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君と見た夜空


君がいたずらっぽく笑って
「ダイアモンドあげる」って言うから
手袋とマフラーをして
寒空の下 風の吹く方へ
手をつないで歩いた


寒くなかったのは
君の体温が手袋ごしに伝わってきたから


歩いていった先には
原っぱがあって
果てしない夜空が続いていた


「ほら、あそこの星を見て」
見上げるとひときわ輝く星が
落ちてきそうで
手を伸ばした


「それね、冬のダイアモンドって言うんだ」
君は星について語り出した


私はたいして星も見ないで
君が楽しそうに話をする横顔を見ていた


気付いた君は
ポケットの奥から何かを取り出した


小さな箱に大切そうに収められた
アメシストの指輪だった
夜空の淡い光に
紫色の宝石が浮かんだ



君の言葉がなくても
星が代わりに教えてくれた


右の薬指で紫色に
輝いているのを
星が照らしてくれたから