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アイスランド旅行記(16)

5日目の午後です。スコゥガフォスの駐車場でいつものように持参サンドイッチのご飯をすませ、Vikで奇岩をみたり岩壁を見たりした後。地図上で⑦から⑪の宿泊するホテルのほうまで、です。

ここからホテルまでは実際ほとんど運転して移動するばかり。⑧⑨は同じところ、自分たちの運転のためにピン打ちしてます。

さて、この「なにもない」広大なエリア、私は実は密かに一番といっても良いくらい心惹かれるところでして。先の記事でご紹介したこちらの本を再度ご紹介させてください。

前述のラカギガル火山列を見に行った方は,雄大なヴァトナヨクトル氷冠やミルダルスヨクトル氷冠の一部もきっと見ていることだろう.直接目にすることはできないが,それらの氷冠下にひそむ活発な火山の話をしておこう.
 ラカギガル火山列に行った帰りに,さらに1号線を40kmほど東に走ろう.道路の左手に広大な氷原が見えてくる.ヴァトナヨクトル氷冠の一部が南の海岸平野に達した部分である.この氷原の前面に広がる海岸平野は,人家や耕地がまったくない一面の砂レキにおおわれた不毛の土地であり,スケイダラオルサンドゥルSkeidararsandurと呼ばれる.ここは,氷河バーストと呼ばれる大規模な土石流の常襲地帯であるため,生産活動が不可能な土地なのである.
 氷河バーストは,そこから50kmほど北のヴァトナヨクトル氷冠下にあるグリムスヴェトン火山が引き起こす.この火山はカルデラをもち,そのカルデラ内には氷河におおわれた湖が存在する.この湖は,カルデラ底の活発な地熱活動によって氷河の一部が常時融解して生じている.地熱活動の高まりや噴火によってこの湖の水位が上がり,その一部が氷河下の水路をつうじて海岸平野にあふれ出すのが氷河バーストである.グリムスヴェトン火山は,10世紀以来36回の噴火記録をもつアイスランドで最も噴火頻度の高い火山であり,ここ400年間の平均的な噴火間隔は10~20年である.1996年秋に起きた噴火の際,まさにこの場所を氷河バーストが襲い,道路が被害を被った.

ヨーロッパ火山紀行より、https://sakuya.vulcania.jp/koyama/public_html/Europe/iceland.html

これを知らなかったら「なんでこんな広大な不毛の地をそのままに?」とおもうかもしれません。

 コラム:恐ろしい氷河バースト
 平時には雄大で美しいアイスランドの氷河も,突発的な大災害を引き起こすポテンシャルを秘めている.そのもっとも顕著な例が,氷河バースト(glacier burst,アイスランド語でヨークルフレイプjokulhlaup)である.氷河バーストの原因には,火山噴火と地熱活動の2種類がある.いずれの場合も,温められた氷河底に融水塊ができることから始まる.氷河は水よりも軽いので,上昇した水圧と氷河自体の浮力とがあいまって融水塊上の氷河は徐々に持ち上げられ,岩盤から引き剥がされる.その剥離面に融水が侵入し,地形上の低所から外へとあふれ始める.いったん水があふれ始めると,今度は水と岩盤間または水と氷河間で発生する摩擦熱によって融水の通路が確保されてしまい,あふれ出しはなかなかおさまらなくなる.このように,被圧された融水が氷河下の通路を通って一気に氷河外へあふれ出す現象が,氷河バーストである.
 氷河バーストによる湧水量はすさまじく,大規模なものは5km3にもおよび,単位時間あたりの湧水量は毎秒30万m3に達するものもあるという.しかも,氷河バーストは,大量の岩塊・氷塊・土砂と水とが一体となった破壊的な流れであり,ひとたび発生すればその下流にある村や耕地や道路はすべて失われることになる.グリムスヴェトン火山の北西側で起きた割れ目噴火にともなって1996年11月5日に発生した大規模な氷河バーストは記憶に新しい.また,2010年4月14日からエイヤフィヤトラヨクトル火山のカルデラ内で起きた噴火でも大規模な氷河バーストが起き、幹線道路が寸断されている。
 氷河バーストの流路は氷河下の地形(音波探査によって調査できる)によってだいたい決まっており,過去の氷河バースト堆積物の分布もその流路の下流に限定されている.アイスランドの人々は,氷河バーストを予知し警報するシステムを組み上げており,警戒すべき状況になった時には予想流路上の交通が遮断される.

