ディスレクシアのための、英語を使わない大学入試 #1様変わりする大学入試とディスレクシア
様変わりする大学入試とディスレクシア
もじこ塾は英語塾なのですが,大学受験を目指す生徒のなかには,英語を学びに来ているわけではない生徒がかなりの割合で存在します。
なぜなら……いまの大学入試は,やり方によっては,英語の比率をかなり低くする,場合によってはゼロにできるからです。
もちろん,英語不要の入試は限られるのですが,探せば「英語ができなくても入れる大学」はあるのです。
そこで、まずは「ディスレクシアのための、英語を使わない大学入試」をテーマに,もじこ塾がディスレクシアのための大学受験指導を通じて知った,「英語をできるだけ使わないで突破する大学受験」について,詳しく紹介していきます。
第1回は、「様変わりする大学入試とディスレクシア」です。
大学入試の方法は多様化しています。「学力試験なし」、「評定不問」の大学入試があります。また必要なら「合理的配慮」を受けることができます――そのあたりのことをお伝えしていきます。
1)大学入試の方法は多様化している
現在の受験生の親世代、つまり約30年前と比べると、大学受験はまったく変わりました。
最も大きな変化は、入試方法の多様化、なかでも推薦やAOと呼ばれる入試(詳しくはこの後で説明します)で入学する生徒が増えたことでしょう。
現在の大学入試は、大まかには以下の3種類に分けられます。
①一般入試
②推薦入試(指定校推薦、公募推薦、自己推薦)
③AO入試
文科省の資料によると、2018年4月の大学入学者のうち、一般入試で入った人は55%。
対して、推薦かAOで入った人の合計は45%。
ほぼ並んでいます。
これは全大学の平均ですので、一部の私立大学では、一般入試で入学している学生は学年の半分を割っていることになります。
大学入試イコール一発勝負の学力試験と考えるのは、過去の話なのです。
以下、その詳しい内容と、<ディスレクシア視点 英語の比重>を順に説明します。
①一般入試
一発勝負の学力試験で合否を決める、親世代にはおなじみの入試です。
文系だと英国社,理系だと英数理が標準的で,いずれにせよ英語が必須の場合がほとんどです。
<ディスレクシア視点 英語の比重>
一般入試を戦う場合、英語から逃げることはできません。
②推薦入試
大きく分けて次の3種類があります。ハードルの高さは、指定校推薦>公募推薦>自己推薦となります。
推薦入試その1:指定校推薦
大学が指定した高校が対象。評定平均が一定以上で(多くは4.0以上)、高校の校長の推薦を得た人が出願できます。
通常は1つの学科に対して各高校の枠は1~2名のため、高校の同級生との競争が厳しい反面,高校内での推薦がとれれば、基本的には面接だけで合格が決まります。
親世代にとっては、推薦といえば指定校推薦のことでしょう。
そこから「推薦は評定平均が高くないと無理」と思い込んでいる親御さんは多いものです。
<ディスレクシア視点 英語の比重>
指定校推薦を狙う場合、英語という点では学校の勉強を頑張ることになります。
範囲が決まった定期試験対策が中心になるので、一般入試よりもディスレクシア的には戦いやすくなります。
2)ディスレクシアへのおすすめは「公募推薦」「自己推薦」そして「AO入試」
以上見てきたのは、一般的にもディスレクシアの生徒にとってもハードルの高い入試方法です。
しかし以下紹介する「公募推薦」「自己推薦」「AO入試」は、ディスレクシアの生徒にとってとりわけ有効な入試方法となります。引き続き、詳しい内容と<ディスレクシア的 英語の使用度>を見ていきましょう。
推薦入試その2:公募推薦
名前の通り、指定校に限らない推薦入試です。
高校の校長の推薦を受けられれば、どの高校から何人でも応募できます。
評定平均は、指定校推薦よりも低いのが一般的です(3.0~3.5前後)。
選抜方法は、志望理由書、調査書、事前課題などによる書類選考と、
面接・小論文・グループディスカッション、プレゼンなどが課されることが多いようです。
学科試験がある場合もあります。とはいえ、
・一般入試と比べて得意科目で勝負できる
・科目数が少ない
・教科横断的な出題が行われる
のが特徴です。
<ディスレクシア視点 英語の比重>
・一般入試と比べて得意科目で勝負できる→英語の比重を下げることが可能
