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これから「がん」になるあなたへ -どうしても知っておいて欲しいこと

今や一生の間に日本人の二人に一人はかかるという「がん」
そして日本人の3人に一人の死因でもある「がん」
もはや「がん」はもっとも身近な病気で、つまりこれを読んでいるあなたも、いずれは50%の確率で何らかの「がん」になる。

健康に気を使っていても、「がん」家系じゃないから大丈夫だと高を括っていても、なる時にはなる。

これほど身近な病気なのに、多くの人は自分がいつか「がん」になるとは考えない。だから「がん」のことをよく知らない。

私もそうだったからよく分かる。

ストレスをためない健康的な生活を送っているし、がん家系でもない。念の為にがん検診も受けている。健康診断はいつもA判定で、健康には自信がある。

それでも「がん」になった。

だから、誰でも「がん」になる可能性はあるのだ。
だから、どうしても知っておいて欲しい話がある。

これはフィクションです

高品質なサイトを作る条件とは「E-A-T(イーエーティ)」である。それは、
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
つまり、専門家でもないし、権威もない、信頼性も不確かな私が「がん」を語るについて、批判的な見方をする人の方が多いだろう。

しかも、最近は「医者でないものは医療を語ってはいけない」という風潮も強いので、とてもやりにくい。
嘘の健康情報信じて健康被害とか、一時話題になったからなのだろうが。

しかし、どうしても語らずにはいられない。

「がん」などという文字が躍ると、ニュースフィードなどもついついチェックしてしまうのだが、大方の個人の「がん」サバイバーブログなどを見るたびに、「大丈夫なのだろうか?」と、他人事ながら心配になってしまって仕方がない。

「お医者様のいうことをきかないとか、信じられない」とか、「医者に抗がん剤をやってくれるように頼んだ」とか、目を丸くするような記事が飛び込んでくることもある。

どうやら「お医者様の言うことを信じてついていくだけです」というのが圧倒的な世間の風潮のようなのだ。

ちょっと待って。いいのかそれで?
せめてそこに自分の意見や意志はないのか?

でも、大抵の人は突然「がん」だと宣告されると、驚愕と恐怖で思考が停止してしまう。そして「専門医」の「権威ある大病院」の「信頼できそうな医者」に全てを丸投げしてしまうのだ。

だから、どうしても、一言いいたい。
その時突然「がん」だと宣告されて、頭が真っ白になって、目の前にいる医者に全てを丸投げしてしまう前に。
「がん」について最低限の知識があれば、医者に「丸投げ」じゃなくて、せめて医者と「キャッチボール」をして治療を進められる。

でも、医者でもない素人の単なる経験談じゃねえ・・・読んで騙されたらいやだし・・・

いやもう、それじゃあ、フィクションでいいです。
これは私の経験に基づくフィクションです。
だからフィクションとしてお読みください。

だから標準治療がある -その意味を考えてほしい

体の具合が悪いので、ちょっと大きな病院で調べてもらった。がん検診でガンの可能性が高いと分かって、がん専門病院に行った。
どこで「がん」の告知が行われるかは人によって様々、ケースバイケースだが、ガン専門病院の適切な診療科の経験豊富な臨床医でもない限り(であったとしても)、目の前にいる医者の治療方針を丸のみにするべきではない。

胃の調子が悪いからと言って眼科に行くような人間はいないと思うが、最近の医療は高度化・細分化が進んでいて、非常に高度な専門知識が要求される。
だから消化器内科の先生だから胃がんにも詳しいかというともちろんそうではない。
特に「がん」というのは高度な専門知識を要求される分野である。
幸運なことにあなたのかかった病院の消化器内科に、胃ガンの専門医がいたとしても、実際に手術を担当する外科に専門医がいない場合もあるし、その逆もある。

ちょっとした大病院位でそれくらいの人材が、各診療科ごとに用意されているわけがない。

つまり目の前にいる医者が専門家であるとは限らない


よっぽど田舎の小さな病院でもない限り、大体いつも病院は混んでいる。
ちょっと評判の高い総合病院なら、予約した時間に訪れても一時間待ちは当たり前だ。

待合室は患者であふれているし、医者は多くの担当患者を抱えて大忙しだ。
過労死レベルを軽く超える医者の労働問題は深刻だ。
厚生労働省が、医師の残業時間の上限を「年1900~2000時間」とする制度案を示した。とか、笑えない。
2000時間の残業って、週5日勤務だと一日当たり7時間36分の残業だ。
基本8時間労働だから、一日15時間36分まで働いていいよって、厚生労働省がお墨付きを与えるって、どんなブラック企業だ。

