- 運営しているクリエイター
2020年6月の記事一覧
最近観た日本映画もろもろ
4月の頭からテレワークに入ったタイミングで、ほぼ一日一本映画を観る日々。自分の中で「これは!」と思うものはnoteで別途書き記していたものの、それ以外にもそこそこ観ていたのでまとめて書き記しておきたい。直近で日本の映画(邦画とか邦楽という言葉が嫌いなので敢えてこう書きたい)を観ていたので日本映画に絞った内容でまとめてます。あしからず。
幕末太陽傳/川島雄三
川島雄三の代表作。キャストも豪華かつ
ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語 Little Women/グレタ・ガーウィグ ※6/24追記
タイトル:ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語 Little Women 2019年
監督:グレタ・ガーウィグ
誰しも「若草物語」という物語にふれた人はジョーや姉妹の誰かに自分を投影したと思う。今の世の中、中々四姉妹という家族関係を持つ人はいないと思うけれどそれぞれ異なるキャラクターを持つ姉妹のいずれかに自分を投影できるのかもしれない。
とにかく丁寧に作り上げられた映画だなと感じ
凱里ブルース 路邊野餐/ビー・ガン
タイトル:凱里ブルース 路邊野餐
監督:ビー・ガン
「ロング・デイズ・ジャーニー」でも感じていたけれど、本作のパンフレットの監督のインタビューでも語られている通りマジックリアリズムの映画でもあると思う。『あると思う』と言ったのは、「ロング・デイズ・ジャーニー」ほど明確に一線を超えた表現はなく、本作では主人公の意識の境界線が曖昧なまま進むからだった。日本のマジックリアリズム作家である村上春樹の
ホドロフスキーのDUNE/フランク・パヴィッチ
タイトル:ホドロフスキーのDUNE
監督:フランク・パヴィッチ
一度観るだけか?繰り返し観るか?
ドキュメンタリーの類の映画は一度観て、そうかそうかと納得して終わる事が多い。もちろん納得しない事もあれば、まったく身に入らない内容のものも少なくない。個人的に繰り返し観るドキュメンタリー作品といえば異邦人の視点で東京を切り取ったヴィム・ヴェンダースの「東京画」がある。1983年というバブル直前
田園に死す/寺山修司
タイトル:田園に死す 1974年
監督:寺山修司
先日の鈴木清順の浪漫三部作で、寺山作品と繋がっているように感じられた事や、中南米のマジックリアリズムに近い表現があると書き綴ったのだけれど、この「田園に死す」ではボルヘスが引用されていてやはりそこに繋がっていた。
後に「さらば箱舟」でガルシア・マルケスを取り上げたように、彼の幻想的な世界観や映像のベースひとつに中南米の幻想文学があるのがよく
日本のいちばん長い日/岡本喜八
タイトル:日本のいちばん長い日
監督:岡本喜八
玉音放送が流れるまでの長い一日
第二次大戦が終局を迎えようとする8/14から8/15にかけての24時間がとにかくスリリングなんだけど、終わらない長い一日の倦怠感と、真夏の暑苦しさもじんわりと肌に纏わり付く。
岡本喜八による極限までに切り詰めたカットは今見ても十番にスピーディ…というよりも現代の切り詰めたカット割に近いため2時間を超える上映時間
君の名前で僕を呼んで Call me by your name/ルカ・グァダニーノ
タイトル:君の名前で僕を呼んで Call me by your name 2017年
監督:ルカ・グァダニーノ
世の中には2種類の映画があると思う。ひとつは一度観て二度と観たくない映画と、何度も観たくなる映画である。例えば初見で頭を抱えてあれは何だったのか?と確認したくなるデヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」、吉田大八の「桐島、部活やめるってよ」のようなミステリアスなものや、ギャス
ルーム Room/レニー・エイブラハムソン
タイトル:ルーム Room 2015年
監督:レニー・エイブラハムソン
壊れたものはもとには戻らない
監督は仮面に閉じこもった男を描いた「フランク」で壊れた心を取り扱っていたけれど、本作「ルーム」はより過酷な内容を描いている。冒頭”へや”の中の暮らしがひとつひとつ映し出されると、バスルームとトイレが同じ部屋に仕切りもなく配置されていて、母と息子の二人暮らしというのがわかる。その時点ではただ