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小説 本好きゆめの冒険譚 第三十四頁

「何も無い空間。」で、ゼウスの声だけが響く。

「ここまでは、大丈夫じゃな?」

「はい、大丈夫です。」

「ねぇ〜、そろそろ休憩しな〜い?」
 ヘーラーさんが私の腕を引っ張りながら、おねだりする。

「後、1つだけじゃ!待たれよ!」

 その言葉に、ヘーラーさんは、怒りを覚えた!

「オラァ!くそジジイ!何私に向かって、偉そうな口叩いてんのよ!」

 ゼウスさんは、後ずさりをしながら、

「後、1つ、後1つだけじゃから、頼むから、待ってください!」

「調子に乗ってんじゃないわよ!このジジイ!」
 舌打ちをしながら、ヘーラーさんは、少し離れた所に移動する。

「で、では、最後の力じゃ。ホレ。」

 私の左手が輝き出した。

「何ですか?さっきと同じ光じゃないですか?」

「そうじゃ、さっき光った時、その後は何処におった?」

「桃太郎の世界です。」

「それが、ゆめの力じゃよ。」

「どういう事ですか?」

「ゆめは、物語の中にも入れるという力じゃ。」

「ホレ、試しにこの本に左手を翳してみよ!」

 私の前に、一冊の本が浮いている。

「失敗しても、大丈夫じゃ、儂が助けてやる。」

 私は本に左手を翳すと…

 左手から出る眩い光が、私と本を繋げていく…

 光に吸い込まれる感じだ…


「ここは、何処?」

 見た感じは、アフリカっぽいな、象もいるし…
 キョロキョロと辺りを見渡していると…

「ゆめ〜、聞こえるかの〜?」
 天から声が聞こえてくる。

「はい!聞こえてます!」

「ゆめは今、「アフリカの動物たち」と言う本の中に居るんじゃよ〜。」

「帰りたかったら、左手を天に突き上げながら「帰還!」と唱えるんじゃ〜。」

 私は左手を天に突き上げ「帰還!」

・・・何だかウルトラマンみたいなポーズ…は、恥ずかしい。

 本の中から光と共に、ゆめが出てきた。

「これが、最後の力じゃな。理解できたかの?」

「は、はい…とても良くわかりました…。」

 へたり込む私に「大変!」と言いながら、ヘーラーさんが駆け寄って来た。


 少し、時間が経って…。

 私は、ヘーラーさんの膝枕で、横になっている。

 ゼウスさんが、覗き込んで…

「大丈夫か?気を失っていたようじゃが…」

「いえ、余りの体験にびっくりしただけです。」

 ゼウスさんは、笑顔で頷いた。

「後は好きなだけ、ここに居ればよい。ヘーラーに、良くしてもらいなさい。」

「やったぁ〜!」
 と、叫ぶヘーラーさんからの大いなる愛を全身で受け止めていた。

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やっと、説明会の終わりです!
長々とありがとうございました!
次回からは、ストーリーに入ります!


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