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自力でゆるむ

ずっと書きたいと思ってはいたのだけれど、なかなか気持ちがぐいっと沸き立つことがないまま、頭の中で眠り続けていたことがあります。

ふと、今かな、と思ったので、書いてみることにします。

突然それはやってきた

5年前の秋、突然、それに襲われました。

朝方トイレに起き、もう一度寝ようと布団に横になろうとした時でした。

突然、なんかおかしい、となり、目の前がチカチカして、手の指先から血の気が引いていき、ビリビリしびれ、息ができない感じになりました。

とにかく、深く呼吸ができない。

呼吸ができないというのは、ものすごく怖いものです。

軽くパニックになりました。

が、たまたま近所にかかりつけの整体の先生が住んでいて、夫に連絡をしてもらったら、変な時間にもかかわらず、すぐに飛んできてくださいました。

とにかく自分の身体に何が起こっているのか知りたくて、診てもらったところ、ホルモンバランスが乱れているというようなことでした。

その時は、少しお腹に触れてもらい、気になるポイントをほぐしてもらったら、症状が落ち着いたので、朝まで眠ることができました。

しかし、その後もたびたび同じ症状に悩まされ、しかも、身体もいうことをきかず動けないし、強い不安感に襲われるので、私だけでなく、夫にかかる負担も相当なものでした。

ある休日、どうにも症状がおさまらないので、困り果てて救急車を呼び、病院で検査をしてもらいました。

結果、どこも悪いところはありません、ということでしたが、「過換気症候群ですね」と診断されました。

その時に診ていただいた救急の医師からは、「眠れば治っちゃうよ」なんてことを言われたのですが、眠れたら眠っとるわ!と腹が立ったことを覚えています。

手足がぎゅーんと冷えてしびれる、強い不安感に襲われる、うまく呼吸ができない、そんな状態で、すやっと眠ることができる方法があるのなら、まずそれを教えてくれ!と思いました。

自力で治す

しかし、その時の医師のひと言が、シュボッと私の心に火をつけてくれました。

医者なんて、あてにならん。

自力で治す。

怒りのエネルギーを腹に納め、ドスンと腹が決まりました。

病院で検査を受けたことで、良いこともありました。

西洋医学的に診たらどこも悪いところはないということと、過換気症候群であるということがわかり、ということは、東洋医学的なアプローチが有効だろう、ということがわかりました。

私は以前、足つぼマッサージ師をしていましたので、そういうことなら得意分野だし、自力で治せそう、と思いました。

どうせ大して動けないのなら、とことん自分を労わろう、と開き直りました。

大して動けはしないものの、自分で足を揉むことくらいはできたので、韓ドラなどを楽しみながら、毎日時間が許す限り自分の足を揉み続けました。

たっぷり足を揉んだら、たっぷり白湯を飲んで、たっぷり毒素を流す。

2週間たつ頃には、だいぶ動けるようになっていました。

それから、発作がおきた時にはお腹を揉むとおさまる、ということが経験的にわかっていたので、自分でもっと的確に対処できるように、お腹の揉み方を模索しました。

すると、発作がおきる時には、お腹に心臓があるような、変に脈打つポイント(緊張)が必ずあることに気がつきました。

その時々により、位置は様々です。

みぞおちにある時もあれば、下腹部にある時もありますし、浅いところにある時もあれば、深いところにある時もあります。

指先でポイントをとらえたら、ゆっくり静かに息を吐きながら圧をかけていき、数秒圧迫した後、ゆっくり静かに息を吸いながら解放します。

これを繰り返すことで、お腹の緊張は少しずつ解けていき、発作もおさまることがわかりました。

急に強い不安感や症状に襲われるなど、強めの発作の時は、比較的深い位置に強くしつこく脈打つポイントがあります。

呼吸ができない、となるとパニックになりがちなのですが、過換気症候群の場合(私の場合)、できる限りゆっくり静かな呼吸を10分も繰り返していれば落ち着いてくることがわかったので、少しずつ、自分ひとりでも冷静に対処できるようになりました。

初めの発作から2ヶ月たつ頃には、ほぼ元通りの生活ができるようになりました。

2年間くらいは時々発作がおこりましたが、その都度対処しながら、病と仲良くするつもりで付き合っていたら、発作がおこることはなくなっていきました。

今も、ごくたまに発作の気配がすることがありますが、本格的な発作が起こる前にお腹をほぐしておけば回避できるので、普段はまったく忘れて生活しています。

身体の声をきく

マッサージ師をしていた時の経験から、「病は身体(心)の声である」ということはわかっていたので、自分の病についても、私の身体は私に何を教えようとしているのだろう、という視点から眺めていました。

体調を崩し、自分の生活がどのように変化したのかを観察することで、割と早い段階で、こういうことかな、というものをいくつか見つけました。

人に頼ること。
人に甘えること。
人に心配をかけること。
人に感謝すること。
人を信頼すること。
人の優しさを受け入れること。
無理をしないこと。
弱音を吐くこと。
さぼること。
自分を甘やかすこと。
自分を労ること。

これは、体調を崩したことで、私がやらざるを得なくなったことなのですが、答えはそこにあったということです。

私は、子どもの頃から変に自立心が強かったせいで、そういうところが欠けていたのだと思います。

何でも自分ひとりでやってしまうし、人に頼られることも多かったので、自己犠牲的になりがちだったのですが、本当は、心も身体も納得できていなかったようです。

身体の声を受け止め、気づきを得て、考え方と行動を変えたおかげで、自分の中の何かがガチャンと噛み合い、回復にも拍車がかかったような気がします。

自分が変われば周りも変わる

自己犠牲的だった自分が変わったことで、周りも変わりました。

両親は愛情深くなり、何より、夫の頼りがいは爆発的に強化されました。

両親は、私が愛情を求めないから、愛情を与えなかっただけなのです。

夫は、私が頼らないから、頼れない夫だっただけなのです。

自分の在り方が、周りの人の在り方に、モロに影響を及ぼしているということを体感し、深く理解できたのは、病を経験したからこそです。

おわりに

この話を書こうと思ったのは、もしかしたら今後、私と同じような症状に悩まされる方が増えるようなことがあるかもしれない、と思ったからです。

通常なら、すぐに救急車を呼べたり病院に行けたりもするのでしょうけれど、もしも非常時だったとしたら。

救急車も呼べず病院にも行けない状況だったとしても、自分ひとりでもできることがあると知っていたら、活路を見出せることがあるかもしれません。

私が書いたことは、あくまで私だけが体験したことであり、医学的根拠もなければ、多くの人の実証を得たものでもありません。

誰にでも活用できることでもないのかもしれませんが、ひとつの体験談として、誰かの参考になることがあるかもしれないと思い、書き残しておきたいと思いました。

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