どれだけ給料をもらったとしても私なら断る。

そんなわけだから、当然新しいことを勉強する時間などあるわけがない。

自分が「がん」の専門医じゃなかった場合、あるいはちょっと専門がずれていた場合、あるいは自分の持っている「がん」の知識が古くなっている場合、その知識を補うためには勉強が必要で、どんな職業の人もその業界で長くやっていく為には、経験だけではない、新しい知識の導入が必要だ。

つまり医者は忙しすぎて新しいことを勉強する時間がない


だから、標準治療があるのだ。
標準治療というのは、特定の高度な技術や経験を要する病気の治療のために作られた、標準化された治療法・ガイドラインのことだ。
全国の病院間で医療格差が起こらないようにするために、その病気で最も適切であると定められた治療のガイドラインだ。
つまり医者の教科書だ。

標準化された、というのは別に「並みの」というわけではない。スタンダードなという意味で、もっとも適切であろうと考えられる治療法のことだ。
医者の教科書であるガイドライン、標準治療の決定には当然、その病気の専門医や研究者たちが多数関わっている。
つまり、標準治療を受けるといことは、全国的な治療法を決定することが出来るような専門家の勧める治療と同じものを受けることができるということだ。

目の前にいる医者が専門家でもなくて、勉強をする時間がなくても「標準治療」通りの治療を行えば、とりあえず間違いはない。
だから医者は標準治療を患者に勧める。

この標準治療をどう考えるか

これは個人によって様々な意見が分かれるだろう

標準治療を行うというのは悪く言えば、担当医にスキルも経験も何もないと言っているようなものでもあるし、
また、私の体は他の人とは違う、特別な体質なので、標準治療の枠に収まらない特別な治療が必要だ、と思う人もいるだろう。
あるいは、標準治療というのはそうそう毎年変更するわけにはいかない。臨床試験も経てから改定するので、改定には何年もかかる。だから実は改定を待っている新しい臨床データがあるかもしれない。
と、思う人もいるだろう。
実際、卵巣がんガイドブックは現在2015年版で、それ以前の2010年版と読み比べてみても大分内容が変わっている。おそらく、次回の改定ではさらに内容の変更があるだろうと思われる。

考え方は様々だろうが一つだけ間違いなく決まっていることがある。

標準治療を受けるか受けないか、決めるのはあなた自身だということだ。

そもそも「がん」ってどういう病気か知っていますか?

そもそも「がん」って、どういう病気だか知っていますか?
「がん」くらい誰だって知っているよ。
・・・と、ほとんどの人は言うかもしれない。でも、本当に知っていますか?
一体私たちは「がん」の何をどのくらい知っているのだろう?

私が「がん」になって最初に調べたのは、そもそも「がん」とは何かということだった。

昔から言われます。「がんで死んだ人はいない」

「がん」がDNAのコピーミスで起こるというのは、周知の事実だ。
もともと自分の体の中にある正常な細胞が、細胞分裂をするときに正しくコピー出来ないとがん細胞になる。

そもそも、人間の体というのは37兆個もの細胞で出来ている。(昔は60兆個と言われていたらしいが、これは根拠のない数字だったらしい)
この37兆個もの細胞が、すべてではないが、そのほとんどが古くなった細胞を廃棄して新しい細胞をつくる。
つまり、人間の体は毎日どこかしらで生まれ変わっていて、毎日6000億個(60兆個の1%で試算しているので、本当は3700億個かも)もの細胞がコピーされている。

毎日そんなにたくさんのコピーを繰り返していては、そのうちのどこかがミスをするのも当たり前だ。DNAの一つでも違うと違う細胞だとみなされるくらい、DNAの一文字は大きい。でも、実際はかなりの頻度でコピーミスをする。

なので、がん細胞も毎日たくさん作られている。一説によると健康な人でも毎日5000個くらいのがん細胞が出来ていると言われている。

なので、人体はコピーミスをしても大丈夫なように出来ている。細胞がDNAのコピーミスを起こすということは、人体にとっては織り込み済のことなのだ。
だから、コピーミスをおこした細胞には自殺プログラムが発現するようになっている。アポトーシスと呼ばれるプログラムされた細胞死だ。
ほとんどのがん細胞はこのアポトーシスによって取り除かれ、これが働かなかったがん細胞も体内の免疫系(主にNK細胞)によって取り除かれる。

しかし、それでも稀に生き残ってしまう「がん細胞」がある。
これが「がん」のもとになる。

この「がん細胞」はアポトーシスから生き残っているのでアポトーシスしない。つまり死なない細胞だ。普通の細胞はある程度増殖を繰り返すと死んでいくのに、この「がん細胞」は死なないので無限に増殖を繰り返す細胞ということになる。

