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【詩】帽子いっぱいの星空

君の壊れた手紙を読んでいる
冬の寒風シャツを着込んで
懐かしい帽子をとって 玄関を離れたんだ
散らかった部屋では 埃が星々みたいに飛んでいた
ベッドの下から出てきた写真も
また同じように
遠い遠い昔のおはなし
ぼくらが何もかも持っていたころ
全てをかけて繕うことにした
君を一つだけ遣って
愛は背後から見つめていた
ぼくらが見れなかったすべて
とても遠く
帽子は魔法を覚えている
血流の星空を見上げる方法を

プレゼントを持ち続けている
過ぎ去った旅先の果てまで
真実の外で見つけた現実と
重ねすぎた充実と
手に入れたことなんてなかった
何もかも持っていたから
もし両手に隙があったなら
悲しみだけが空いていた
遠い遠い昔のおはなし
ぼくらが何もかも持っていたころ
全てをかけて繕うことにした
愛を見ていたつもりで
本当は見られていたんだ
とても遠くから
帽子が覚えていたよ
血を流れる星空のことを
君からとても遠い
僕の懐かしい帽子が

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