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映画めも。

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2022年7月の記事一覧

【映画】テオレマ Teorema/ピエル・パオロ・パゾリーニ

【映画】テオレマ Teorema/ピエル・パオロ・パゾリーニ

タイトル:テオレマ Teorema 1968年
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ

60年代とは思えないほど洗練された映像美に耽溺するだけで充分な映画かもしれない。どのシーンもスチール写真だけで並べられても美しく感じられるのは、クライテリオンによる4Kリマスターだからこそ味わえるもの。豪奢な建物ヤフー、ミラノ郊外の風景、自然、農場、教会など人物以上に饒舌な語り口を感じさせる。
どの視点で観るかで感

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【映画】あなた自身とあなたのこと Yourself and yours/ホン・サンス

【映画】あなた自身とあなたのこと Yourself and yours/ホン・サンス

タイトル:あなた自身とあなたのこと Yourself and yours 2016年
監督:ホン・サンス

こういうトリッキーな話のホン・サンス映画はかなり好きだ。ホン・サンスらしい会話劇と、頭を混乱させられる設定は程よい緊張感を生み出す。
過去作でいえば、バラバラになった手紙そのままに時系列がバラバラになる「自由が丘で」や、物語内で物語が綴られる「教授とわたし、そして映画」、同じ設定が3度繰り返

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【映画】イントロダクション Introduction/ホン・サンス

【映画】イントロダクション Introduction/ホン・サンス

タイトル:イントロダクション Introduction 2020年
監督:ホン・サンス

舌ったらずな饒舌さを感じさせた「あなたの顔の前に」と比べると、さらにミニマルに削ぎ落とした内容になっていた「イントロダクション」。”Introduction”という言葉の意味を引くと紹介、導入、序説、前置き、入門と書かれている。3章立てで作られたこの物語はいずれも導入と言えるし、2章3章はその前の章の紹介にも

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【映画】ワンダ Wanda/バーバラ・ローデン

【映画】ワンダ Wanda/バーバラ・ローデン

タイトル:ワンダ Wanda 1970年
監督:バーバラ・ローデン

映画の存在は知っていたので、前から観たいと思っていたけれど、ほとんど前情報を入れずに観て冒頭から驚いた。手持ちカメラや、散らかった部屋、炭鉱の風景(しかも家の窓から見える風景がそれ)の連続に一体これは何処の国なんだ?と不思議に思った。言葉やその後の風景を見ればアメリカだと分かるのだけれど、明らかに質感のそれはヨーロッパの映画の様

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【映画】わたしは最悪。 Verdens verste menneske/ヨアキム・トリアー

【映画】わたしは最悪。 Verdens verste menneske/ヨアキム・トリアー

タイトル:わたしは最悪。 Verdens verste menneske 2021年
監督:ヨアキム・トリアー

何者かになりたいという気持ちを抱えながらも、目新しいものに目移りして次々と手を出して中途半端になって時間ばかりが過ぎていく。やりたい事、目指したい事を遂げるためには、学んだり技術を体得したりしなければならず、それだけでも多くの時間を割くことになる。とまあこんな事を書きながらも、僕自身中

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【映画】ベイビーブローカー Broker/是枝裕和

【映画】ベイビーブローカー Broker/是枝裕和

タイトル:ベイビーブローカー Broker 2022年
監督:是枝裕和

法、倫理観、社会、血縁、人情。是枝監督がこれまで描いてきた家族の姿は「そして父のなる」「万引き家族」などでも大きなテーマとして扱われてきた。疑似家族という点では「万引き家族」に通じるものがあるし、子供の血縁という点では「そして父になる」の延長にある。そもそもこの映画の出発点になったのが、「そして父になる」の時に監督が”子供が

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【映画】リコリス・ピザ Licorice Pizza/ポール・トーマス・アンダーソン

【映画】リコリス・ピザ Licorice Pizza/ポール・トーマス・アンダーソン

タイトル:リコリス・ピザ Licorice Pizza 2021年
監督:ポール・トーマス・アンダーソン

※7/13追記
多くの人がそうだと思うのだけど観終わった後、結局リコリスピザってなんなんだ?と不思議に思った。リコリスといえば日本ではあまり馴染みが無い食材で、多分ハリボのタイヤグミやサルミアッキ辺りがなんとなく知られていて日本人の口には合わないことでも有名だと思う。

リコリス味のピザ?丸

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