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転職エージェントの転がし方

いきなりどんなタイトルやっ、と思った方。
開いていただき、ありがとうございます。題名の通り、転職エージェント(以後、エージェント)の転がし方について書きたいと思います。

いや、転がすという表現は良くないのでは…?

ごもっともです。人様がやっている仕事に対して転がすという言い方は適切ではないかもしれません。

ただ、エージェントをやっている(いた)身としては、転がされてなんぼだと思っています。とってもいい意味で言っています。
私は転がされたい派です。笑

転職活動中の方、これから動き出す方、まだ考えてないけど人材紹介って?という方…この記事では人財(転職希望者)、エージェント、それぞれの立場で書いてみるので、読んでみてください。

※ちょっと長くなってしまったので、目次で飛ばし飛ばしお読みください。

『転がす』とは?

キャッチーな言葉として選んでしまいましたが、"転がす"という言葉を言い換えると、『うまく利用する』という事です。

エージェントは世の中に無数にいます。日本には人財紹介会社が2万社以上あると言われているので、そこで働く人の数を考えると恐ろしいですよね。

さて、そのエージェントを利用する意味、メリットについてまずは述べたいと思います。私は大きく4つあると考えています。

①自身の市場価値、転職の流儀・作法を知ることが出来る
②非公開(confidential)の求人に出会える
③会社情報、面接情報をもらうことが出来る
④年収を始め、条件交渉が出来る

それぞれ説明します。

①自身の市場価値、転職の流儀・作法を知ることが出来る
エージェントは月に10人~30人の人財と面談をしています。それだけの人と会って、毎日企業に推薦をして、面接を組んで内定獲得のお手伝いをしている為、職務経歴書を見ればある程度、市場価値を判別することが出来ます。

実際私のところに相談に来て(スカウトメッセージに返信をして)くださる人の中で1~2割は、『自身の市場価値の確認の為、活動をしている』という人たちでした。

これはこれでとてもいい事だと思います。今の年収、役職、ポジションが、本来の市場価値と比較して妥当なのか、高いのか、それとも低いのか…無料で診断でしてくれるんだからいいですよね。転職はしなくとも、現状が知れれば、弱みを補う行動が出来るんですから。

また、転職が初めての人は特にですが、転職における流儀とか作法について、大抵のエージェントはアドバイスをくれます。履歴書・職務経歴書の書き方は勿論、経歴の棚卸しの仕方、どういう流れで進めるのか、企業とどういうコミュニケーションを取るべきか、入社に向けた準備はどうするか…知っておいて損はない情報を必ず仕入れられるはずです。

②非公開(confidential)の求人に出会える
通常、企業は採用の情報を自社ホームページか、転職サイトに掲載します。ただ、特に大事なポジション(部長職以上、役員クラス)になると、現在そのポジションにいる人を考慮して、また採用戦略として、そういったところに掲載しないことがあります。

極端な話ですが『次期社長の席狙えます!CxO候補、急募!』という求人があったら、この会社やばそう。ってなりますよね。笑

エージェントは直接企業とやり取りをして、その預かった案件を人財に紹介してくれるので、表には出ていない求人も持っていたりします。多くの求人サイトは、エージェント面談に導くために『非公開求人多数!!』と謳っていますが、まぁまぁ嘘ではないはずです。

気を付けておきたいのは、どのエージェントでも持っている非公開求人か、そのエージェントしか持っていない非公開求人か、です。

当たり前ですが、後者のエージェントの方が圧倒的に営業力があり、経営層に入り込んでいる証拠でもあるので、そちらを使うべきでしょう。

特殊な経路(採用権限のある人との繋がり)で求人獲得をしているかどうかによって、そのエージェントの価値を計る事も出来るかもしれません。

③会社情報、面接情報をもらうことが出来る
エージェントを使うべき最大のメリットは、コレです。エージェントは企業と日々やり取りをしており、内情を知っています。今後の事業戦略や組織、そこに在籍をする人々(ある種の個人情報)、実際の社風など…Google先生も知らないような情報を持っています。

また面接場面では、どんな形式で進み、どんな面接官で、どんな質問をされるか、情報を持っているはずです。いわばカンニングです。ただ、企業側も分かってそういった情報を伝えています。エージェントを通して企業理解を深め、面接に臨んでほしい、というのが企業の本音なので良い意味でのカンニングですね。

ここら辺の情報を持っておらず、聞いても聞いても表面的な回答しか返ってこないエージェント、いい事しか言わないエージェントは信用してはいけません。

④年収交渉をはじめ、条件交渉が出来る
転職において年収提示は大事なファクターです。
企業によっては一切、年収交渉が利かない企業もあるので100%成功するとは限りませんが、ここら辺を任せられるのは大きいですよね。

エージェントは成功報酬(=入社)として企業から紹介料金をもらいます。

<理論年収800万の場合>800万×35%=280万
<理論年収600万の場合>600万×35%=210万

おわかりですね?年収が高ければ高いほど、身入りが大きいわけです。その意味では、人財と同じベクトルを向いて支援してくれるはずです。

人財Aさんが直接『現在は年収600万ですが、自分には800万の価値があると思うので、是非それでお願いします』と言うと欲が溢れ出しているように聞こえてしまうかもしれません。
それよりも、エージェントが『Aさんは今は年収600万だけど、他社では800万のオファーが出そうです。経験からしても、それ相応の市場価値あると思います。』と伝わった方が圧倒的に説得力がありますよね。

この第三者視点というのがとても重要です。

その他にもワークライフバランスや働き方についてなど、細かくて聞きづらいような疑問もエージェントが代わりとなって聞いてくれるので、心理的なストレスは大分軽減されるはずです。

上手く『転がす』には?

