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病院って万能じゃないの。

めっちゃ私事なんですけど、明明後日(しあさって)一時帰国します。

みんながコロナウイルス騒ぎもあって「マスクが」「ハンドウォッシュが」って言ってるのをみながら対岸の火事・・・でしたが、そこに突っ込んでいくのね、私。

でね。ずっと前からなんだかなぁ、と思いながら遠くから見ていたのだけど、さっき「はっ」と気付いたので書いてみます。
現役退いた(年寄りかよ)とは言え、いちおー医者なんで。

今回はウイルス感染!!!!の話です。


もしかしてみんな感染症のこと、基本を知らない?

今まで黙ってたのは「いやーそんなこと普通知ってるでしょ」というのが発動してしまっていたから。
普通ってなによ、普通って 大笑

なので、知ってる人には当たり前過ぎて読む理由のない記事だよ、と前置き。


どんな病気も第一線で戦うのは「免疫」

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イキナリコレかよ、なんですが。
感染症という病気を治す第一のものは薬ではなく アナタが既に持っているもの、免疫ってやつが最強です。(分からない人はぜひ、「はたらく細胞」のマンガなりアニメなりをどうぞ!) 
免疫はお店で買えるケーキではありません!言うなら手前味噌がそれです。

病院に行ったのに薬が貰えないと言って激怒する方達が、私が現役だった頃沢山いらっしゃいました。(今もある一定数は居るのかな・・・)

病院は「必要な薬をお出しするところ」、
喫茶店ではありませんので

「風邪薬ケーキセットおねがいしまーす!」
「えーと、《明日のプレゼン、ぜったい休めない時用》っていうこの、《カフェ・ホスピタル》スペシャルブレンド、いいですかね?」

こういうオーダーは受けかねます 笑

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ここは「ケーキで血糖値上げるのが一番ね!」とか「リラックスのためにコーヒーじゃなくて煎茶セットがお勧めね!」はありますが

免疫は注文では出てきません。デフォルトでみなさんの免疫が体内食堂にて「今晩はコレをつくるぞーーー」とメニュー指定してくれてますから。

じゃ、ホントに効く、必要な薬って?

・・・菌感染のときの抗生剤?ときどき気管支拡張薬とか血管壁に作用する薬とか?
糖尿病や心臓系なんかはお薬のヘルプは絶対ひつようだけど、もうそれは「家庭で使う調味料に加える新たな定番」的な立ち位置。
今回は「ウイルス感染症」のお話なので ここは忘れてて!!!

ウイルスには あんまり効果のあるお薬はないのが現状です。(何なら効くかを列挙した方が早いくらい)


勘違いを助長するメディアに流されないで

まずコレをいいたい。

ウイルスってやつにはマスクの網目は「武道館の全開のドアを子供が走り抜ける」ごとく、いや、もっというとそのドアを「アリが何食わぬ顔で通り過ぎる」がごとく すっかすか です。

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予防でマスクをする、の意味が違いすぎます。かかりたくないひとがマスクをしても、って話です。(例外がココにもありますが)
空気感染(空中をふよ〜んと漂う菌やウイルスを捕まえちゃって病気になる)って殆どこの世の中にはありません。てか、結核とかはしか、みずぼうそう以外 今おもいつかないぞ 笑

基本は飛沫感染、つまり咳やくしゃみで飛んだ唾液なんかがどこかにくっついて、それを触って 口やらなんやらから体内に入れちゃう。そして発症。

だから「相手にうつしたくないひと」が使うマスク有効です。
突然の咳、くしゃみに「ハンカチで口を覆う」はそういう意味で有効。

コロナウイルス怖いよーインフルエンザ嫌だよーって、元気なひとがマスクするのは・・・・こう考えると なんだかなー な理由がわかります?
くどいですが、飛行機内なんかで「保湿」のために使うマスクの話はしておりません。


びょうきってこんなふうになおる

昔から不思議に思いながら言うのも失礼かなぁと思ってたことなんですが、多分大事なので書きますね。

  熱で人はそうそう死にません

高熱が 脳炎・肺炎とかのひどい感染症の「はしりの症状」のとき、あるいは熱による高度脱水は別ですよ。(あと麻酔科領域の悪性過高熱とか)
でも感染症による「熱そのもの」で死ぬ人は・・・多分いません。

菌やウイルスが体内で増えたとき、「免疫」と共に「体温調節」というのは大きな防御システムです。熱が出るのは悪い事ではなく、自分の身体が十分に戦っている、とお考えください。

(実際40代くらいから熱が出ない、ということが起きてきますよ、「あれ?!」って思うひともおおいでしょ?
老人では重症感染症であると体温が逆に下がり傾向になったり。私は50ですが、この数年38度の熱なんて1回か2回、熱があまり出ないときは回復にもの凄く時間がかかります)

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熱を下げねばならないのは 高熱で水分摂取が出来ないとき(とくに体内水分比率が高い子供にこれは重大なので、熱を下げて すこし元気があるときにかき氷だろうがジュースだろうが なんでもいいので水分をとらせてください。)、小さい子では熱性痙攣の可能性のありそうな「スパイクする」熱のとき(でもこれは絶対ではない)です。

話が飛びますけど、熱性痙攣は殆どが一過性で後遺症を残さない、ということは殆どのお母さん達はご存知かと思います。稀に「もともと痙攣を起こす素地がある=何らかの理由でてんかん発作を持つ」子が熱性痙攣を経たため「熱性痙攣が悪い」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、頻度で考えるとより説明がしやすいのは「てんかん素地はあった」子供にたまたま「熱性痙攣がかぶった」のほうがアリだと、現在のところ西洋医学的には考えられています。

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で、もとの話にもどれば

拾った菌・ウイルスが増える
   → 症状(喉が痛い、咳が出る、お腹が痛いなど)
   → (気付かないけど、大抵体内では大騒ぎで免疫が働いてる)
   → 熱がでる = 菌・ウイルスの増殖しにくい温度に身体が反応
   → その隙に免疫が 菌・ウイルスをやっつける
   → 治る

なんです。無闇矢鱈と「熱=悪者」として熱を下げるのは良くない、という理由が分かるでしょうか。


思ったより長くなってしまった・・・ので、シリーズ化しようと思いました。

「医療はみんなのために」なんですけど、「基礎知識はおばあちゃんから」が結構なくなってしまった現代。全く知らないがために親御さんのほうがおろおろして子供が「?」という顔をしながら病院に連れてこられる様子をよく見ます。

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なので医者から見て、いやーーーこの辺は基本的に知ってて欲しいんだけど、なことを書いていこうかと。何事にも例外はありますが(実際、↑の文章でも例外に触れない部分の方が少ない)おおまかな基礎知識ってのはありますから。


今日のおもちかえり「病気の本棚」

★病気を退治するのは 免疫と発熱 、サポートで 薬と体力
★マスクは「病気を周りに広めたくないひと」には有効
★ウイルスはマスクで防げません
★熱そのもので 人が死ぬことはまずありません。


こんな基本的なこと、病院で聞けなーい、って言うご質問もお受けします〜〜〜コメント欄に入れてね。


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ヘッダー画像は みんなのフォトギャラリーより、イラストレーターのia19200102さんの作品をお借りしました。



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