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あの時 ❸

君は何度かメッセージを送信してきたけれど
未読のまま
電話にも出なかった

「もう会わない」
最後に伝えた言葉が
心を濁らせたまま
月日が過ぎた或る日


君がバイク事故で
亡くなったと聞いた

事故に遭ったその場所は
二人でよく訪ねた海岸沿いの
潮風カフェにつづく道

別れを伝えた日からちょうど2ケ月
事故ではなかったのかもしれない

冷たい海に落ちていくとき
脳裏に浮かんだことは 何?

君の手を離さなければよかった
たとえ
傷つけ合ったとしても
永遠に失う哀しみと比べたら
なんでもないことだった

私の心は今
深い海の底にいる

あの時
君の声を聞いておけばよかった
会わなかった後悔で心が軋む

「もう一度会いたい」
願いながら生きる私は
あの頃よりも君のことを








愛している・・・・・・