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トーチを受け取ったひとは、またトーチを手渡すひとにもなれるということ。

103.トーチ

プロインタビュアーの吉田豪さんが、このあいだ面白いことを言っていた。東日本大震災の後、アイドル業界がとても盛り上がったのだという。重たいニュースばかりで心が塞ぎ、多くの人たちが負の感情に押しつぶされそうになっている中、アイドルたちの無際限なポジティブさがいわば「光明」として救いになった。

同じように、多くの人たちが戸惑いや苛立ちを隠しきれない現在の状況もまた、大きな意味ではアイドル業界にとっては「追い風」なのではないかと吉田さんは言う。あのとき同様、だれもがちいさな「光明」を求めているからだ。

とはいえ、アイドル、特にライブ後の物販や特典会を収入源としている地下アイドルの場合、物理的にライブができない今回のケースではそのことによって活動自体が継続できないということが起こりうるので状況はより厄介であるかもしれない。ただ、ライブ以外のやりかたでも、だれかの「光明」になるということができさえすればいまのこんな状況でさえ決してマイナスとはいえないという話だった。

この話は、おそらくアイドルだけにあてはまるものではないだろう。いま、多くの人たちに求められているのは「光明」である。だから、いま、とりわけさまざまな活動をしているひとは、自分はどういう「光明」になれるか一生懸命かんがえるときだと思う。

とはいえ、それはとりたてて大げさなことではなく、やさしいひとことかもしれないし、黙ってだれかの話に耳傾けてあげることかもしれないし、ストレートに肯定的な感情を差し出すことかもしれない。世界を明るく照らすことはできなくても、自分の半径2メートルくらい、いや、それだとソーシャル・ディスタンスで届かない可能性があるので、まあ、3メートルくらい照らすことをかんがえてみたい。

そういえば、先日YouTubeで開催された配信された「新生音楽(シンライブ)MUSIC AT HOME」というライブ番組で、まさに「トーチ」という曲を折坂悠太とbutajiのふたりがオンラインでコラボしたのだけど、それがとても静かに感動的だったのでここにシェアしておこうと思う(1:25:24あたり)。

だれかから光明を受け取ったひとは、だれかに光明を手渡すことができるということ、それを忘れないように。

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104.覚醒

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