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フィンランドデザインの真骨頂

269.ハッリ・コスキネンのブロックランプ

断線したまましばらく放置していたブロックランプを修理した。修理といっても、コードを真ん中で切ってコンセントプラグを付け替えただけの雑な仕事ではあるけれど。

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このブロックランプは、いまやフィンランドを代表する世界的デザイナーであるハッリ・コスキネンの出世作。つくられたのは1996年、発表された当時ハッリはまだ大学に在籍中だった。

四角いガラスの塊に電球をそのまま閉じ込めてしまうという、見た目にはさりげないが、それまで誰も思いつかなかった大胆な発想。いいですか、これぞまさにフィンランドデザインの真骨頂です。

リビングの床でも仕事机の上でも、玄関や、また写真のように障子のある和室でもすんなり溶け込んでしまう。それが、このデザインのなにより優れているところ。

熱を発する光源をガラスに入れたりして危なくない? と一瞬考えてしまうけれど、じっくりと時間をかけて冷却させることでヒビが入ってしまうリスクを回避しているのだそうだ。

また、職人の手によって鋳造されたガラスにはところどころ気泡や歪みが見られるが、それがまた自然の氷を思わせてかえって魅力的である。欠点を、むしろ強みに変えてしまうデザインの魔法。

「ぬくもり」を、冷たい氷の塊を想像させるそのフォルムから感じるという体験が、なにより新鮮な驚きをあたえてくれる。

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以下、日記仕立てでお送りします。

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