見出し画像

仕事は人間関係マネジメントで成り立っている ー 書評『混沌(上・下)新・金融腐蝕列島』

経済小説を読むメリットは仕事への意欲が上がること。特に、主人公が努力、分析力、創造力、交渉力を働かせて活躍する小説は、「オレにも同じことができるはず」と思わせてくれ、仕事のクオリティー向上につながる(ことがないわけではない)。
本著も主人公の能力がいかんなく発揮され痛快ではあるものの、面白いくらいに発揮される能力は人間関係に偏っている。

本書のテーマは三和銀行・東海銀行・あさひ銀行の三行統合とその行く末。頭取同士のせめぎ合い、三和銀行内の軋轢、新聞や政府など外部との関係、同期同士・先輩後輩・上司部下の関係など、全てが人間関係。経営統合のような経済的な話も裏を返せば多くが感情論で決まり、成否も感情論で決まることが良く分かる。

誰にまず報告すべきか。深夜12時を超えているにも関わらず電話で報告すべきか。新聞記者の話をどの程度まで開示すべきか。交渉相手のニュアンスをどこまで伝えるか。このような人間関係のやり繰りで全てが決まっていく。

本著を読んで、過度に政治的になるのは筋違いだが、人間関係の重要性を再認識し、仕事に生かすことができればメリットは大きい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?