・科目数が少ない →場合によっては英語を避けることが可能
・教科横断的な出題が →英語の比重を下げる/避けることが可能
英語のハードルは、だいぶ下がります。
推薦入試その3:自己推薦
試験方式は、公募推薦とほぼ同じです。
公募と異なるのは、高校長の推薦が不要な点。
また、評定平均も公募推薦と同じ程度か、場合によっては不問です。
<ディスレクシア視点 英語の比重>
英語の比重は、少しですが公募推薦よりもさらに下がります。
そして・・・推薦入試よりもさらに、英語の比重が低い入試があります。
それが、次に紹介するAO入試(総合型選抜)です。
③総合型選抜(AO入試)
(2020年度からAO入試は「総合型選抜」と名称が変わりましたが、わかりやすさを優先してここでは「AO入試」と呼びます)
AO入試のAOは「アドミッション・オフィス(入試事務室)」の頭文字です。
AO入試とは、「アドミッション・オフィスが行う試験」という意味。
「単なる学力よりも、その大学の『アドミッションポリシー(求める人物像)』に合っているかどうかを見る試験」という意味がこめられています。
「やる気と人物評価の入試」と、もじこ塾の卒業生たちは言っています。
AO入試では、志望理由書と、面接・小論文・グループディスカッション・プレゼンなどで選考を行います。
<ディスレクシア視点 英語の比重>
・基本的に学力試験がない、評定も不問、高校長の推薦も必要ない →英語が必要ない入試!!
・一発勝負のペーパーテストがない、しかも英語を回避できる →AO入試はディスレクシアにとって非常に魅力的な入試形式。
もじこ塾では、大学進学を希望する生徒には、(進学校に在籍する場合を除して)、AOや推薦入試をまず検討すべきと、強く勧めています。
3)おぼえておきたいこと・その1――「合理的配慮」について
ところで、近年の大学入試をめぐる大きな変化について、忘れてはならない点がもう1つあります。
それは「合理的配慮」という制度です。
ディスレクシアなどの学習障害、そして発達障害をもつ生徒は、条件を満たせば「合理的配慮」を入試で受けることができます。
5年ほど前から登場したこの制度は、まだあまり知られていないのですが、少しずつ配慮入試による合格者が表れています。
もじこ塾は、5年前より毎年、合理的配慮入試をサポートして来ました。
この詳しい内容についても、次回以降のnoteでお伝えしていきます。
さらに追加で、
学習障害や発達障害を抱える高校生のなかでも、現在の高校に通い続けるのが大変になってきた人に、特に知っておいてほしいことがあります:
4)おぼえておきたいこと・その2――大学進学を希望するなら、高認よりも高校卒業を目指すべき
学習障害を抱える生徒にとって、学校に通い続けるのがとても大変なこともあるでしょう。
なかには、中退して高認(旧「大検」、高卒認定試験)を経ての大学受験を考える人もいるかもしれません。
もじこ塾は、そういった生徒を応援します。……そして、応援しているからこそ、ひとつ知っておいてほしいことがあります。
AO/推薦入試は、普通科、定時制、通信制など、いずれの高校からも出願できます。
しかしながら、高認合格を経てのAO/推薦入試への出願は、基本的にはできません。
例外もありますが,ごくわずかです。
高認の道を選ぶと、大学入試は基本的に一般入試の一択となり、AO/推薦入試の道はなくなるということです。
このため、もじこ塾では、大学進学を希望する場合は、進学校に在籍しているのでない限り、中退して高認を目指すのではなく、別の高校に転校して高校を卒業することを勧めています。
だいたいのイメージとして、ディスレクシアの場合、
専用の勉強をしなくても高認に合格できることが、高認から一般入試で大学を目指せるひとつの目安となります。
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次回は
・AO入試を目指す場合、ディスレクシア的に注意すべき点
・ディスレクシアのための、AO入試までのタイムスケジュール
についてお伝えします。
※このnoteで取り上げてほしいテーマを募集します。
コメント欄、またはmojikojuku@gmail.comまでお寄せください。
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