つまり「がん」というのは無限に増殖を繰り返す、死なない細胞が体の中にある状態なので、放っておくとこの「がん細胞」は巨大なものになる。
細胞の倍々ゲームを想像して欲しい。決して死ぬこともなく増殖を繰り返す細胞群が最終的にはどこまで巨大になるか。
当然にその巨大な細胞群をさらに増殖させるためには、大量のエネルギーが必要となるので、体中の栄養が「がん」に吸い取られてしまう。
そのため全身の臓器が栄養不足に陥る。なので末期がんになると体がやせ細る。

つまり、「がん」というのはそういう病気で、脳卒中や心筋梗塞というような直接人を殺す病気ではない。
「がん細胞」が正常細胞を攻撃しているわけではないのだ。
あくまで、巨大になりすぎた細胞が他の臓器の栄養まで取ってしまうので、正常細胞が活動できなくなってしまうことによる死。
だから「がん」の死因は「多臓器不全」なのだ。

がんが直接人間を殺すわけではない。間接的に殺すということ。
「がんで死んだ人はいない」というのはそういうこと。(ガンが直接人間を殺す例外は脳腫瘍です)

直接的にしろ、間接的にしろ、「がん」で死ぬんだから同じことでしょ?
・・・と言うかもしれない。しかしそれは違う。「がん」になってみればわかる。「がん」は死ぬ病気ではない。少なくとも「すぐに死ぬ病気ではない」
そう知っているだけで、「がん」に対する向き合い方が全然変わるはずだ。


細胞は二種類ある

え?二種類どころじゃないって?
まあ、待って。
どういう分け方にするか、その定義によって様々に分類できるが、ここでは、「幹細胞」か「そうでない」か、に分類したい。

幹細胞とは自己複製能力以外に、様々な細胞に分化する能力を持つ細胞のことで、もっとも分かりやすいのは「胚性幹細胞」だろう。
人間がたった一個の「胚(受精卵)」から分化して37兆個もの分化した細胞を持つ人間になったのは誰もが知っていることだ。
つまり「胚性幹細胞」は何にでもなれる万能細胞だ。

他にも幹細胞はある。「胚性幹細胞」ほど万能ではないが、ある程度分化できる能力をもった細胞が「成体幹細胞」と「IPS細胞」だ。
「IPS細胞」についてはよくわからないし、ここでは関係ないのでスルーするが、問題は「成体幹細胞」だ。

普通の細胞は細胞分裂をしても、特定の細胞型しか作り出せない。まあ、当たり前というか、そうでなくては困る。手のひらの細胞が細胞分裂を繰り返して目玉とか作り始めたら、誰だって困るだろう。ミギーか?って話になる。

ところが「成体幹細胞」は違う。まあ。右手に目玉は作り出せないが。
脳の海馬のニューロン新生は有名だ。神経幹細胞が新しい神経を作り出すのだ。
造血幹細胞も、分裂して、白血球、赤血球、血小板、肥満細胞、樹状細胞など様々な細胞を作り出す。

つまり、細胞は二種類ある。「分化していろいろな細胞を作り出すことができる細胞」と「普通に分裂するだけの細胞」だ。
つまり「幹細胞」か「そうじゃない」かだ。


がん細胞も二種類ある

がん細胞も2種類ある。「がん幹細胞」か「そうじゃない」か。

これが大きな問題だ。なぜなら「幹細胞」は「分化したいろいろな細胞を作り出すことができる細胞」だからだ。

まず、正常な「幹細胞」が「がん幹細胞」に変化してしまう理由から、ガンになる原因を見てみよう。


がんになる原因は二種類ある

一つ目は、正常な「幹細胞」が細胞分裂するときにコピーミスで遺伝子変異を起こす場合。
コピーミスで通常の「幹細胞」から「がん幹細胞」が生まれてしまうのだ。

これは実はレアケース。一日に5000個もコピーミスで「がん細胞」が生まれると言ったが、通常頻繁にコピーを繰り返しているのは「幹細胞」ではなくて「通常細胞」の方。
何故なら、そもそも「幹細胞」はあまり分裂をしない。そして何よりも、圧倒的に「幹細胞」より「通常細胞」の方が数が多いからだ。(圧倒的に多いのは間違いないが、正確な比率は分からなかった)

だから、「幹細胞」がコピーミスで「がん幹細胞」となってしまって、その結果「がん」になってしまった人は非常に不運と言える。
こればかりは不可抗力で残念ながら避けようがない。

