北の伏魔殿 ケースⅠ-⑭

○嘘や悪事は必ず露見する

 最近の不祥事を見ていると、今の時代、そんなことをしていて露見することが怖くはないのがと思う事例が多々ある。やっている本人たちは、なんの根拠もなく露見しないと思っているのだろうが、この情報化の進展やガジェット類の発達による証拠確保の容易さは、隠蔽工作を含めよけいに世論に悪印象を与えている。さらに、第三者委員会設置がトレンドになってきており、不法行為はもちろん、政策的な誤りも追求される時代となってきている。

 本庁課に行かなくなってから、ラインではないが、私と同じ部出身のS課長補佐で、当初の団体派遣事務手続きの窓口となり、また、「出張早く行った方がいい」と気遣ってくれた人から「最近、来ないね」と電話があった。
 私が「来て欲しくないと思っている人間が何人かいるんじゃないですか?」と言うと「そんなことはない。会って話をしよう。」と言われた。
 そこで勤務時間外に飲食店で会って、これまでの経緯を全て明らかにすると、S課長補佐は、詳細な報告書を作成し、課長に報告した。
 M係長が私の噂話を聞いたとき、私が彼の立場なら本人を呼んで事情を聞くと言ったとおりのことをそのS課長補佐も実行している。これが、本来の仕事のあり方なのだが、実際にそれができる職員は多くはない。

 課内では、現地事務所の所長がH課長補佐として戻ってきており、そのH課長補佐とM係長、B主査の3人に対し、課長の前で、S課長補佐が「M氏の出張について、もう少し気を使ってやれよ」と言ったそうだ。結局、私が彼らの立場を考えて、アドバイスしたことや出張について黙っていたことも
無駄になってしまった
が、それは彼ら自身の行動の結果だからやむを得ないだろう。

○嘘や悪事は必ず露見するが、人事は因果応報とはならない

 M係長は、課長より上の幹部職員から私に対する不法行為について、とがめられ相当の叱責を受けた。しかし、その幹部職員が退職した後は、人事課在籍と言う特権で、総務部では昇格できなかったのの他部で本庁課長になることができた。

 一方、B主査は、女性登用の一環で幹部職員として育成するとしてすぐに管理職になり、順調に出世をして、本庁次長職にまでなった。
 さらに、M係長の部下ふたりも管理職になり、本庁課長相当にはなれそうだ。

 私と言えば、管理職登用への打診があったものの、ケースⅠやIIのできごとにより、人事への不信感が増して、これを断ると人事でも報復が始まった。
 それは、次の機会にでも明らかにしよう。


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