいるところで議事録をとるの難しい」とか「頼まれたことをすぐに忘れがち」とか、小さな得手不得手ってあると思うんですよね。(私はあるよ。たくさんあるよ。)
この本では、そういうときにどう対策していけばいいのか、とても具体的なかたちで書かれているので、障害とか関係なくライフハック的に役にたつことも多かったです。

ひとつひとつの事例がものすごく具体的で役に立つので、読んでるとホント、「障害とそうじゃないの線引きって、ものすごくグレーだなぁ」と改めて感じました。
一個一個の事例だけとりあげればできない人はたくさんいるんじゃないかと思うんですよ。私もできないこととか苦手なところとかたくさんあるし。
障害があると診断されてはいないけれども、私の脳だってたぶん得意な作業と苦手が作業はあるんだと思うんですよね。で、それはもう鍛えてどうにかなるもんじゃないんだろうなと。

もちろん、トータルで色々な症状がでていることで診断名がつくと思うので、「お前の苦労と障害者のおれらの苦労を一緒にするな」と言われてしまったらぐうの音もでないんですが、スーパービジネスマンでもない限り、ここで書かれている事例をすべてパーフェクトにできる人ってどんだけいるんだろう?と私には思えました。たぶんそんなスーパーマン、1割もいないんじゃないのかなぁ。

なにが言いたいかというと、私たちの脳は、みんなどこかしら苦手なところがあって、苦手作業が浅く広くある人もいれば、苦手作業の数は少ないものの「できない度」がものすごく深い人もいて、グレーな人が9割なのが実際の社会なんじゃないかな、と。
けっこうみんな苦手なことと戦いながらギリギリでやってるのかもしれません。

生まれもった脳の性質の問題だったら、顔や皮膚を変えられないとの同様、本人も他人もどうにもできないもの。(移植したりしたら別だけども)
であれば、できるできないで人を判断したり見下したりするんじゃなく、こういう脳の得意不得意に関しても、世の中の理解がもっともっと進んで当たり前に一緒に働ける社会になってほしいな。となりに障害ある人が当たり前にいる。そういう社会は、完璧じゃない私たち多くの人にとって、優しくて暖かい社会な気がするよ。

そのためにも、誰かの「できない」に対して寛容でいたい。
寛容でいようと思いました。

ひとつこの本についていうならば、Kindleでの購入はやめたほうがいい。絶対に実物の本がいいです。文字が薄いし小さいしで物理的にKindleで読むのはとてもしんどかった。

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