とはいえ、「がん患者」全体の10%はこれが原因で「がん」になる。
白血病・小児がん・一部の成人腫瘍 などが、この原因による「がん」だ。突発的に突然に「がん」になるのだ。

「がん」になる原因の二つ目は、よくある「がん」だ。高齢者に多い。
慢性炎症による「がん」である。

とはいえ慢性炎症と言ってもいろいろある。

ウイルス感染・細菌感染による炎症でおこる「がん」
例えば「胃がん」で言えば「ピロリ菌」、「肝がん」で言えば「肝炎」、「子宮頸がん」なら「ヒトパピローマウイルス」とか。
ウイルスや細菌感染によって引き起こされる炎症が主な原因だと言われている。

機械的刺激による炎症でおこる「がん」
「口腔がん」なら「虫歯や口内炎」
常に機械的に刺激を与え続けられることによってその部分が炎症を起こす。

他にも肥満による炎症(脂肪細胞は炎症物質をたくさん出す)、糖尿病などによる炎症も「がん」の原因になる。

いずれも慢性炎症が「がん」の引き金だ。生活習慣が下地にあり、炎症がおこるとその炎症によって組織が損傷する。そしてその修復。
そのくり返しの中で細胞の異常な増殖が起こる、その中から「がん幹細胞」が生まれてくる。長期間かけて出来てくるタイプの「がん」だ。

 

実は「がん」の原因について、この二つを分けて考えないと、変な議論になる。「がん」を予防する食べ物とか、「がん」にならない生活習慣とかいろいろ言われるが、当たり前だが一つ目が原因の「がん」には何の意味もない。

私も様々な書籍を読んだり、WEBサイトで調べたりしたが、この二つをきちんと区別して別々に論じてくれないと、意味が分からない状態になる。
あれ?あっちではこう言ってたのにな?とか、この場合は違くない?とか。

逆に言うと、「がん」についての研究成果はまだ一般的に広まっていないともいえる。「がん幹細胞」についての研究成果も見つけるのに苦労する。

まあ、普通のWEBサイトとか書籍の情報は2番目のタイプの「がん」について書かれているものだと思っていれば間違いない。

「抗がん剤」「放射線」何をやっても「がん幹細胞」は殺せない

さて、「がん」には「普通のがん細胞」と「がん幹細胞」があるということがわかれば話は簡単だ。

正常な「幹細胞」のように「がん幹細胞」もさまざまな細胞を作り出す。自分と同じ「がん幹細胞」もつくるし、「普通のがん細胞」もつくる。
但し、その作り方は緩慢だ。「がん幹細胞」は普通の「幹細胞」と同じで、そうそう分裂するものではない。
盛んに分裂を繰り返すのは「がん幹細胞」からつくられた「普通のがん細胞」だ。この「普通のがん細胞」はどんどん増殖する。自分と同じ細胞を作るだけだから普通の細胞と同じようにどんどん分裂する。
しかも、アポトーシスしない細胞なので、死なないで増え続ける。ついでに言うと老化もしない。いつまでも若いころのように盛んに増殖する。

「がん」は蜂の巣のようなもので、巣の中心にいるのが女王バチである「がん幹細胞」だ。あまり動かない。女王バチを守ってせっせと仲間を増やしているのが「普通のがん細胞」働きバチだ。

女王バチである「がん幹細胞」は血管新生といって「普通のがん細胞」の周りに血管まで作って、栄養を取り込めるようにしたりもする。
こうして立派な一つの臓器のような、一つの社会を形成しているのだ。

女王バチと働きバチのように「がん幹細胞」と「普通のがん細胞」この二つも性質は全く違う。
「抗がん剤」や「放射線」で「がん」を治療出来ない理由がここにある。

「抗がん剤」や「放射線」は「普通のがん細胞」を殺すことは出来ても「がん幹細胞」を殺すことは出来ない。

標準治療の対象になっているのは主に「手術」と「抗がん剤」なので、「抗がん剤」の話をしよう。

せっかくなのでお絵かきしてみた。

「普通のがん細胞」・・・いわゆる「がん」
がんの特徴ともいわれる「無限に増殖する死なない細胞」
よく食べ(ブドウ糖を)、よく増殖する。

この性質を利用した検査がPET検査だ。特殊な薬剤でブドウ糖をたくさん代謝している臓器を探して「がん」の転移箇所を見つけたりする。ブドウ糖をたくさん食べている「普通のがん細胞」がたくさんいる場所が分かるわけだ。

