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ハイパーインフレとは何か? 皮層感覚的に説明してみた。【テンバイヤー「俺たちの時代が来たぜ。まずは100兆ジンバブエドルを1000円で売りさばくところからだ」「だいぶデフレしたな」】

さてMMT理論が議論されるようになって久しいですが、
あれって、

あれだけのマネーを印刷しまくっている日本が、
インフレにならないどころか、
むしろデフレになっている。

ちょっと前の諸外国の偉い人

(最近は資源価格のお値段のせいでインフレになってますけど)

という日本のパラドックス
世界の経済学者たちが視てしまったからだと思う。

普通はマネー増やしたら必ずインフレになる。
それが起こらないどころか逆にデフレになる。

ということはデフレ方向に向かう圧力が異常なまでに大きいということだが、そこまで強いデフレ圧を世界は経験したことがない。

(おそらく少子化が原因なんだろうけど、ということは日本以外の国々にとっても他人事ではない)

このようなパラドクスは研究者にとっては悪いことではなく、
おそらくこのパラドクスから、何か新しい発見がもたらされるかもしれない。

まずは仮説としてMMT理論なんぞが出てきた。
「インフレにならないなら無制限にマネーを増やせるんじゃないの?」
あくまで仮説であり、思考実験の類にまだとどまる話だと思う。

そもそもインフレというものを、経済学者も含めて理解している人が少ないように思える。

MMT論者の人が以前、論破王にぼこぼこにされていたのだが。
私なら、MMT側に立って、論破王を論破できるのに、と思った。
なんでみんなこんなことがわからないんだろう。

ケインズ経済学の頃から、経験則として知られている。すなわち、
需要を強引に捏造すれば、供給も自然に追いついてくる。

これはつまり、需要(商品が爆売れする)と供給(それなら生産を増やそう)も増えるという、分かりやすい流れだからだ。

一例として、プレイステーション5の例を挙げよう。


経済全体ではなく一商品の話だけど。

プレステ5の定価は当時10万円。
しかし転売ヤーたちにより一時期は170万円で取引されていた。
(正確な数字はお調べください)
転売ヤー許すまじ、ってちょっと待ってほしい。
転売ヤーがやっていることは、そもそも悪いことではない。
安いところで買い、高いところで売る。
これは商売の基本だ。これが市場経済だ。

ただ生活必需品とかでやると、あまりにあこぎだというだけで。
プレステ5はどう見ても生活必需品ではないので、何も悪いことではない。

ではなんで、定価10万円が170万円に跳ね上がるの?
それは。
1:欲しい人がたくさんいるから。
2:そして生産量が足りないからだ。

つまり、需要が大きいのに、供給が足りない。
そうするとマーシャルの図から見ても分かるように値段が高くなる。
当たり前なんだ。

しかし需要が大きいということは、買いたい人がたくさんいるということだ。当然ながら生産量を増やせば、もっと売れるということである。

はたして任天堂は・・・生産量を増やした。
そうすると、170万円ではとても売れなくなり、
市場取引価格は定価の10万円に戻ったのである。

これがハイパーインフレだ。


たったひとつの商品で発生した例だが、
ハイパーインフレの具体例として、もっとも分かりやすい説明だ。
ハイパーインフレの発生と、その終息までが例示されている。

要するにお金がたくさんあると、欲しい人がたくさん買いに来る。
でも商品は多くはない。
そこで値段が高くなるという現象が発生する。

これがゴッホの絵だともっと極端だ。
生産はゴッホが死んでいるから常にゼロ。
対して買いたい人たちは増える一方だ。
ゴッホの絵が青天井で高価になっていくのはこれが理由である。

でもどんなバカでも分かるように、
たくさん売れるなら、生産を増やそうよ。
となる。
ゴッホの絵を生産するのは無理だが、プレステ5なら増やせる。
そうするとインフレは終わってしまうのだ。

(なぜ焼け跡日本やジンバブエでインフレが発生したのか。それは生産がそもそもできないのに、マネーだけがあったからだ)

唯一この機能が発生しないケースがあるとしたら、
それは資源の枯渇だ。

現在のインフレはウクライナ戦争による小麦の枯渇が原因だ。
ウクライナとロシアという、二大食物生産国が穀物を輸出できない状況なので、必然的にすべての商品が値上がりしてくる。なんせ食料だ。

かつてのオイルショックは原油の値上がりが原因だった。
ウクライナ戦争でも、ロシアにガスを依存していた欧州は燃料がひどくインフレしていたが、今では収まってきているらしい。別の調達先を見つけたのだろう。

しかし、こういう戦争が終わってしまえば解消するタイプの資源問題は、
他の供給源を見つけられてしまうという抜け道がある。
これまで食料を生産しなかった国にとっては、絶好のビジネスチャンスが来たということであり、ウクライナもロシアもおそらく戦争が終わっても、かつてのように穀物が売れないかもしれない。

オイルショックの時には最終的にシェールオイルやシェールガスが開発された。オペックは対抗上、原油価格を恐ろしく低く設定せざるを得なかった。
だからガソリンは安かったのだ。

そんなんで、戦争によるインフレは長続きしない。
供給は時間が経てば経つほどに迂回路を見つけてしまうのだ。

(もちろん戦時中の日本やドイツのように、物理的な経済封鎖により絶対的な資源枯渇になる例もある)

しかし、なんといっても地球はたった一個の惑星でしかないから、
(銀河帝国とかだったら資源の枯渇に頭を悩ますことはないんだろうけど)

資源が最終的に枯渇するということはありうることだ。
例えば銅とか危ない。
足尾銅山が再稼働し始めたらヤバいと思ってほしい。
スズとかも、再利用しにくいので、鉱山が枯渇したら急に値上がりする。

こういう絶対的な資源枯渇は最終的なインフレを引き起こすが、
その領域に至る以前までなら、マネーをどれだけ増やし続けても、

需要を強引に捏造しても、供給は必ずついてくるので、問題はない。
それが資本主義である。

結論:
絶対的な資源枯渇にならない限り、よく管理されたMMTがハイパーインフレを引き起こすことはない。

ただ経済成長はいずれ必ず、絶対的な資源枯渇の領域に達してしまう。
ゆえに限界がある。

それ以前に宇宙進出して無制限の資源を手に入れるか。
さもなくば近代以前の中世社会に回帰して満足するか。
今んとこ、二通りの選択肢しかない。
残り時間は少ない。
(本当はまだそんなに少なくないんだけど、こういうことは悲観的に考えて計画を立てておくべきだと思う)

もちろんこれは思考実験です。
当方、素人ですが、岡目八目というやつかな。
なんでみんなわからないんだろう?

*****
追記:

さてMMTを行うとクラウドアウトが発生すると言われているが、
クラウドアウトについては勉強が足りてない。

ただ、言われているような公的需要が民間需要を食ってしまい、民間が不況になる。
・・・・というものではないらしい。
ケインズ理論にあるように、需要が大きければ供給は必ずついてくる。

正しくは、国債の大量発行により金利が上昇するから。
民間は金利が上がって借りにくくなる、というのが、
クラウドアウトの正しい定義だ。

しかし、すでに国債を大量発行しているが、現に金利は上がっていない。
金利は中央銀行が発行量に関わらずコントロールできるようである。
この意味でクラウドアウトは、そもそも発生しないのではないだろうか?

ただ。
私は別の理由によってMMTに無条件に賛成しない。
国債で資金調達する方法は古くさいと思っているから。
歳入を増やす方法は他にいくらでもあるんだ。


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