椛沢知世

かばさわともよです。短歌をつくっています。マイさんとの往復書簡「うたのシーソー」はこち…

椛沢知世

かばさわともよです。短歌をつくっています。マイさんとの往復書簡「うたのシーソー」はこちらから。 https://note.com/seesawfor57577

最近の記事

20210113の日

忙しさに疲れていて、今日もお布団。 本を持つのも重たいので、Kindleで今橋愛の『O脚の膝』を再読している。 そこにいるときすこしさみしそうなときめをつむる。あまい。そこにいたとき /今橋愛 びーるのんでるの? びーるのもう 来週のきょう今ごろ   今。かまけてしあわせ /今橋愛 時間の飛び方なのかも。 時間の飛び方が、読んでいるわたしをぎゅっとさせる。 頭が痛くて、歯を食いしばっていたことに気がつく。読んでいるときゆるんでいる。 早く寝たいな。

    • 冊子「日なたぼっこの」(通販のお知らせ)

      冊子「日なたぼっこの」を作りました。 内容 ・短歌連作30首「日なたぼっこの」椛沢知世  2019年7月〜9月に作成した連作です。 ・連作を読んでの散文  寄稿者:カリフォルニア檸檬さん      中森舞さん 通販方法は下記をご覧ください。 落ち着かない状況が続き、本を読めたり読めなかったりする日々ではないかと思っています。皆さまおだやかに過ごせますように。 どうぞよろしくお願いいたします🐇

      • 2019年のあれこれ

        こんばんは。 2019年の活動をまとめてみました。 ◾︎掲載誌・サイト ・『歌壇』2019年2月号(本阿弥書店) 第30回歌壇賞次席作品「切り株の上」30首http://www.honamisyoten.com/bookpages/KADAN-201902_180p.html 本阿弥書店のウェブサイトから購入が可能です(note公開時確認)。 ・日々のクオリア(2019年2月9日) 花山周子さんに下記歌をとりあげていただいています。 水着から砂がこぼれる昨年の砂がこぼ

        • 冊子を作りました!(販売のお知らせ)

          作りたい!衝動にかられて冊子をつくりました🦔 短歌連作「カノン」が入っています。 イラストは、菊岡由実(twitter:@nerine0418)さんです。 価格は400円で、直接販売または通販(送料180円)します。 気になる方がいらっしゃいましたら下記コメント、メール、またはツイッターのDMを開放しておりますので、ご連絡ください。 メール tomoyokabasawa★gmail.com (★を@に変えてください) ツイッター @moinmoin622 よろし

        20210113の日

          八月三十二日の日記

          2019年に隔月ペースで「aima-kaima」を発行しています。 https://aimakaima.thebase.in/items/23078681 第四号の受付を開始していて(9/15(日)まで)、これが今号の巻頭言。 ※補遺:もれたりした事柄をあとからおぎない加えること。また、そのもの。(「デジタル大辞泉」(小学館)) 巻頭言にあわせて、ではないのだけれど、八月三十二日の日記を書きました。 *** 八月三十二日 晴れ どこにもないから、どこへでも行けた。

          八月三十二日の日記

          日記+短歌 2019.8.3

          いい日だった。息がつけると思った。 においをもらった。マンダリンとラベンダー。息がつけると思った。 今日のことを、覚えていたい。 でも、息をし続けるのは自分で、だから、がんばります。 彼岸花のにおいを嗅いだことがない五秒間だけ目を閉じて行く /椛沢知世(「切り株の上」『歌壇』2019年2月号) #エッセイ #雑文 #日記 #短歌 #tanka

          日記+短歌 2019.8.3

          日記+短歌 2019.8.1

          お正月も新年度も月の変わり目も、なんかすごくとがって見えない? 1日だから? 共通認識の区切りが苦手なだけ? そういえば定食屋さんもうないねと言われるまではたしかにあった /椛沢知世(「切り株の上」『歌壇』2019年2月号) 言われても、もうないとわかっていても、わたしの中にはまだあるのかもしれない。 これは全然関係のない好きな空き地で。 けれど空き地は、勝手に芽吹く。 #エッセイ #雑文 #日記 #短歌 #tanka

          日記+短歌 2019.8.1

          大事にすることについて

          自分を大事にするし自分の短歌を大事にする。 灯台跡までの道が、ずっと水溜りだった。 自分の大事に仕方がわからないし、自分の短歌の大事に仕方もわからない。

          大事にすることについて

          <一首評>小野田光さん『蝶は地下鉄を抜けて』

          小野田光さんの歌集『蝶は地下鉄をぬけて』を何度も通読できないのは、どこか途中で、時には冒頭のあたりで、立ち止まりたくなるからだと思う。立ち止まりたくなって、立ち止まる。静かだったり、ざわざわしたりする。 「さよならの著作権」の一連に、東京歌壇に掲載された時から好きな歌が含まれているのもあるのだけれど、でもやっぱり、巻頭歌の一首に、歌集を一度閉じるくらいつよい揺さぶりをうける。 金太郎飴の断面ひしゃげてる断ち切って断ち切って過去たち /小野田光 この歌に立ち止まるの

