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今週の日記|ステイホームすぎる

5月1日 旅のおわり世界のはじまり

スウェーデンの建築家ヨセフィーナ・ノルドマルクが設計した集合住宅がすばらしかった。NHKで放映されていた番組「アーキテクツプレイス 北欧発 建築家の幸せな住まい」で見たものだ。

ピーテオという北スウェーデンにあるその集合住宅は、中庭を囲んだ高さも、外壁の色も異なる9棟のアパートからなっている。ノルウェーのベルゲンの一角にあるブリッゲンが、ひょっこり姿をあらわしたかのようである。じっさい、木造のアパートも含まれているという。

部屋はそれぞれ大きいものではなく、番組で紹介された最上階の部屋ですら広めの1LDKにすぎない。だが、その先に広がる眺望の力を借りた大きな窓、小さいながら他人の目を気にせずに過ごせるようなバルコニー、海からの強い風を防ぎ、平等に陽があたるよう考えられた建物の配置、住民が自分の家の庭にように過ごすことのできる中庭など、狭さを感じさせないアイデアがそこかしこに用意されている。

ノルドマルクに限らず、このシリーズに登場する北欧の建築家の多くに共通するのは、小さなスペースをいかに効率よく快適な空間にできるかに力を入れているという点にある。ストックホルムなど、都市部では非常に家賃が高いという現実的な問題にくわえ、北欧の人びとの合理的な思想がその背後にはあるような気がする。

ところで、家は広いほうがいいというのは本当だろうか?

北欧の建築家は、まずその前提から疑っているように思う。広ければ、余計なモノが増える。要らないものを何も考えずに買うようになるし、それぞれの部屋で照明をつけ、エアコンを使い、テレビを観る。当然だが、これは地球の自然環境にとっても悪い影響をもたらす。

それぞれが小さな家で効率よく、かつ快適に暮らすことができれば、それがつまるところサステナブルということなのかもしれない。学びの多い番組である。

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