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移民の国 (アメリカ駐在よもやま話 その20)

やはり移民の国だなぁ。そんな風に感じることが何度もありました。

日本に住む外国人が増えているようですが、移民によって国が成り立ってきたアメリカと比べ、移民に対する制度や意識に大きな違いがあると感じます。

まず、ESL教育。公立学校にはESL専門の教師やプログラムが必ずあって、外国から移住してきた子供達が、一般の教育課程とは別枠で、英語を集中的に学ぶ仕組みになっています。息子たちもESLのプログラムに参加しました。教会ではボランティアが無料でESL教室を開催しており、ボストン1回目の駐在時には妻もそのようなESL教室に通っていました。

外国から移住してきた子供達が入学・編入してくるのは珍しいことではないので、学校の受入体制も整っており、教師も慣れている様子でした。ボストンは他の地域と比べ有色人種が少ないのですが、顔立ちや肌の色が違うからと言って特別な目で見られるようなことはなかったと思います。世界各国から移住してくるので色々な人種が集まっている状態が当たり前だという感覚なのでしょう。

キンダーガーデンでは毎朝、担任とクラス全員が「忠誠の誓い」を暗誦することになっていました。息子も直ぐに覚え、家の中で、胸に手を当て背筋を伸ばし流暢に暗誦するのを目の前にしたときは、ネイティブのような発音で英語を話せるようになったことに大変感動しました。同時に、こんなふうに移民の子供たちは直ぐに英語を話すようになり、また、愛国心を持つようになるのだろうと考えました。移民で成り立ってきた国だからこそ、新しい移民を「アメリカ人」に育てる仕組みを学校に組み込んでいるのですね。

会社の同僚や取引先の人たちは、私が日本から派遣され一時的にアメリカで働いている駐在員だと認識していますが、近所の人々、学校の教師、子供の友人たち、彼らの保護者たちには、私たち家族が日本から来た移民だと思われていました。いわゆる駐在員という人たちが少なく、移民で成り立った国なので、そのように思われるのも当然でした。でも、私や妻がいずれは日本に帰るという意識を持っていたので、周りとの認識のズレに居心地の悪さも感じていました。

息子と一緒にESLプログラムに参加していた中国人の少年のお父さん、お母さんと話す機会がありました。彼らは上海から移住してきたそうで、アメリカに溶け込もうと努力している様子が良く分かり、そのバイタリティーに圧倒されました。古臭い言葉で今はあまり聞きませんが、「アメリカンドリーム」を実現しようと頑張っている姿に新鮮な驚きを感じました。世界におけるアメリカの地位低下が言われていますが、今でもこのような移住者たちのパワーでアメリカはダイナミックな成長をし続けているのだなぁと感じました。

最後に宣伝です。昨年、私は「英語で書く、ビジネスメールの基本」という本を出版させていただきました。自費出版ではなく商業出版です。本書の特長は以下の通りです。

<本書の特長>
①通算17年のアメリカ駐在を含む30年以上の貿易関連業務の実践を通じて習得した英文メールの書き方を解説

②ビジネス英文メールはパターン化した表現や決まり文句などを覚え、また、相手の国の文化や習慣に対する理解に基づき表現を工夫することがポイント。それらのポイントを踏まえて、相手にうまく伝わり相手の行動を促す英文メールを短時間で書くための色々なノウハウを紹介

③海外の文化・習慣に対する理解に役立つようにアメリカ駐在時の様々なエピソードも織り交ぜている

④例文を多く提示し、略語一覧やIT用語一覧なども付録として掲載しているので、手元に置いて事典のように利用できる

この本が皆様のお役に立てば嬉しいです。

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最後までお読みいただき本当にありがとうございました。



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