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大工、マンションの管理人

 昨今の建築業界では最終消費者である個人のお客よりも不動産関連の法人のお客の仕事が増えています。そうなると戸建ての仕事より賃貸マンションの修繕など集合住宅での仕事が増えるのは必然なわけです。相対的にお金に余裕のある個人が減ったってのが裏付けかも。


 個人にとって修繕やリフォームって必要じゃない場合が多いけど、法人にとって管理物件や自社物件の修繕は義務だったりします。


 そんなマンションや団地などの集合住宅は「区分所有建物」といって「区分所有法」という法に則っています。法に従って管理組合が設置されていて、その組合の規約に基づいて選ばれた管理人さんが現場代理人として建物を見守っていらっしゃいます。


 この管理人が『めぞん一刻』の響子さんのような人であったことは一度もないです。大工として25年も叩いているので、そりゃあ色々な管理人に会いました。ですが響子さんのような管理人は存在しません。大切なことなので二回言いました。


 大工という職業の人間として出会う管理人は大きく二分されます。それは職人が嫌いか別に嫌いではないか、もうハッキリ言って要するにこれだけだと思う。


 なぜなんだノーマジーン!って叫びたくなるほどハナから高圧的な管理人はシンプルに職人が嫌いなんだと思う。きっと今までに礼儀を欠いた職人や業者がいて、嫌な思いをされた経験から自然と身に付いた防護的態度なんでしょう。じゃなかったら怒るよほんと。


 職人が別に嫌いではない管理人は普通です。人として普通なので、コンビニの店員のような雰囲気。初対面で「何っ?」とか「誰っ?」のような小さい「つ」の入った言い放ちクエスチョンでジャブってくることはありません。普通です。普通が一番。


 それは管理人である以前に人としてどうなのか? という管理人も本当にいます。イチイチ例を挙げてクドクド愚痴りたいのですが長くなるので割愛。愛なんかないけどね。


 彼らはきっと自分が門番だと思ってるよ。王に対して忠誠心を持った門番。王国の民を守るべく外界から来たるどこぞの馬の骨に槍を向ける門番。かっこいいっす。


 けどね、門番は門番でもあれだよ。ドラクエの門番だよ。主人公パーティの行く手をとりあえず通せんぼしてくる、初見の門番だよ。個性を排除したモブ態度がそっくり。


 だけど、こういう管理人が守ってるものって本当は建物でも規約でもなくて、単に人生経験だけで発酵させてゴリゴリに凝り固まった自分のプライドだよね。万が一自分に従わない部外者が出たら己の沽券に関わるとでも思ってるみたい。


 ちゃんとルールに従うんだからさ、あまり目くじら立てないでほしいよ。門番が王様気取りだなんて滑稽だわ。


 ゴンドアの谷の歌にあるもの。土に根をおろし、風と共に生きよう。種と共に冬を超え、鳥と共に春を歌おう・・・。


 何っ?

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