長々とエージェントを使うべき理由について書いてしまいましたが、転がす=上手く利用するにはどうすればいいでしょうか?

答えは簡単、複数のエージェントを使うことです。もっと言えば、その中からベストな転職のパートナー(=エージェント)を見つけることです。あくまでエージェントを使う場合の話ですが、ここはベストな転職先を探す前に最も大切なポイントです。

先ほど2万社以上の人材紹介会社が存在すると書きましたが、それだけ選択肢がある中で、ベストな転職のパートナーを探すのは至難な業です。

だからこそ、複数のエージェントとお付き合いさせていただき、それぞれの特性に合わせてうまく転がすのです。最初はいいなぁと思っていても、合う合わないは絶対に出てきます。人財の志望(例えば業界、業種)に対して、得手、不得手もあったりするので、折々で振り返りをして、そのパートナーが適切かどうか見極める必要があります。

『転がされる』とは?

ここまで読むと、人財側の意向で人(=エージェント)を取捨選択するようで、ちょっと感じが悪く思われた方もいるかもしれません。

ただ、人材紹介業もビジネスなので、これは仕方がありません。
凄腕のエージェントはこの信頼の獲得の仕方が上手いですし、それを裏付ける実力(人脈、情報量、企業グリップ力)があります。

反対に、『この人材とはもうお付き合いできなそう…』と思われて、エージェントからの連絡がぱったり途絶えてしまうこともあるかもしれません。なのでここはお互い様、としか言えません。

その上で、散々転がした(利用した)挙句、他社のエージェント経由で決まってしまったらそのエージェントに申し訳ないと思いませんか?

でもいいんです、それで。

転がしたあなたは、少なくともエージェントに恩を感じるはずです。それが決まっても、決まらなくてもです。その恩というのは、その人の役に立った証左でもあります。エージェントは転がされて、利用されて、恩を感じてもらって、長くお付き合いしていけばいいというのが自論です。

もしたくさん利用して、恩を感じたなら、次のビジネスを紹介してあげて下さい。つまり、人の紹介です。エージェントはこれが一番嬉しいはずです。

普通に決まっても嬉しいですが、他社経由で決まった人財から、人を紹介していただいて、決まった方が、エージェントは数倍嬉しいのです。

(なんだよっ、他で決まったのかよ)と腹の中で思いながらも『今後のご活躍をお祈りしております。』とだけ送ってくるエージェントもまだマシで、何も連絡をよこさないエージェントも中にはいるかもしれません。

その時はこの人で決まらなくてよかったなと思って、そっと個人情報の削除依頼のメールを送ってあげて下さい。

自身がエージェントの立場でどうだったか

私はこれまでエージェントとして支援するにあたり、他社のエージェントも使うように勧めてきました。

『独占でやればいいやん!』

というのも分かりますが、私の場合、他社も使ってもらってこそ、自身の介在価値に気づいてもらえるはず、という自信に満ち溢れていました。(強気)

そもそも本当に信頼してもらっていれば『他社で〇〇社の求人を紹介されたんだけど、もっこさん持ってない?もっこさん経由で出したいんだけど』と言ってもらえるので、してやったりです。これはかなりありました。

また他社の利用状況を聞いてくるエージェントはいても、他社も使った方がいいですよ!!と真剣に勧めてくるエージェントは中々いないはずなので、そこは差別化を図っていたところでもありました。

結果、私の価値提供が本物だったかは置いておいて、たくさんの紹介をもらいましたし、決まった・決まらなかった関係なく、色々な人財の方々をお付き合いを継続させていただいています。

永続的に転がしてもらって、本当に有難いことです。

自身の転職活動ではどうだったか

自分の転職の場合はどうだったか?

1回目の転職。エージェントは、1社しか使いませんでした。そもそも2社以上使うという概念が無かったですし、忙しかったため、その人一本でお願いしました。時には優しく、時には厳しく指導してくれて信頼できそうな人だったのも理由の一つです。結果として、天職に巡り会えたことは間違いありません。※転職エージェント、転職しますをご参照ください。

2回目の転職。エージェントは、5社使いました。3社は大手企業、2社はベンチャー規模。長くお付き合いしたエージェントさん、1回きりの面談で終わったエージェントさん、様々でしたが、私の転職先はダイレクトオファー(直接応募)で決まりました。

そうです。。。

結果として盛大にエージェントさん転がす結果となりました。自分に割いてくれた時間を考えると、本当に申し訳なさでいっぱいでしたが、そのエージェントさんに受諾しようとしている企業をお伝えすると、「その企業だったらご活躍いただけそうですね!」と最後に背中を押してくれました。

この転がし続けたエージェントさんには早速、知人を紹介させていただきました。自分よりも数倍素敵な人財なので、きっと良い結果に繋げてくれると信じています。

最後に

人財側、エージェント側の立場で、人財紹介サービスの使い方について書かせていただきました。いかがでしたでしょうか?

知っている人からするとそんなに真新しいものでもないので、面白くなかったかもしれませんが、これから転職をする人には是非参考にしていただきたいと思っています。

ここまでちょこちょこと織り込んではきましたが、人財紹介のサービスは、人と人との繋がりで成り立っています。

何かの製品やサービスに縛られない仕事です。

不確定な要素が多く、再現性があまりない仕事です。

悩まされることも多いですが、人のキャリアに寄り添える尊い仕事です。

そして最後は人間力で勝負する仕事です。

あなたも人間力を兼ね備えた、最高のパートナーに出会えますように。

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