ヨーロッパ火山紀行より、https://sakuya.vulcania.jp/koyama/public_html/Europe/iceland.html

前に「橋が 対向車がすれ違えないほど小さく狭い」話を書いたのですが、どうやらこういう理由で「壊される」「流される」が前提にあるから、らしいです。(でも交通量が少ないとは言え、やっぱり慣れない狭い橋w)

怖いくらい何もないのです。何も無いのになにかの存在感というか、
とにかく恐怖感、畏怖感がすごい。
知らなかったら「ただ何もない場所」の写真。でも自然そのままの荒れた土地、というより・・・不安のようなざわつきと、車のまわりで渦を巻く風の音しかしないのに「なにか」の存在感の「音」がずっと聞こえます。多分あれは、大地の、地球のもつエネルギーみたいなものを感じるのだと思います。(多分誰でも感じると思う、それくらい強烈)
「1号線をさらに北東に走ると,ケルキュバイヤルクレイストゥルKirkjubaejarklausturの町に至る5kmほどの区間の道ぞいに,数m程度の小高い丘が数多く分布しているのがわかる.よく見ると,多くの丘は火口をもっている.ラカギガル火山列の溶岩流が湿地帯に流れ込み,閉じ込められた水蒸気が二次爆発してできた偽クレーター(根なしクレーター)の群である.」ヨーロッパ火山紀行・第3章アイスランドより。
そして場所により、苔がみっしり生えているところもあって、大昔火山の影響をうけたところ、比較的最近影響をうけたところがあるのだな、ということもわかります。
Kirkjubaejarklaustur(キルキュ(ケルキュ)バイヤルクロイストゥル)の町(集落)を超えて奥に入って行きます。何も無い所からすこしだけ生き物がいそうなところに出てきてホッとしているところ。キルキュバイヤルクロイストゥルは「教会のある村の修道院」という意味合いがあり、1186年から女子修道院が存在したことに由来しています
Fjadrargljufur Canyon(フャズラオルグリューブル峡谷)はそれほど歩かずに楽しめる渓谷。「羽と川の峡谷」を意味するこの渓谷は、深さ最大100mの谷が約2kmに渡って続き、切立った崖の合間を蛇行する川が流れる美し風景が見られる景勝地です。(ほら、私が足趾骨折しててもちゃんとビューポイントまで行ってるでしょ 笑)冬なので夏の植生(花)保護のためにあちこちにロープが張られています。
Fjadrargljufur Canyonフャズラオルグリューブル。川は全面で凍ってますが、下の流れはあるようですね。
1783年、ラカギガルから巨大な溶岩流が流れ、"スカフタ・ファイア "と呼ばれました。これは、世界史上最大級の溶岩流であったと言われています。溶けた溶岩は、スカフタ川とフベルフィフリョート川の流れる渓谷を埋め尽くし、2本の支流となって人の住む地域に流れ落ち、低地に広がり、多くの農場を荒らしました。 溶岩流でできた大きさは、体積にして約16km3、面積では約580km2と推定されています。
Foss á Síðuかな?と思ったけれど分かりません。アイスランド、至る所に滝があります 笑
また何も無い場所へ。360°、こうなんです。なにかとても不安になります。
「ラカギガル火山列は,1783年6月8日から翌年2月初めまで続いた割れ目噴火によってできた,(中略)8月に入って北東延長上のヴァトナヨクトル氷冠下でも噴火が生じ,翌年に至ってさらに北東のグリムスヴェトン火山も噴火した.ラカギガル火山列の噴火のピークは最初の50日間であり,火山灰と溶岩流の大半はその期間中に噴出し,噴出率は毎秒8000トンであった.流出した溶岩流は,北東のクヴェルフィスブリョウトHverfisfljotと南西のスカフタオSkaftaの2つの川ぞいを流れ下り,海岸平野に達して広大な面積をおおった.」(ヨーロッパ火山紀行より)・・・・という場所と思われます。
何もなさ過ぎて怖い。(遠くに山が見えてきたからまだいいんだけど、この手前10kmくらいは運転している娘と助手席の私で無言。男性陣は後部座席で爆睡)
あーーーー山だ!(望遠めっちゃ効かせてますが)左手奥の方には巨大な氷河の出口が。
ようやく氷冠をいただく山が近づいて来ました。ヴァトナヨクトル氷冠の一部かと。
後方(西側)にはとても写真に収まらない、巨大な氷河の出口がありました。こちら(Haoldukvisl glacierかな?)の10倍以上はあったとおもいます。
Svinafellsjokullのほうを望遠で(6日目に近くにいきます)
左側のAflagdur vegur近くに駐車してるはずなんですが、Closedと。すぐ近くに大きな川がながれていた(おそらく氷河が火山の熱で溶けて流れているもの)ので、火山活動との関連があるのでしょうか。Svinafellsjokullの端っこはここからも見えています(上の写真)
Closedと書かれていたのでトレイルには向かいませんでしたが、車が2台くらい先に停まっていたので向こうに歩いて行っているのかも。これは望遠最大にしてます。
やっと宿についた!午後6時くらいでした。Adventure Hotel Hoffというところ。家族4人同室で泊まれてリーズナブル。きれいだったしね。