          <一首評>小野田光さん『蝶は地下鉄を抜けて』

          日記+短歌 2018.5.30

          積み重ねてきたけれど、ぱーになったものを思う。叩いてもいないのに、何かが骨にひびく。手をぐーぱーする。力をいれて、力をぬいて。 空白期間と呼ばれてしまう時間の束に、してきたはずのこと。それらに胸をはるだけでもいいからしたいのに。 なにかを進めるときに、いつも小さく音楽をかけている。かけているつもりでいる。音とともに行かないと、進んだのかもわからない。 * 失職が決まった夜に目についたムダ毛を一本一本抜いた/椛沢知世 (2017年6月3日 日経新聞 日経歌壇 穂村弘

          日記+短歌 2018.5.30

          日記+短歌 2018.2.18

          風に飛ばされたおじいさんの帽子を拾った。 少しだけ走った。 風がつよいですね 寒いですね でも、日差しから春ですね 手渡して、お気をつけてと別れた。 そういえば、 行きの道では梅を見たんだった。 たんだんと春。 河原で、田んぼで、つくし採りしたいな。 卵とじの佃煮にするんだ。 東京のつくしは採らないけれど 見かけたらうれしいな。 幸よこい つくしの袴ひとつずつ取り除く手の皺のくぼみに /椛沢知世 #短歌 #tanka #日記 #雑文 #エッセイ

          日記+短歌 2018.2.18

          日記+短歌

          一番思い出しちゃいけない場面を思い出している。 と思って、「場面って何よ」と、つらい気持ちなのに、その把握の仕方にすこし笑える。 思い出すときはいつでもそれが一番しんどくて、何が一番だとか、わからなくなるのに、とにかく必死で切実だ。今日はなみだは出ないけれど、動悸が治まらなくて、息をするのがくるしい。 こうやってメモを残して、ときおり定型に収まって、でもたぶんこれらは悲しいかな、ただの三十一文字の記録なんだろうってことも、わかりながら書き留めている。 早く思い出し疲れて、寝て

          日記+短歌

          短歌+エッセイ「図書カード」

           11月11日から12日の境い目。眠れなかった。眠れなくて、いろいろ思い出していた。思い出すうちに、思い出が、どんどん遡っていった。  忘れているから、思い出す。でも、思い出したことを、ときどきは、覚えておきたい。 そんなふうに書いた、ちいさなエッセイと短歌です。 どちらも未発表のもので、今、はじめて公開します。 読んでもらえるとうれしいです。 *** 「図書カード」  毎日、学校の図書室へ行く子どもだった。毎日行って、毎日借りて、毎日読んで、毎日返した。一日一冊は読

          短歌+エッセイ「図書カード」

          2016年12月の掲載歌

          十二月の掲載歌 (掲載日順) 過去の恋思い出しては舌で歯をなぞる隙間はきちんと狭い (2016年12月11日 東京新聞 東京歌壇 東直子・選 「特選」) 評:舌でなぞった歯に隙間がないことを確かめて時間が過ぎ去ったことを体感する。現実感を得る動作としてユニークかつ切実。 靴ずれの予防に貼った絆創膏いつも傷つく準備をしている (ネットプリント毎月歌壇 2016年12月号 谷川電話・選) 谷川電話さんにたっぷりと評をいただきました。 丁寧にしわを伸ばして

          2016年12月の掲載歌

          2016年11月の掲載歌

          11月になるたび、思い出す詩がある。 詩人 永瀬清子さんの「十一月」。 小さく光る水溜りのように すこし平静な季節が来ました。 あまりに澄明な十一月です。 (永瀬清子「十一月」) 東京にいると自然とはある程度の距離を置いているわけだけれど、それでも、この「小さく光る水溜り」のような感じはわかる。 朝のつんとした空気や、顔を洗う水のつめたさ、洋服に袖を通すときのすーっと風の通る感じ。あえて太陽を浴びに窓辺や外に行くこと、夕焼けを見逃すこと。なかなか温まらない手と足の

          2016年11月の掲載歌

          十月のうた

          わずかですが、十月に世に出た短歌を記しておきます。 「内戦が続く」に続く国名に慣れすぎていて前髪を切る (「ネットプリント毎月歌壇 10月号」谷川電話さんに選評をいただきました。) のろまさを笑われたって背を伸ばし漬物として生きていきます (『短歌研究 11月号』「うたう☆クラブ」で加藤治郎氏からアドバイスをいただきました。こちらは改作後の作品です。) 高速は皆で並んで走るから追い抜かれても弾むおしゃべり (『短歌研究 11月号』「うたう☆クラブ」佳作) おおあめをお

          十月のうた