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大工、人を使うことへの迷い

 体力的にも収入的にも右肩下がりになっていく恐れのある職人業ですが、これに対抗する手段として、人を雇って助けてもらうor人に仕事を振って助けてもらうの二つがあります。


 職人業も40歳を過ぎてくると、身体の衰えを実感。この仕事を一生独りで続けるのはムリがあるな・・・と日々思うもんです。そこで、出てくるのが人を使うという考え。


 実は、というか実際の話、町場の小さな工務店で毎日働いている一人親方の大工。彼らの多くは、事実上雇われているけど、経理上では雇われていないのだ。


 どういうことかと言うと、経理上は「外注」になっていて、社員として扱わない。雇用保険なんて当然ない。だけどお抱えの大工として毎日常用契約で頑張ってもらう。


 なぜか? それはいつ仕事が切れるかわからないのに、社員として大工を雇うなんてリスクだからです。使われている側の大工の意識は「保険はないけど仕事もらってるからOK」と「俺は営業とかできないからOK」この二つです。あとは恩義とかね。


 この、工務店と大工の不思議な関係は昔から続いているもので、持ちつ持たれつなわけです。この関係にチャチャを入れてきたのがインボイスなのですが、今回はその話じゃない。


 この関係って、極端に言えば取ってきた仕事を大工に安く振って、工務店がピンハネするって構造なわけです。当たり前っちゃあ当たり前なんだけどね。


 一人の大工が普通に働けば一日3万円くらいになる仕事。この仕事を2.2万円で大工に振って叩いてもらうと8千円残ります。細かい諸経費として3,000円くらい見たとしても、5,000円儲かります。ふところポッポ。


 これをわかった上で知り合いの大工に頼めるか・・・。


 じゃあ、ネットなんかで募った大工に振ったらどうかというと、そういう一見さん職人は現場に対する責任感が希薄で、雇い主側が尻ぬぐいに奔走するっていう流れがセオリーになっちゃってるのが業界の真実。だから考えちゃうのよね。


 痛む善意と尻ぬぐい奔走の代償として1日5,000円の収入アップ。もちろん、人工以外にも利益の見込める現場なら、大工にもっと払ったとしても丸儲け。


 こんなことをしたたかに考えてはいるわけですが、結局行動に移せないのでこうして日々ブログを書いています。


 みなさま、どうぞごひいきのほどよろしくお願いいたします・・・って、まさかの同じオチ二連発!

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