上のサイトの中の写真、かなり正確です。まさにこんな所でした。

ホステルよりはプライベート感あり。せまいけど日本の都会のビジネスホテルなんかよりはずっと広い。
夕食を近くのホテルで予約していたので向かいます(息子に予約とらせたら違うホテルで取ってた。まぁいいけど)。夕焼けがイイ感じ。
Fosshotel Glacier Lagoon、4ッ星ホテル。名前の通りこのアクセスロードの左手に大きな滝が。

きれいなんですが、我が家だと2部屋取らないといけない(つまり一泊€500超え)になるので予約しなかったところww

窓のすこし向こうには海が。(他のお客さんがいるのでライト側を撮ってますが・・・)
アイスランド、どっちにしても食事は高い。なのでどうせなら良いホテルの良いシェフのいるところのほうがいいかなって。(でもワインとかは基本頼みません。そんな、富豪じゃあるまいし・・・アイスランドは食事以上にアルコールがとにかく高い)
このパンもバターも、美味しかった!アイスランドは水がビックリするほど美味しいけれど、乳製品も美味しいです。パンはそのレストランのレベルを感じるよね。

このレストランのメニューはこちらで見られます。(くどいけど、1アイスランドクローネはほぼ1円相当。これで「食が高い」の意味がわかるんじゃないでしょうか。)

どうせなので全員違うオーダーで。こちら、Archtic Char(北極イワナ)をケイジャンスパイスでフライパン焼きしたもの。付け合わせはクスクスとなにかスーパーフードっぽいもの。ソースはココナッツカレー風味と書かれていたけれどイワナの優しい風味に合わせてか、ほとんどカレーっぽい感じはなかったです。でもうん、焼き加減も最高、ソースもおいしいし付け合わせ野菜のグリルもちょうど良い。
こちらはタラをあぶった一皿。ソースもいいし、なにより盛り付けがセンスいい。あ、お味は勿論最高。アイスランドのシーフード、いいですよ。うん。
ラムのサーロイン、だったかな。主にローズマリー風味のソース、周りにある黒っぽいのがブラックベリーソース。アリオリソース(ニンニク風味のマヨ)も主張しすぎず素晴らしい組み合わせ。野菜の加減も勿論ばっちり。
こちらは鶏胸肉の一皿。こちらも加減良くグリルされしっとり、さすがです。

本当ならワインとのマリアージュをしたいけれど、いやぁホントにそれを「止めときましょう」と冷静に言えちゃう値段 大笑 それでもいいのです、ちゃんと美味しいご飯は丁寧に味わわせてもらいます。

この日、オーロラ予報は30%以下の確率。ついでにこのホテルの周り(歩ける範囲)は煌々と照らされていて、かなりホテルから離れないとオーロラなんて見られない。
私達夫婦は美味しいご飯のとき飲めなかったので 部屋に戻るなり飲み始めてたし、ロングドライブで結構みんな疲れていたし。

ということでオーロラは見られませんでした。というか見に行きませんでした。明日も早いし寝ないと・・・

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