また、日本で使われている一般的な抗がん剤は「普通のがん細胞」の、よく増殖するという性質を利用しているともいえる。

日本で使われている一般的な抗がん剤は、化学療法剤とか、殺細胞剤と呼ばれるものだが、基本的には正常細胞も「普通のがん細胞」も区別なく、増殖中の細胞は皆殺す。

抗がん剤は一般的には毒薬もしくは劇薬なので、体内の活性酸素を増やす。活性酸素はもちろん猛毒なので体内の細胞を殺す。しかし「普通のがん細胞」の方が「正常細胞」より活発に増殖しているのでより多く死ぬことになるだろう。


さて、しつこく「普通のがん細胞」と書き続けてきたが、それは「普通のがん細胞」と「がん幹細胞」とではあまりにも性質が違うからだ。

「がん幹細胞」の特徴は増殖速度が遅いこと。
でもその代わりにいろいろなものを作る。免疫を抑制する物質まで作って免疫細胞から逃れたりする。
また活性酸素を抑制する能力が高い。むしろ活性酸素を取り込んできれいにして排出する。そして自身の細胞をきれいに保つ。

つまりこういうこと。

抗がん剤の絨毯爆撃で「普通のがん細胞」や「正常細胞」がバタバタと倒れていく中でも、「がん幹細胞」は活性酸素を排出して浄化していく。
それが特徴なのだ。

だから抗がん剤は効かない。むしろ「がん幹細胞」は一生懸命活性酸素の浄化に励む。そしてやがてきれいに活性酸素が無くなって「普通のがん細胞」が生きられるようになったら、再び「普通のがん細胞」を作り始める。

これが再発だ。

因みに、「がん細胞」が大きくなって臓器の基底膜を破って血流にのってしまうと、血液の流れに乗って「がん細胞」が流れ出す。
そして、先にたどり着いていたエクソソーム(RNA)が適正な居心地を提供してくれているとそこに定着する。

これが転移。

因みに流れ出した「がん細胞」が「普通のがん細胞」だけで「がん幹細胞」じゃなかったとしても、「普通のがん細胞」だけのコロニーの中にいつしか「がん幹細胞」が生まれる。

女王バチが死んでしまった場合でも、群れの中から新たな女王バチが生まれるのと同じだ。


そう、つまり「普通のがん細胞」からも「がん幹細胞」が誕生してしまうという逆の流れもあるので、「がん幹細胞」だけ殺せばいいということにもならない。

「がん幹細胞」と「普通のがん細胞」という全く違う性質をもった細胞を同時に殺さなくてはいけないのだ。

また、上皮-間葉転換など「がん」は変化する。
運動能・浸潤能・転移能の獲得、薬剤耐性など、時間が経って、様々な試練を乗り越えるたびに「がん」は進化する。
何しろ何にでもなれる「がん幹細胞」が親玉なのだから。

「抗がん剤」「放射線」何をやっても「がん幹細胞」は殺せないというのはこういうことだ。


さて、私がどうしても語りたかったことは以上だ。

最初に書いた通り、私は医者ではない。だからこの話は私の自分自身の経験に基づいたフィクションだ。
・・・ただし、明らかにこの部分は正確ではないという記述があったら教えて欲しい。訂正するので。

実は先ほどさらっと『こうして立派な一つの臓器のような、一つの社会を形成しているのだ』と書いた。
では「がん幹細胞」は何を目指しているのだろうか?

突然変異で出来てしまったものとはいえ、もともとは自分の体の中にあったものだ。外部から来たものではない。体内に適応できる環境があったからこそ「がん幹細胞」は生き残ったのだ。
一つの臓器になろうとしている。目的を持った。それこそが活性酸素の排出。

私は手術で「がん」を丸ごと摘出してしまったが、私の可哀そうな「卵巣がん」のことを思って、手術後病室で泣いた。

世の中の「がん」治療に対する一般的な人の意見は、大部分の「現代医療の信奉者」と少数だが熱烈な「アンチ」とに分かれる気がする。それは「抗がん剤賛成派」と「抗がん剤反対派」の戦いでもある。

しかし、突き詰めてみれば、どちらも正しいことを言っている。

東京タワーを見て三角だという人もいれば、上から見て四角いという人もいるだろう。アルファベットのAに似ているという人もいれば、赤いという人も、大きいという人もいれば小さいという人もいるだろう。

そのどれもが正しい。医療というものがもっと複雑なぐにゃぐにゃしたもので、人間の体は未だにほとんど解明されていないのだから、余計に訳が分からないのは仕方がない。

でも、ひとつだけ分かっていることがある。
治療方針を決めるのは自分自身だということだ。


もっと詳しい話を書こうとすればキリがないし、私は研究者じゃないのでこれ以上詳しく書こうと思えば破綻が生じる。

この記事についての参考文献は上げておく

参考文献(?)






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